【お知らせ】記事を更新しました(2018/09/26)
・2016年の熊本地震を受けてから、東京の私もこれは他人事ではないと痛感し、ようやく本格的に災害対策をすることを決めました。『Myus 防災』は災害について自分なりに勉強して得た知識と実際におこなったいくつかの災害対策についてまとめたものです。災害用の備蓄リストも載せてあります
・災害対策を一通り済んだ今思うのは、突然の災害から自分の命を守るのに一番大切なことは、防災グッズを揃えることでも、食料を備蓄することでもない、災害に対する知識と意識改革を心に備えておくことだということです。自分の命を守るために一番大切なことは、災害が起きたときに何を考え、どういう行動をとるのか、これに尽きます。災害対策を考えているなら、この『Myus 防災』を最後まで読んで、今こそ、物の備えと一緒に心の防災をしておきましょう
目次
私が行った主な災害対策
・過去の災害から学ぶ
過去に起きた阪神淡路大震災や新潟中越地震などの大規模災害のWikipediaを読み、災害時に何が起こるのか、何が危険になるのか、そしてどのような行動と対策を講じれば良いのかを考える。また、自分の地域に流れる河川について勉強する。/加えて、ネットにある実際の被災者の体験談をとにかくたくさん読む。特に被災者の個人ブログ記事がとても参考になる
・災害と避難に対する意識の改善
Wikipediaの「避難」の記事が参考になる。「オオカミ少年効果」や「正常性バイアス」などの避難を妨げる心理要因の理解とその排除
・避難情報や緊急地震速報などあらゆる災害の情報をプッシュ通知で速報してくれるアプリ「Yahoo!防災速報」と天気・災害・ニュースを網羅的に収集できる「NHK ニュース・防災」の導入。特に「NHK ニュース・防災」アプリは毎日の天気を始め全国の災害情報および避難情報などを最新かつ詳しく入手することができ、災害時や災害が迫っている時の情報収集に非常に役立つ。毎日の天気とニュースに加えて、いざという時の災害情報も充実しており、このアプリ一つあればあとは何も要らないといっても過言ではないほど優秀なアプリ。「NHK ニュース・防災」、防災のためには必ず入れておきたい必須アプリ
・大規模災害発生時などに、緊急にお伝えする必要のある情報、また区内の安全・安心に関する情報が区から直接配信される「葛飾区安全・安心情報メール」の登録
・インターネット回線を利用せずに電波を直接受信できるXperiaシリーズプリインアプリ「FMラジオ」の導入、およびNHKラジオ FMとコミュニティFMの聴取環境整備
災害時は電話やインターネット回線が繋がりにくくなるので、ラジオがあると便利。XperiaシリーズはFMラジオチェーナー内臓のスマホなので、イヤホンを挿せばFMラジオを聴くことができる。また通信環境が安定しているならスマホ/パソコンからインターネット経由でラジオが聞けるインターネットラジオ「NHKネットラジオ らじる★らじる」なども良い。私は「FMラジオ」アプリを使ってNHKラジオ FMとコミュニティFMを聴く環境を整え、これに加えて「NHKネットラジオ らじる★らじる」も導入した
・以前使用機種のガラケーでFMラジオの聴取環境整備
もう使わなくなったガラケーケータイはイヤホンを挿すことでFMラジオが聴けることが分かった。ガラケーでもものによってはインターネット回線を利用せずともラジオの電波は直接受信できるため、ガラケーをすでに解約している場合であってもFMラジオは聴ける。また、アンテナ内蔵型のガラケーであってもそのままでは受信感度が悪い場合があるため、イヤホンを挿す必要がある。私はNHKラジオ FMとコミュニティFMを登録し、このガラケーを非常用持ち出しリストに加えることとした
・Twitter 利用登録/Twitterアカウント「東京都防災」「葛飾区」「NHK生活・防災」「首相官邸(災害・危機管理情報)」「厚生労働省」「国土交通省 荒川下流河川事務所」をフォローし、うち「東京都防災」「NHK生活・防災」の緊急Twitterアラートに登録。上記を「災害情報」としてリスト作成することで閲覧性を高めた
今回の災害対策を機に、災害時の情報受信スピードに定評のある「Twitter」を始めることにした。ただし平時は緊急Twitterアラート以外の全てのツイート通知はOFFにしている。「厚生労働省」と「NHK生活・防災」は災害時の情報量に定評がある。「首相官邸(災害・危機管理情報)」は首相官邸や厚生労働省などの各政府機関が発信する災害関連情報をリツイートで集約してくれる
・「NHKラジオニュース」のPodcast登録
自動更新/自動ダウンロード保存の設定によりオフラインでラジオを聴くことができるようになるため、通信環境が安定しない場所でも安定して情報を得ることができる
・アプリ「フラッシュライト – Tiny Flashlight」の導入
停電時にヘッドランプを手にするまでのつなぎとして使える
・出先での発災に備えて、現在地から近くの避難場所や避難所を検索ナビゲーションしてくれるアプリ「防災情報 全国避難所ガイド」を導入
このアプリは災害情報を速報する機能もそなえているが、同機能は「Yahoo!防災速報」よりも災害情報量が多い
・地区防災マップから近くの避難場所および避難所の確認/ハザードマップで地域危険度の確認
避難場所などの他、一時集合場所や災害時医療救護所、防災活動拠点の確認も有意。ハザードマップで自宅およびその周辺地域の火災危険度、津波や大雨による浸水想定区域、土砂災害危険箇所などあらゆる災害の被害想定を確認する
・近くにある河川の氾濫の危険性や過去その河川で起きた水害を調べ、対策を講じる。豪雨の際に近くの河川の氾濫情報がすぐに確認できような体制をととのえておく
・緊急時連絡先の登録
区役所や防災課などの行政機関、電気ガス水道など
・家族会議
災害時の安否確認方法や集合場所について話し合う。安否確認方法として災害用伝言ダイヤルを使うのか、LINEやTwitterを使うのか、Google パーソンファインダーを使うのか、J-anpiで一括検索するのか、事前に家族や友人と話し合っておく
・区役所の防災課に行き防災について話を聞く
・防災グッズの備えと非常用持ち出し袋の用意/ガラス飛散防止フィルム貼付/防炎カーテンの新規購入
地震で家具が倒れても被害を最小限に抑えれられるように、新しい家具を購入し家具配置を見直した。特にベッドと玄関には家具が倒れてこないように、家がめちゃくちゃになってもベッドの安全と玄関へのルートは確保できるように力を入れた。これらは家具転倒防止対策の一環に過ぎない
・夜に全ての電気を消して一人避難訓練をする。実際に避難場所や避難所へ行きその施設や経路などを確認する
避難場所/避難所/給水拠点
[水害]:豪雨などによる「水害」から避難する場合は、海や河川の反対方面へと避難する。特に近くの河川の氾濫や決壊が予見される場合は<早めに>川から垂直方向に遠くへ避難する。大規模災害の場合は、市町村をまたいだ遠くの避難先の避難所等が避難者のために開設されることになっている。このように災害発生地域から遠くへ避難することを「広域避難」という
[地震]:発災直後にがれきや破片がちらばる街中を歩き回るのは非常に危険なため、在宅避難ができない場合はまずは最寄りの避難場所や避難所へすぐに避難する。ライフラインが止まり、車も鉄道もストップした混乱状態の中、度重なる本震級の余震から自分の命を守るためである。もし長期移動が可能な場合は、震源域から数十㎞~数百km離れた地域、あるいは実家や親戚の家へ広域避難するのも安全面では確実である
避難場所
災害の危険から逃れるため、緊急的に身の安全を確保するための場所。災害の種類(洪水、崖崩れ・土石流・地滑り、高潮、地震、津波、大規模火災、内水氾濫、噴火)ごとに可・不可があり、例えば地震や火災では避難できるが浸水の恐れがあるため洪水の場合は避難してはいけないような場所もある
早く確実に安全な場所に移動し終えられるように、自宅から近い避難場所が望ましい。事前に市区町村のホームページ上から地区防災マップを確認しておく
避難所
災害の危険から逃れる住民が危険がなくなるまで滞在し、または災害で住居を失った住民が一時的に滞在して、避難生活を送る避難所
災害発生地域から遠く離れ、かつ収容人数の多い大規模な避難所が望ましい。これは小規模な避難所や行政指定外の避難所などのいわゆる“末端”に物資などの救援が行き届きにくいケースがままあるからである。また、必要に応じて「広域避難」も検討する
給水拠点
災害時の給水方法は主に下記の4つがある。お住まいの地域の給水拠点の開設状況は水道局のHPにて確認できる
(1) 給水拠点からの給水
(2) 給水車による給水
(3) 避難所付近にある指定の消火栓からの給水
(4) 各市町村が設ける給水施設
(1) 給水拠点からの給水
大規模:浄水場・給水所
中規模:震災対策用応急給水槽(1,500立方メートル槽)
小規模:小規模応急給水槽(100立方メートル槽)
※10立方メートルの量の水があれば、一般的な2トン給水車5台分に相当、あるいは500人に7日間の間2.8Lの水を給水できる(1立方メートル=1トン=1000L)
(2) 給水車による給水
災害時、給水車が給水拠点から水を汲み上げ被災各地で応急給水を行う。応急給水を優先的に実施する場所は、災害医療活動拠点や市役所・区役所などの重要公共施設のほか、学校や公園等の避難所となる。応急給水を実施する際は、広報車両を用いてあらかじめ実施場所や給水時間の現地広報が行われる
(3) 避難所付近にある指定の消火栓からの給水
(4) 各市町村が設ける給水施設
災害が発生し断水が起こった場合に、各市町村が定めている給水施設や給水協定を結んでいる井戸から給水ができる。私の住んでいる地域では、市町村と協定を結んでいる銭湯や個人の井戸水は、災害時に生活用水として住民に提供されることになっている。このように各市町村ごとが定めている給水方法もあり、またこのほかにも災害対策用の給水拠点が公園や施設に設けられることも多い。これらの給水施設については各市町村のHPで事前に確認しておこう
防災グッズ
・非常用持ち出し用品[非常用持ち出し袋]:非常時、避難する場合にリュックに背負って持ち出す最低限の持ち物
・非常用持ち出し用品 袋外»»枕の横:非常用持ち出し袋に入れていないスマホや財布等の貴重品類
・非常用持ち出し用品 長期用:長期の避難所生活を余儀なくされる場合に、自宅から持ち出す追加の持ち物
・在宅避難用備蓄:非常用持ち出し袋に入れない災害用備蓄品
非常用持ち出し用品
非常時、避難する場合にリュックに背負って持ち出す最低限の持ち物。非常用持ち出し袋
・水
↑赤穂化成 備蓄水 2000ml/杉田エース 7年保存水 500ml
・食料
┗野菜ジュース/缶詰(肉魚豆卵/果物)/レトルト食品/補助食品
・石鹸
・ポケットティッシュ/キッチンペーパー/ウェットティッシュ
・ラテックス手袋
・現金と公衆電話用10円硬貨/テレホンカード
・モバイルバッテリー/USBケーブル/USB電源アダプター
┗自然放電対策として、未使用でも6ヶ月ごとに充電する
・点火棒
・歯ブラシ/歯磨き粉/MIペースト/ガム
┗口内環境を良好に保つために必須
・フェイスタオル
┗1枚。火災時には煙を吸わないように鼻と口を覆う役割も果たせる
・レインコート/折りたたみ傘
・輪ゴム/ビニタイ(ねじって止める針金)
・救急用品
┗ガーゼ/テーピング/絆創膏/マスク/口内炎薬(デキサルチンやケナログ)/常備薬
・ラジオ機能が付いたガラケー/バッテリー 外して二つ用意
・缶切り/軽量はさみ
・養生テープ
・食品用ラップ
┗身体に巻けば防寒、食器に敷いて使えば洗わずに済み、貴重品に巻けば防水になる
・衣類
・メモ帳/ボールペン/油性マジック/ふせん/マイタックラベル
┗ふせんの用途:持ち物整理に、伝言板に、覚え書きに
・水を使わないドライシャンプー
・シャンプー 小容器
・紙ボウル皿/紙コップ/割り箸/スプーン
・アイマスク/耳栓/エッセンシャルオイル
┗[耳栓]:カナル型イヤホンを持っていれば耳栓代わりに使えることもできる。/[エッセンシャルオイル]:たとえばラベンダーの香りのエッセンシャルオイルは数滴ティッシュにつけて置いておくだけでその香りが癒しになる
・電源分配タップ
・家族の写真
┗家族一人一人の写真を用意しておくと、写真を見せながら探し回ったり救助隊に写真を提供することができる。離れ離れになって心細いときでもお守り代わりになる
・保存袋/防臭袋/黒ポリ袋 45L
┗ごみ袋は雨をしのぐポンチョ代わりにもなる
・トートバッグ
┗非常用持ち出しリュックのほかに、避難所で小物を持ち歩くためのトートバッグがあるとよい。貴重品は常に持ち歩いておくようにすれば盗難を防げる。支援物資を持って帰るのにも役立つ
・乾電池
┗乾電池が必要な防災グッズを単3形なら単3形に、単4形なら単4形に統一しておくとかさばらず効率的。乾電池は液漏れと放電を避けるため製品から取り出して保管しておく。新品であればなお良い。新しい電池と古い電池は同時に使わないこと
・消毒用アルコールスプレ- 小容器
・トイレ用 凝固剤 小容器
┗高吸水性樹脂がコスパが良くおすすめ。避難所ではトイレが大混雑し気軽に用を足すことができない状況が続く。男性の小用であればトイレに行かずとも、500mlペットボトルに用を足し、ある程度貯まったら防臭袋に移し替え、凝固剤で固めて破棄する。この凝固剤は小用に使う
↑高吸水性樹脂
↑水 300mlと高吸水性樹脂 1gを用意。粉末を水に投入してから5分後…
↑写真ではわかりづらいが、けっこうしっかり固まった。わずか1gで300mlの液体を固めるとはびっくり!
・クラッシャブル ランタンシェード L
┗ヘッドランプの光を周囲を明るく照らすランタンの光に変えてくれるスグレモノ
↑クラッシャブル ランタンシェード L(mont-bell)
・お住まい地域の地図
・ブルーシート
・家の合鍵
・無印良品 携帯用 衣類クリーナー
┗衛生面が心配な避難所生活の中で、身の回りを清潔に保つのに欠かせない掃除用品
・防水ポリ袋 ジップロック
・My 防災
┗避難場所リストや災害時のマニュアル・知識を紙に印刷したものを用意しておく
↑「My 防災」は非常用持ち出し袋に納め、「My 防災 Compact」は枕の横に忍ばせた
・非常用持ち出しリュック/ドライサック
┗両手が使える状態で避難できるリュックがよい。特にザック(登山用リュック)は荷物をたくさん入れて長時間背負っていても疲れにくいのでおすすめ。すでにザックがある場合は、ドライサックに入れてからザックに入れておけば、ザックを使いたい時に非常用持ち出し用品だけをすぐ出し入れできる
↑ウルトラSIL ドライサック(SEA TO SUMMIT)
非常用持ち出し用品 袋外
災害時、下記の貴重品と非常用持ち出し袋を持って避難する
・カードケース/財布
┗保険証、クレジットカード、キャッシュカード等
・バックアップデータ
┗大切な写真や動画などのデジタルデータをUSBなどにバックアップしたもの
・スマホ 充電器
・お薬手帳
・家鍵/自転車鍵
枕の横
就寝中に災害に遭ったり停電になってもしっかり避難できるように枕の横に置いておく物
・スマホ
・眼鏡/眼鏡ケース
┗就寝時は眼鏡ケースに入れて破損を防ぐ
・ホイッスル
┗枕の横と普段バッグにそれぞれ用意
・避難用の服
┗上下厚手着/靴下/ジャンパー
・ヘルメット
・ヘッドランプ
┗手元を照らすワイドビームと遠くを照らすスポットビームが切り替えでき、電池持ちが良く、防水仕様のものがおすすめ
↑SPOT マットブラック(Black Diamond)
・LED懐中電灯
↑LEDライト P7.2(LED LENSER)
・手袋
┗布製の軍手ではなく革やゴム製の手袋がよい
・印鑑
非常用持ち出し用品 長期用
在宅避難ができず避難所での長期滞在を余儀なくされたケースで、かつ家に荷物を取りに戻れる場合には、非常用持ち出し用品のほかに避難所での長期生活に必要な物「非常用持ち出し用品 長期用」を避難所に持ち込む。避難所生活が少しでも快適に過ごせるための日用品をリストアップする。大きめの登山用ザックなどに入れると持ち運びが楽
・寝具
・衣類
・化粧品
┗スキンケア用品/リップクリーム/口腔ケア用品/石鹸/シャンプー/マスク/手鏡/髪どめ・ヘアゴム
・爪切り/耳かき
・保存袋/防臭袋/黒ポリ袋 45L
・箱ティッシュ/ポケットティッシュ/キッチンペーパー/ウェットティッシュ
・ラテックス手袋/ポリ手袋
・My箸/スプーン/フォーク/コップ
・洗濯ネット
・水筒
┗保温保冷できるタイプのもの
・シェーバー/シェーバー用充電器/鼻毛カッター
・ガラケー 充電器
・スリッパ
┗避難所の床は冷たいことが多いのでスリッパがあると重宝する
・安全ピン
・余裕があれば自分だけの為ではなく周りを助けられる物を持ち寄る
┗お米、新聞紙、トイレットペーパー、ホッカイロ、消臭剤、綿棒、耳栓、アイマスク、櫛、生理用品、成人用おむつ、電気蚊取、殺虫スプレー、トランプ・折り紙・おもちゃ・スケッチブック・クレヨン・ポータブルDVDプレーヤーとDVD、飴、加湿器
・下記の在宅避難用備蓄の中で避難所で必要と思われる物
非常用持ち出し袋の保管場所
(1) 屋外
発災時、室内が散乱したり、家が半壊する場合があるが、家の外に置いていれば持ち出し袋がそれらに巻き込まれる可能性は低くなる。また、外出時に被災して持ち出し袋を取りに来る場合にも家の中に入らなくてもすむので安心。一般的なのは車のトランク、ガレージの中など
(2) 寝室
家の中で一番居る時間が長いのが寝室であり、無防備な就寝時にも対応できる合理的な保管場所。また、ベッドには地震で家具が倒れてこないように配置を考えていると思うので、ベッドの傍に持ち出し袋を置いておけば就寝時でも自分の命と持ち出し袋を守ることができる
(3) 玄関
玄関付近にしっかりと家具転倒防止対策をしていれば出入り口の確保はできるはず。ドアが開かなくなるなどよほどの非常時でない限り避難出口は玄関からとなるため、避難に使う靴と持ち出し袋を一緒にして玄関に保管しておくのもよい
ただし、突然の災害や停電にもしっかり対応できるように、ヘルメットやヘッドランプ、ホイッスルなどの防災グッズやスマホ、眼鏡などの貴重品は持ち出し袋とは別に枕の横に常に置いておく
在宅避難用備蓄
電気ガス水道のライフラインのうち、復旧速度は電気電話 5日程度、上下水ガス 1~2ヶ月と想定される。復旧速度は地域によって異なるが一般的には電気の復旧が一番早く、次いで水道、最後にガスとなる。現代社会の生活必需品といえば水とスマホ。この二つのあるなしによる困り度は特に発災直後で顕著である。災害発生後数日間で行政による水の提供や炊き出し、仮設風呂などの救援も考慮し、在宅避難用備蓄の用量を決める
↑消毒用エタノールIP ケンエー(健栄製薬)/シルコット 除菌ウェットティッシュ ノンアルコールタイプ 詰替45枚×8パック(Unicharm)/フレッシィ ドライシャンプー スプレータイプ 150ml(資生堂)/ディスポラテックスグローブ パウダーフリー Mサイズ 100枚入り(エブノ)/ジップロック イージージッパー 大 20枚×2箱(旭化成)/ジップロック イージージッパー 中 45枚(旭化成)
↑高吸水性樹脂 500g/チャッカマン ともしび(TOKAI)/おや炭くらぶ 立体癒しのアイマスク(アスカム)/防臭袋 BOS LLサイズ 60枚(クリロン化成)/防災用救助笛 防災の達人 ツインウェーブ 白(コクヨ)/ゆでパスタ調理ケース ベーシック(スケーター)
↑ブルーシート #2000 1.8X2.7(トラスコ中山)/黒ゴミ袋 ストレッチ 45L 50枚(日本技研工業)/P-カットテープ №4140 透明(寺岡製作所)/コンフォートグリップ グローブ オレンジ Mサイズ(3M)/ヘルメット アメリカンタイプ SS-100 ホワイト(スターライト販売)
・水
・食料
┗野菜ジュース/缶詰(肉魚豆/ミートソース/果物)/レトルト食品/補助食品
・カセットコンロ/カセットガス
↑カセットフー 達人スリムII シャイニーレッド(イワタニ)
・紙ボウル皿/紙コップ/割り箸/スプーン
・保存袋/防臭袋/黒ポリ袋 45L
・消毒用アルコールスプレ-
・重曹
┗臭いが気になるところに水500mlに重曹大さじ2(18g)を溶かした重曹水をスプレーして消臭。ゴミ箱に重曹粉をふりかけて消臭
・トイレ用 凝固剤
┗高吸水性樹脂がコスパが良くおすすめ。男性の小用であればトイレに行かずとも、500mlペットボトルに用を足し、ある程度貯まったら防臭袋に移し替え、凝固剤で固めて破棄する。または紙コップなどに用を足し、その都度キッチンシンクか洗面所に流す。大用のときだけトイレで用を足すようにし、このとき凝固剤を使う
・LEDランタン
・ほうき/ちりとり
┗停電時に掃除機は使えない。しかし在宅避難をするためには、最低限寝床の確保をするためにも散らかった部屋を掃除しなくてはならない
・ブルーシート
┗窓ガラスが破損したときの雨よけ、風よけに。地震で部屋が散らかったがすぐに片付けられないときに床に敷く応急処置として。避難所で床に敷いて汚れ防止と防寒に。目張りしてプライバシーの確保に。体に巻いて簡易寝袋に。テントベースにも
・ウォータータンク
↑ウォータータンク 10L(尾上製作所)
・乾電池
┗非常用持ち出し袋に入れる以外に、長期戦も想定して多めに備蓄しておく
・レンジでパスタがゆでられる製品
┗鍋でお湯を沸かさずともパスタ・そうめん・そばを茹でられる
そのほか災害時にあると良いもの
・防寒対策:ブランケット、ホッカイロ
・暑さ対策:うちわ、帽子
・新聞紙
┗体に巻いて防寒・雨よけに、トイレ時の凝固剤代わりに。クシャクシャにしてから広げて使うとよい
・ダンボール
┗断熱材、間切りに
・アルミホイル
┗立体的に作って食器代わりに、光源の周囲に設置して反射材に、フライパン代わりの調理器具に、カセットコンロで調理するとき落し蓋にして燃料の節約に
・多機能ラジオ
・ガソリン
┗水と並んで災害時に最も不足するものがガソリンと言われている。被災以降、車のガソリンが半分になったら満タンにするというような習慣を取り入れた被災者も多い
・空のペットボトル
┗空気を入れないように口いっぱいまで満タンに水を入れてフタをすれば、常温で3日、冷蔵庫で7日保存可能
・電気ケトル
┗電気ガス水道のうち一番最初に復旧するのが電気だということを考えれば、IHではない家庭では電気でお湯が沸かせる電気ケトルもカセットコンロと同じくらい必要性が高い
・台車
┗給水時に重い水を運ぶのに役立つ
・自転車
スマホの充電ができる多機能ラジオの必要性
電気が使えない状態、また復旧しても充電が気軽にできるわけではない避難所ではスマホのバッテリー問題は悩ましいところ。避難所でのスマホの充電は頻繁にできるものではない。過去のある避難所ではスマホの充電は一人一日一回といったルールもあった。避難所は皆時間を持て余すし、友人や家族とのやり取りや情報収集、暇つぶしのゲームなどで思いのほかスマホを使う時間も多くなりバッテリーの消費も激しくなる
少しでもバッテリーをもたせるために賢くスマホを使うことが求められる。ラジオや音楽などはスピーカーから音は出さずに、イヤホンで聴く。動画はバッテリーの消費が激しいので極力見ない。ラジオや音楽を聞くとき、就寝時、スマホを使わないとき、発災直後で家族や友人からのメール受信が相次ぐことによるバッテリー消費を防ぐとき、その他インターネットにアクセスしないときは「機内モード」にする。ただし機内モードでラジオが聴けるのはチューナーを使って直接受信するラジオの場合で、これはラジオやGPSが送信せず受信しかしないために機内モードでも使用可能なためである。一方でインターネットラジオはインターネットと接続しているため機内モードでは聴くことができない。また、機内モード中は緊急地震速報などの重要な情報は遮断される点にも注意
一方で、モバイルバッテリーがあると一つのコンセントからのスマホの充電でモバイルバッテリーを介して両方充電することができる――これに関しては電源分配タップがあれば充電時間の短縮になる。しかしよほど大容量のモバイルバッテリーでない限り数日もたせることは難しいし、電気が復旧しても充電環境が決して良いとはいえない避難所で頻繁に充電することはできない。もしモバイルバッテリーを用意するのなら、頻繁に充電しなくてもよいように、重さを犠牲にしてでも大容量の製品を準備しておくべきかもしれない
スマホのバッテリー問題を解消する手として、スマホの充電ができる多機能ラジオを用意するのも賢い。スマホでもラジオは聴けるが、チューナーが内蔵されていないスマホではインターネットラジオしか聴けず、インターネット接続が安定していない時期は実用的ではない上に、少なからずバッテリーも消費してしまう。災害時の有効な情報源としてラジオが挙げられていることを考えれば、たとえモバイルバッテリーがあろうともスマホでラジオが聴けようとも、それでもラジオが聴けてなおかつスマホの充電もできるような多機能ラジオの果たす役割は非常に大きい
ここでは「SONY FM/AMポータブルラジオ ICF-B99(約385g)」を例にとりながら多機能ラジオの有用性を説明する
【SONY FM/AMポータブルラジオ ICF-B99】
↑SONY FM/AMポータブルラジオ ICF-B99(http://www.sony.jp/radio/products/ICF-B99/)
機能:FM/AMラジオ、スマホ充電、LEDライト、ホイッスル付き、防滴仕様
給電方法:単3乾電池、内蔵充電池(USB AC充電)、手回し充電、太陽光充電
このSONYのラジオの4つの給電方法のうち持ちぐあいで実用的なのは、単3乾電池での使用と内蔵充電池(USB AC充電)での使用の二つ。災害時に電気が使えない状況下では単3乾電池で、電気の復旧後は内蔵充電池(USB AC充電)と単3乾電池の併用でラジオを聴いたりスマホを充電したりすることができる。手回し充電と太陽光充電は発電能力がまだ実用的ではなく、電気も使えず電池も無いといった非常用のときの一時しのぎとしてものに過ぎない
このSONYのラジオは、ラジオも長時間聴けて、スマホも充電できる、災害時に重要性の高いこの二点をカバーできるので非常に役立つ防災グッズとなる――ただし、ラジオを聴きながらスマホを充電することはできない。電気が復旧しない状況下でも乾電池さえあればスマホのバッテリーを心配する必要がなく、電気が復旧したあとでもスマホの本体充電の際にモバイルバッテリーとこの多機能ラジオも一緒に充電しておけば頻繁に充電しにいく手間も少なくなる
この機種は「ICF-B99」だが、もう一つの多機能ラジオ「ICF-B09」は太陽光充電がないかわりにランタンのように使えるソフトライトが付き、懐中電灯ように使えるLEDライトと合わせて二種類のライトが使えるようになっている。しかし、「ICF-B09」は内蔵バッテリーがないため、給電方法は単3乾電池と手回し充電の二つだけとなる。私の個人的な意見としては、太陽光充電をなくして「ICF-B09」のソフトライト機能を付けながら、「ICF-B99」のように内蔵バッテリーを搭載したいいとこ取りの製品があるとよりベストな多機能ラジオになるかと思う
ジップロック
非常用持ち出し袋に非常用持ち出し用品を入れるとときに中身をポリ袋やレジ袋で小分けするなら、小分けもできて防水もできるジップロックで小分けしたほうが便利。ジップロックはポリ袋の代用になるだけでなく、いざというときは簡易水筒やごみ袋、食品を入れる器代わりにもなる。ジップロックのバッグタイプには5種類ほどあるが、その中でも非常時に適しているのがイージージッパー。イージージッパーは厚みがあり人気の商品。フリーザーバッグはジッパーをパチパチと閉めるタイプの製品だが、イージージッパーはスライド式のジッパーでつまみを動かすだけなのでフリーザーバッグに比べると格段に開け閉めが楽。ただ全てのジップロック製品にいえることだが、これらは完全防水ではない。液体を入れて持ち運ぶと液が漏れるし、水の中に水没させれば内部に浸水する。私が試しにフリーザーバッグとイージージッパーに水を入れて横に傾けてみると、少しずつではあるがどちらともポツポツと横から水がこぼれるのが確認できた。若干イージージッパーのほうが液漏れ速度が早かったが、フリーザーバッグであっても液漏れがあったので、どちらも防水性能は同じくらいだと考えたほうがよい。そしてそれは完全防水ではなく防滴仕様程度だと思ったほうがよい
緊急連絡先
・携帯電話から緊急通報した場合、場所等の再確認でかけ直す場合があるため通報後は携帯電話の電源を切らないこと。近くに公衆電話があればそれを利用する
・電話がつながにくい場合はTV・ラジオやネットから情報収集する
・一番大切なのは、周りの人に助けを求めること。誰かがきっと助けてくれる
行政/自治体
区役所/市役所
┗避難所の運営に関することは役所の災害対策本部があればそこに問い合わせる
保健所
消防署
┗医療機関案内・災害情報案内など
―
※東京の場合
東京消防庁 消防相談:03-3212-2119
┗災害情報案内・消防相談
東京都総務局総合防災部(東京都の災害対策全般):03-5388-2453
東京都総務局復興支援対策部(都内避難者支援対策全般):03-5388-2384
東京都保健医療情報センター(ひまわり):03-5272-0303
┗医療機関案内、その他医療相談
――
日本赤十字社 東京都支部事業 救護課:03-5273-6744
ライフライン
※東京の場合
イーレックス・スパーク・マーケティング:(一般)0120-124-862/(契約者専用)0120-613-700
東京電力:0120-995-002
東京ガス:0570-002211/03-3344-9100
東京ガスライフバル○○
水道局お客様センター(23区内):03-5326-1101
水道局 ○○営業所
クイックダイヤル
– 110:警察への緊急通報(事件/事故)
– #9110:警察相談専用ダイヤル
┗普段の生活の安全や平穏に関わる様々な悩みごとや困りごとの相談窓口。110番するほどの緊急性がない場合に利用
– 119:消防機関への緊急通報(火災/救急)
– #7119/03-3212-2323:東京消防庁救急相談センター
┗受診等の判断・応急手当に関するアドバイス、医療機関案内。急な病気やケガをした場合に、「救急車を呼んだほうがいいのかな?」、「今すぐ病院に行ったほうがいいのかな?」など迷った際の相談窓口。大規模災害時は119番が繋がりにくくなる
– 118:海上保安本部への緊急通報
– 171:災害用伝言ダイヤル
– #8000:小児救急電話相談
┗夜間・休日の急な子どもの病気にどう対処したらよいのか、小児科医師・看護師への電話相談
– #8011/050-3369-6666:日本道路交通情報センター(JARTIC)
– #8139/0570-00-8139:JAF ロードサービス救援ダイヤル
– #9910:道路緊急ダイヤル
┗道路の陥没、落下物、路面の汚れなどの道路の異状通報。事故の場合は119番
アフターケア
東京ボランティア・市民活動センター:03-3235-1171
┗ボランティア全般
よりそいホットライン(社会的包摂サポートセンター):0120-279-338
┗どんなひとの、どんな悩みにもよりそって一緒に解決する方法を探す
東京都自殺相談ダイヤル(こころといのちのほっとライン):0570-087478
女性の人権ホットライン(法務省):0570-070-810
┗セクハラ・DV・ストーカー被害など
心の防災
行動防災
発災から避難まで
・地震発生時はテーブルの下に隠れたり物を頭の上にかぶせたりして落下物から身を守る。物が「落ちてこない・倒れてこない・移動しない」場所に隠れる。余裕があればドアを開けるなどして避難経路を確保する。ケガをしないように底の厚いスリッパで足を保護して室内を移動する。停電した場合はヘッドランプを使用する。ただし裸火は厳禁
・揺れが収まってからガスの元栓を閉めて火の始末をし、いつでも避難できるように、部屋の窓や戸、玄関のドアを開けて出口を確保する。通電火災を防ぐために電気のブレーカーを必ず切る。余裕があれば電気器具のコンセントも抜く。家を出て避難するときは災害時に頻発する侵入窃盗を防ぐために家に鍵をかけて避難する。また、漏水を防ぐために水道メーターの元栓を閉めてから避難する
・二階にいた場合、古い建物の1階は倒壊して身体が押しつぶされる危険があるので、あわてて1階に下りないこと。トイレにいた場合、閉じ込められて避難できなくなるおそれがあるため、揺れを感じたら閉じ込められないようドアを開けておく。浴室にいた場合、鏡や電球などのガラス類の飛散から身体を守るため、洗面器などを頭にかぶって保護しながらすぐに浴室から出て安全な場所に移動する
・教室にいた場合は、飛散した窓ガラスの破片や照明器具の落下を避けるため、窓から離れ、机の下に隠れ、脚を持って揺れが収まるまで待機する。廊下ではすぐに窓から離れ、階段では転げ落ちないよう手すりにつかまる
・電車内では強い揺れを感知すると電車は緊急停車するため、人に衝突したり倒れる危険がある。座っていたらカバンなどで頭を保護し、立っているときは姿勢を低くして身を守る。満員電車では手すりやつり革にしっかりつかまり、足を踏ん張って倒れないように
・屋外にいた場合は、ガラスや塀、建物からすぐ離れる。周りに建物がない公園や指定避難場所へ速やかに移動する。ラジオや速報ニュースなどで情報収集を行う
・百貨店・スーパーにいた場合は、商品の散乱やショーケースの破損などに注意して、階段の踊り場や柱の近くへ。コンビニでは買い物かごなどをかぶり身を守る
・エレベーターの中で揺れを感じたら、すべての階の行先ボタンを押し、止まった階で降りる。閉じ込められたらインターホンで連絡する
・沿岸部など海に近い場所にいた場合、海岸には早くて数分で高い津波が到達する危険があるため、すぐに内陸部の高台に移動する
・車に乗っていた場合、急にスピードを落とすと衝突の危険あり。ハザードランプを点灯して徐々に減速。車は道路左側に止めてエンジンを切り、揺れが収まるまで待機する。可能であれば駐車場または広場へ。避難する際は、緊急車両通行時に車を移動できるように、キーは付けたままドアロックをせず、連絡先メモを残し、貴重品や車検証を持って車から離れる。災害発生直後から人命救助や消火活動のため交通規制が行われるので車を使って避難しないようにするのが原則。しかし、車での移動が日常的であったり、徒歩での避難が困難な高齢者も多く、実際、東日本大震災では6割近くの避難者が車を使って避難したことが明らかになっている。国はこうした高齢化社会に対応するために、車を使った安全な避難方法を検討している
・繁華街などにいて広い所に逃げる余裕がない場合は、耐震性の高い比較的新しい鉄筋コンクリートのビルに逃げ込む。人混みで最も怖いのがパニックになること。これは群集心理によるもの。人の多い場所こそ、冷静な行動が求められる
・揺れが収まって避難する場合、余震や停電でエレベーターが停止するおそれがあるので、階段を使う
・災害時のNG行動
┗ガスに引火して爆発する危険があるので、火をつけない
┗電話回線がパンクするので、発災直後に不要不急の電話の使用を控える
┗火災の危険があるので、ブレーカーを上げて通電させない
┗ケガをする危険があるので、部屋の中を裸足で歩かない
┗火災や爆発の危険があるので、電気のスイッチに触らない
┗ケガをする危険があるので、救出活動はひとりではなく複数で行う
┗閉じ込められる危険があるので、エレベーターは使わない
┗緊急車両の通行の妨げになるので、避難に車は使わない
・災害発生時に万一部屋に閉じ込められたり、身動きできなくなった場合、大声を出し続けると体力を消耗し、命の危険がある。特に火災が起きている場合は、大声を出すと煙を吸ってしまうので、硬い物でドアや壁をたたいたり、大きな音を出して、自分が屋内にいることを知らせる
・浸水被害などで孤立したときに救助を求めるときは、自分を目立たせ相手に気づかれやすくする。上空の救助ヘリに対しては姿見などの大きい鏡を反射させる、オレンジ・黄色などの目立つ格好をする、白い布を振るのが効果的。周囲の人に対して助けを求めるときは大声を出すとすぐに体力を消耗してしまうため、笛を吹く。また、電話が使えなくとも、メールやSNSは通じるためそれらを効果的に使って多くの人に拡散を希望し救助を求める
避難
(東京防災)
↑避難するかしないかは人任せにせず、ラジオやテレビ、行政などからの情報、自分の目と耳で確かめた情報をもとに、上のフローチャートを参考にして判断する。災害の種類、地震なのか火災なのか河川の氾濫なのか、また被災場所や被害の大きさによって、避難したほうが良いのか自宅にとどまったほうが安全なのか、避難するとしたらどの方向へ避難するべきかを考える。行動する前に必要なのは、正しい情報を得ること
・家の内外を目視する。火の始末はできているか、避難するための経路は確保できているか。ラジオなどの情報に耳を傾けながら、しっかりまわりの状況を目視する。家の中からあわてて飛び出すと、落下物に当たって負傷する危険がある。まずは落ち着いて、家族と家の中の安全を確認。その後、周辺で危険な物・建物がないか、火災が発生していないかなどを自分の目と耳で確かめる
・大災害の場合は適切な「避難場所」へ、そうでない場合は近くの「一時集合場所」に行き、さらなる情報交換を経た後、自宅に戻るのか、避難場所・避難所へ行くのか今後の行動を決める。例外として、大地震の場合は本震の後にも本震級の余震が何度も襲ってくるため、たとえ本震で家が無事でも、<今後も確実に生き残れる生活をする>ために発災後一ヶ月は避難所に身を寄せるべき。大地震の後に「もうこれより大きな地震は来ないだろう」と誰もが思いたくなるが、これは人が自分にとって都合の悪いことは楽観的に考えようとする“正常性バイアス”という心理特性に基づいており、なんの科学的根拠もない希望的観測である。2016年 熊本地震で最初の大地震の後一旦は避難所に避難したものの、余震の本当の怖さを知らずにすぐに自宅に戻った多くの人びとが次に襲った大余震(後にこの大余震が一連の熊本地震の本震であると気象庁によって訂正された)で倒壊圧死した事例が物語っていることは言うまでもない。地震後一ヶ月は、家が無事であっても、より安全な避難所で生活するべきである
・非常用物資(防災用品)については、水と食料は3日分用意しておくのが理想とされ、他に道具としてヘッドランプ、ラジオ、点火棒、ナイフ、革製の手袋、衣類、ごみ袋などを用意しておくとよいとされる。これらはリュック等に詰めておき、両手が使える状態で避難できるのが望ましい
・自転車を使う場合は、普段建物に繋いで使っている防犯チェーンも一緒に持っていく。災害時の自転車避難は機動力が持ち味だが、がれきや破片の散乱で路面状況が最悪なら徒歩のほうが安全
・人混みはパニックに注意。周りのパニックに動揺せず冷静な判断と行動が求められる
・地下では壁伝いに移動する。地下街には60mごとに非常口が設置されているので、ひとつの非常口に殺到せず、壁伝いに歩いて避難する
・火災の煙は命を落とす危険がある。火災時は煙から逃れること。濡れたハンカチなどで口・鼻を覆おおうなど、できるだけ低い姿勢で、煙を吸わないようにして移動する。煙で前が見えない場合は壁伝いに避難する
・津波の心配があるのは、海のそばだけではない。津波は川下から川上に向かって押し寄せてくるので、川の流れに対して直角方向に早めに避難する。津波を見てから避難したのでは遅い
・冬場の避難は、寒さで体調を崩しがち。体調を崩さないように防寒対策を十分にとることが重要。タオルをマフラーの代わりにして頭と首を覆う。えり元は固定して上着の中に入れる、上着の裾は手袋の中に入れる、上着はズボンの中に入れる、ズボンの裾は靴下の中に入れるなどして隙間をなくして熱を逃がさないようにする。レインコートも雨風をよけて防寒具になる
・広域避難
広域避難とは、自分の住んでいる地域や市町村内にとらわれずに災害地域からできるだけ遠くへ避難する行動方法。地震の震源域、河川の氾濫・決壊箇所、集中豪雨の被害地域、火災延焼地域などの災害地域から遠く離れるほど、災害に巻き込まれる危険性は低くなる。また、ライフラインが止まり、がれきや破片が街中に散乱して交通麻痺が生じている災害地域でなお自宅や避難所で生活するのは苦行である。その意味でも、長期移動が可能な場合は災害地域から遠く離れた場所に避難し、災害が落ち着くまで広域避難を続けるのが自分の命を守るためにも、精神的な安定の面でも有効な避難方法である。広域避難の場所としては、遠く離れた実家や親戚の家、友人のところへ身を寄せるなどが一般的。しかし、大災害ともなるとほとんど全ての交通機関は麻痺する。道路は割れ、陥没し、車やバスは通れず、電車も動かない、路面状況の悪い中で自転車で長時間移動するのも難しい場合がある。せめて車が通れるのなら、自分から遠くに避難したり友人や家族に車で迎えにきてもらって疎開することもできる。だが移動が困難だと判断された場合は、へたに動かず、広域避難できるようになるまで避難所で過ごすしかない。
そもそも広域避難は、海抜ゼロメートル地帯などの浸水が予想される地域、すなわち墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区で打ち出された独自の対策である。台風・大雨などで浸水の恐れがある場合、事前に鉄道や車で区の外へ避難するという大規模な対策である。こうした地域では、広域避難勧告は930hPaで直撃と予測されるスーパー台風の上陸24時間前までに発表するという計画になっている。しかし近年は温暖化などの影響で台風や大雨の予測が難しくなってきている。このように、自治体からの発令が遅れた場合、発表した時点ではもう大雨・暴風で避難することができないといったことが起こりうる可能性は無視できない。
避難生活
・自宅で居住の継続ができる状況であれば、「在宅避難」をする。食料や水など必要な物を日頃から備え、電気ガス水道のライフラインが止まっても数日間在宅避難できるように準備を整えておくことが大切
・下水があふれ出すことがないか、自宅の排水設備が破損していないかなどを確認する。道路に下水があふれるなど下水道が使用できない場合には、備蓄している携帯用(非常用)トイレや行政が用意したトイレを利用する
・水分・塩分の補給を大事にする。トイレを我慢するとぼうこう炎、便秘、エコノミークラス症候群などにかかる危険性が高まるので我慢しない。我慢するよりもどうしたらトイレを清潔に快適に使えるかを考え改善することに取り組む
・食中毒は一年を通じて発生する。防止に最も有効なのが手洗い。食器にも注意が必要。水が使えないときは使い捨て容器にラップを敷いて使うとよい
・こまめに手洗い・うがいを心がける。食事をする際や、トイレ・外出先から戻るたびに洗浄と消毒を行い、食中毒や感染症の予防を意識する。水が貴重だからといって歯磨きやガムを噛むなどの口腔ケアを怠ると肺炎などの病気にかかりやすくなるので、特に就寝前には歯磨きをするよう心がける。臭いや汚れを取り除くために水を使わないシャンプーで頭皮を清潔に保ち、ウェットティッシュで身体を拭く。お湯で頭や身体を洗い流せるのであればそれが一番良い。水が貴重な中で洗濯をする場合は上着より下着から優先的に洗濯する。着替えの服が少ない中で服を汚さないようにかっぽう着やエプロンを着用する。多くの人が出入りする避難所での盗難被害を防ぐために常に貴重品は肌身離さず持っておく。そのためトートーバッグを非常用持ち出し袋の中に入れておくのがおすすめ。他人のいるところではお金の話をしない
・炊き出しの際は髪の毛が料理に混入しないようにシャワーキャップなどを着用する
・暗い日曜日など気分が沈む音楽はかけない
・避難所生活が長引くと運動不足になりがちになり、体力の低下や気分の落ち込みを招きやすくなる。朝夜にストレッチをしたり、定期的に歩くなど、しっかり運動をして健康を保つようにする
・野菜不足
阪神・淡路大震災の被災者に災害時に最も食べたかった食べ物をきいたところ、温かい食事はもとよりその多くが野菜だと答えた。食料備蓄にアルファ米や乾パンを用意することはあっても野菜を備蓄することは少ない。それに加えて交通状況の悪化などによって野菜の流通に影響が出て価格が高騰する。また野菜は水分が多くて腐敗しやすく、たとえ避難所に野菜が届けられたとしても生野菜を調理するために多くの水や燃料を使わなければならない。これらの理由から避難生活で最も不足するのは野菜だといわれている。野菜や魚類の不足、加えて運動不足によって多くの避難者に便秘、口内炎、肌のトラブル、血圧の上昇、不眠、疲れ、食欲不振などの問題が生じた。そこでサプリメントや野菜ジュースを配り、配給食にカット野菜を付け加えたところ、特に便秘を訴えていた人に劇的な症状改善が見られた。避難所で心身の健康を保っていくために野菜を摂ることがいかに重要であるかが分かる。最近は野菜の備蓄も可能である。野菜ジュースに加えて、缶詰のポテトサラダや野菜をたっぷり含んだカレーなどのレトルト食品も数多くある
・地震によって交通状況が悪化したりごみ処理施設が被災するとごみ収集がままならなくなる。避難所やごみ置き場では大量のごみが数日間放置され不衛生な問題と化す。そこで、救援物資を届けに来た自治体のトラックが帰りに空っぽになった荷台にごみを積んで帰るという妙案もある
・避難所生活は見知らぬ人たちとの共同生活の場である。そうした場において孤独や不安、寝たきりを防ぐためには、避難住民同士が積極的にコミュニティーを形成してコミュニケーションを図り合い、行政やボランティアに頼りきりになるのではなく避難者皆がそれぞれの役割を担って避難所を運営していく助け合いの部分、すなわち「共助」が重要になる。阪神・淡路大震災のある避難所では、行政やボランティアだけに頼らずに避難者みんなで避難所を運営していく体制をとろうと、お風呂をたく人、救援物資の受付をする人、家々の見回りに同伴してくれる人などを避難者から募集し、そうした活動ごとに班を設けることで、避難者同士の共助体制を整備し避難所の運営を維持した
・電気が復旧してからも物流がダメージを受けているため食料品の確保には苦労する。スーパーに行っても3時間、5時間並ぶことになり、いざ入店となっても一人10点までと制限がかけられたりする。飲料水に関しては、スーパーに行かずとも電気が復旧すれば自動販売機で買い込むことができる。意外と自動販売機は皆ノーチェックだったりする。最近は「災害救援ベンダー」と書かれた自動販売機も目立つ。これらの自販機は、災害などで停電したときに専用キーや無線通信によって非常用電源に切り替わり、無償で飲料水を提供できるようになっている
お鍋で炊飯
↑カセットコンロでお米を炊く。試しに1合で
↑炊き上がり。慣れれば炊飯器より早い
↑1合分は約345g
↑初めてにしては良い出来。炊飯器で炊くより美味しい!
(1) フタ付きの鍋、洗った米、水を用意する。水の量は洗う前の米の1.2倍の容積、または洗った米と同じ容積。おかゆの場合は洗う前の米の10倍の容積
(2) 洗った米と水を入れてふたをし、30分以上浸したら中火にかける。沸騰したら弱火にし、ふたを少しだけずらして11分ほど炊く。おかゆの場合は弱火にしたあと40分ほど炊く
(3) 火を消し、ふたを取らずに約10分蒸らす
ポイント
・土鍋推奨
・水の量は洗う前の米の1.2倍の容積。一合の場合、水の量は<容積 一合分+一合分の1/8>が目安。1/8=0.125なので、この容積量で洗う前の米の1.125倍。研いだ後に鍋から水を切るが、このとき若干残る残り水を考慮すれば1.125倍の加水で丁度良い。(一合+1/8)=1.125倍=200ml。したがって、一合分炊飯の場合の水の量は、<水切り後の残り水+加水200ml>
・おかゆの場合の水の量は洗う前の米の10倍の容積で、米 1/3合(60ml)で、水 600mlが目安。中火で沸騰させて、沸騰したら弱火にし、このとき焦げ付きを防ぐために一度しゃもじで底を混ぜるとよい。ふた少しずらして弱火のまま40分ほど煮込めば完成
・米は11分程度時間をかけてゆっくり沸騰させると甘みが増す。分量が少ないとすぐ沸騰してしまうので火加減を調節する
・10分蒸らしたあと、すぐに食べずともとりあえずご飯をほぐしておくと美味しく長持ちする
・一合分の炊きあがり量は約345g
その他
・眼鏡、携帯電話、ヘッドランプ、スリッパ、靴下などはベッドのそばに置き、就寝時の急な災害や停電時にも対応できるようにしておく。ヘッドランプはベッドの傍の決まった場所に置いておくと停電時にも安心。眼鏡は日頃からケースに入れてから寝るようにすれば、破損を防ぐことができ、あわてずにすむ
・懐中電灯よりもヘッドランプ
一般的に災害時の明かりとして懐中電灯が必要だと言われている。しかし実際被災者の多くが本当に必要なのは懐中電灯より両手が空くヘッドランプのほうだったと語っている。照らすのに片手が塞がってしまう懐中電灯よりヘッドランプのほうが防災グッズとして実用性が高いのは納得がいく。ただ、災害時および停電時における照明とは精神的な面でも非常に重要な問題であることから、懐中電灯とヘッドランプどちらか一つではなく、どちらも用意しておくのが最善手。ちなみに私は防災グッズを揃えるにあたり一番総合費用が高かったのが照明グッズで、ヘッドランプ、懐中電灯、クラッシャブル ランタンシェードの用意に合計1万円ほどかけた
・軍手よりも革製の手袋
がれきや破片が軍手を突き破って怪我をするおそれがあるため、実際には軍手より丈夫な革製の手袋のほうが防災グッズとして適している
・断水になると、最も困るのは生活用水が使えなくなること。いざというときに備えて、常に浴槽に水を張っておくとよい。それが難しい場合は、災害が起きた直後に行うべきいくつか行動の中に、浴槽に水を貯めることを加える。災害直後はまだ水道が通っている可能性があるので、断水になる前に浴槽、バケツ、ウォータータンクなどにできるだけ水を貯めておく
・持ち出し袋に入れる非常食
非常用持ち出し袋に入れる非常食はとりあえず生き延びるための最低限の備蓄と考える。発災直後、まず水が不足する。したがって持ち出し袋に入れる非常食は、水を使わないあるいはそれ自体が水分のあるもの、そのまますぐに食べられる手軽で軽量なもの、カロリーと栄養があるもの、これらの条件を兼ね備えたいわゆる登山における行動食のような栄養補助食品を中心に揃えておく。特に水不足の環境ではそのまま食べられるレトルトおかゆやゼリー飲料は喉を潤してくれるので有用である。非常にカロリーの高いマヨネーズは登山者の間で定番の行動食であり、災害時もご飯やパンに合うので絶対に入れておきたい。これらの栄養補助食品を中心にしつつも、発災直後から食料救援が来るまでの避難所での食糧不足を乗り切るための主食とおかずも少しは入れておきたい。主食には水だけで調理できるアルファ米、おかずは肉魚豆卵の缶詰を中心に揃える。長期戦にそなえ、野菜スープや果物缶詰などの栄養と癒やしを満たしてくれる非常食も忘れずに
・食料備蓄
冷蔵庫/冷凍庫が使えなくなる停電時は“保存期限の短いものから消費するのが基本”になる。冷凍食品は冷蔵庫に移し変え、冷蔵庫内を冷やす役目もしながら徐々に解凍する。冷蔵食品から食べ始め、次いで解凍された冷凍食品を消費、最後に缶詰やミートソース缶などの長期保存食品に手をかけるとよい。カップ麺は非常食として考えられがちだが、賞味期限が短い上に簡易容器のため衝撃に弱い。これに対してそうめんならば、安価で賞味期限も長いのでランニングコストが低く済む。加えておかずや調味料との相性も良く、白飯代わりの主食にもなる。一方で、長引く被災生活で野菜が摂れなくなるとビタミンやミネラル、食物繊維などが不足して栄養の偏りから免疫力が低下して体調を崩してしまう。肉や魚、豆などの缶詰はタンパク質を補い免疫力の低下を防ぎ、うまみのある温かいスープは劣悪な食生活の中において最高の一杯となる。災害用の食料備蓄で重要なのは好物を備蓄すること。発災時の精神的に不安定な状態では食欲もなくなるので、自分へのお見舞いの気持ちで少しでもおいしいと思えるものを用意しておく。例えばみかんなどの果物缶詰は被災生活で不足しがちなビタミン・ミネラル・食物繊維を補える上に水分補給もできるし、甘いものは癒やしになりストレスを和らげてくれる。賞味期限が切れる前に消費しその分を新たに買い足す「ローリングストック」を採用すれば食料備蓄に好物を揃えることは難しいことではない。「ローリングストック」は日常備蓄ともいい、日常的に消費する食料品、日用品、化粧品の予備をいつも備蓄しておき、そのストックがなくなったらすぐにまた買い足す備蓄方法。常に予備があるという点がポイント。実際の被災者の多くが、「なくなるとどうせ買うのだ。買えなくなった時、非常に困る」といって被災後にローリングストックを採用した例が後を絶たない。非常食を揃えるとき、複数人で暮らしているような家族であれば種類が豊富でまとまって大量購入できるネット通販が確かに便利ではある。しかし一人暮らしや二人暮らしの場合は、まとまった量しか買えないネット通販では逆に不便であり、たとえ単品で購入が可能でも送料がかかり無駄にコストがかさんでしまう。例外的にAmazonでAmazon発送の商品でまとめれば送料を安く抑えられたり、東急ハンズネットストアであれば非常食が単品単位で購入可能である。基本的にネット通販は、物を多種小量に揃えるのには向かないと思ってよい。そのため、一人暮らしの場合など非常食を種類を多く量を少なく揃えるといったケースでは、ネット通販ではなく近場のスーパーやホームセンターで非常食を揃えたほうが費用を安く抑えられる。非常食が置いてあるお店はスーパーをはじめ、ショッピングセンター、ドラッグストア、東急ハンズ、Loft、ホームセンター、アウトドアショップなどが挙げられる。缶詰や菓子など日常でも消費するようなものはスーパーで揃え、アルファ米や長期保存水などの非常食に特化したものは防災グッズがあるホームセンターで揃えるなど、複数のお店を回って必要なものを必要なだけ購入するのがよい。どうしても、長期保存に特化した非常食はホームセンターなどに行かないと置いていないので、なるべく近くのスーパーでも買えるようなものを中心に非常食を揃えるようにしながら、適材適所に防災用非常食も活用していくのが賢いローリングストックだといえる。食料品は賞味期限を過ぎたら入れ替えていかなければならず、防災用品の中で唯一ランニングコストがかかる。災害にそなえることは大事だが、頻繁に起きない災害のために高いランニングコストをかけるのは避けたい。例えば3年保存できる非常食を3000円分購入し、これを維持していくのには1000円/年かかると考えよう。これが1年保存なら3000円/年だ。日常備蓄の割合を増やしながら、できるだけ非常食のランニングコストを抑える工夫が求められる。/一方で非常用持ち出し袋に入れる食料は封を切ってすぐ食べられるものを中心に揃えていくのがよい。身軽に避難できることが第一のため、非常用持ち出し袋の中身は必要最低限のものだけにし、水は多くても500ml×3本までにする。一人暮らしではない場合は、居住人数分に非常用持ち出し袋を分散することも可能
・足場が悪い被災地では、足元を守ることが重要。靴がぬれないよう、靴の上からポリ袋をかぶせて、くるぶしあたりでひもを結べば簡単に靴を保護できる
・災害等緊急時における公衆電話
災害時に回線が混みあうと通信規制が行われるが、公衆電話はその規制の対象外であることから、優先的に取り扱われる。また、公衆電話はNTTから直接電力の供給を受けているため停電時でも使用できる。ただし、停電時にテレホンカードは使用できない点に留意。災害・緊急時は公衆電話が無料になることが多いが、最初に10円硬貨が必要な場合もあるので、公衆電話用に10円硬貨の用意をしておいたほうがよい
・経口補水液
脱水症状を防ぐため、吸収率が水の約25倍の「経口補水液」を作っておくとよい。材料は、水、砂糖、塩だけ。水 1Lに対して、砂糖 大さじ4杯(約40g)、塩 小さじ0.5杯(約4g)を溶かす
・洋式トイレで、断水していても排水ができる場合は、バケツ一杯の水で排泄物を流すことが可能。小便はまとめて流し、トイレットペーパーなどは流さずゴミとして捨てる
・簡易トイレ
便座を上げ、ポリ袋ですっぽり覆う。2枚目のポリ袋を便座の上からかぶせ、細かく砕いた新聞紙を重ねる。新聞紙は凝固剤の代用品になる。用を足したあとにさらに上から猫砂や消臭剤、オガクズなどをかぶせると効果アップ。凝固剤があれば新聞紙や猫砂は要らない。ポリ袋は二枚重ねて上の一枚だけを始末すれば袋の外側にトイレの水がつかず清潔。汚物を入れたポリ袋の口をしばってそれをBOSなどの防臭袋に入れて二重にして処理をすれば臭いが漏れる心配がない
・清拭剤[せいしきざい]を含ませたタオルで身体を拭くと、少ない水で清潔を保つことができる
・歯ブラシなしで歯を磨く
約15cm四方のガーゼ、またはティッシュペーパーを指に巻き付け、歯のざらつきがなくなるまで磨く。歯ぐきや舌も拭い、水ですすぐ。湿潤化による細菌増殖防止のためにウェットティッシュがあるならそれを使用する。阪神淡路大震災では、震災関連死の原因の多くを肺炎が占めた。口腔ケアは肺炎予防のために非常に大切で、水不足の状況下でも怠ってはならない
・簡易ランタン
懐中電灯(またはヘッドランプ)にかぶせた白いポリ袋の持ち手を、懐中電灯に結び付ける。光がポリ袋全体に優しく広がる。懐中電灯やヘッドランプの光をランタンのようにしてくれる「クラッシャブル ランタンシェード」(mont-bell)というものもある
・子どもができる遊び
子どもは遊ぶことで被災のストレスを発散する。例えば「じゃんけん列車」は大勢で楽しめる遊び。まずはそれぞれが、身近な人をひとり見つけて、二人でじゃんけん。負けた人は勝った人の後ろにつき、前の子の肩に手を置いてつながり「列車」になる
・新聞紙の活用
新聞紙を断熱材にする。 寒いときは、下着と上着の間に新聞紙を入れると、空気の層ができて暖かくなる。その上にラップを巻けばさらに効果的。新聞紙を掛け布団にして掛けるだけでも暖かさがだいぶ違う
・2種類のロープの結び方を覚えよう。柱や棒にロープをくくり付けるときや工作や細かい物を縛るのに向く「巻き結び」、同じ太さのロープなどを長くするときや三角巾を結ぶのに向く「本結び」
(東京防災)
↑左が「巻き結び」、右が「本結び」
・ろ過
※下記いずれのろ過方法でも飲料水には適さない
(α) 布を絞って別のバケツに水を移し替えると、サイフォンの原理で布に汚れが付着してある程度きれいな水が得られる
(β) ケチャップの容器をスポイト代わりにして濁った水のきれいな上ずみ部分を吸い取る
・雪山登山家は雪を直接食べることはせず、火でお湯にしてから口にする。冷たい雪を直接食べると身体の芯から冷たくなり寒い所では人命に関わる。寒いときは冷たいものは食べずに少しでも温かい食べ物やお湯を身体に取り入れると生存率が上がる
・一人で家に戻ったり一人で行動しない。一人が怪我をしても周りの人がすぐに助けを呼べるように声を掛け合いながら助け合うことが大切
・LINEの活用
災害時は効率的に複数の相手と情報共有ができるグループLINEが有効活用できる。災害に関するニュースをグループLINEで家族・仲間と共有し合うといった便利な使い方ができる
自分の安否情報をステータスメッセージ(ひとこと)に登録しておけば友だちになっている人全員に周知することができる
・大規模災害時には各地域で被害を軽減するための役立つ情報を発信する「臨時災害放送局(災害FM)」が一時的に立ち上がる。例えば2016年の熊本地震では、熊本県熊本市のくまもとさいがいエフエム、熊本県益城町のましきさいがいエフエム、熊本県御船町のみふねさいがいエフエムなどが発足した。各自治体のホームページから周波数や放送日程などを確認できる
・阪神・淡路大震災では早朝の時間に発生したため就寝中に家の下敷きおよび家具の倒壊による圧死がほとんどだった。併せて1階より2階のほうが建物倒壊による死亡のリスクは小さいことが分かった。一番無防備な就寝中に家が倒壊しないように耐震化を図ることがいかに大切か、また就寝中に家具が直撃しないための配置工夫と転倒防止が最悪の死を免れるためにいかに大切かが分かる
・室内の備え
できるだけ生活空間に家具類を多く置かないようにする
ドアや避難経路をふさがないように、家具配置のレイアウトを工夫する。部屋の出入り口や廊下には家具類を置かないように、据え付けの戸棚に収納する
発火のおそれがある家具・家電も転倒・落下・移動防止対策が必須。普段使っているもので想像もできないような家具家電が倒れてきたり落下するおそれがある。阪神・淡路大震災の被災者は、薄型液晶テレビやパソコン、プリンターなどの置き式の家具類が「飛んできた」「一瞬にして(家具が)凶器になった」と証言している
転倒・落下・移動防止対策はネジ止めが基本。最も確実な方法は、壁にL型金具でネジ止めすること。ネジ止めが難しい場合は、突っ張り棒とストッパー式器具、突っ張り棒と粘着マットを組み合わせると効果が高くなる。地震で落下故障でもしていない限り、一番最初に復旧する電気にともなって冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、電気ケトルなどの電化製品が使えるようになる。これらの電化製品が使えるようになるだけで食生活は劇的に改善する。こうしてみると、日頃から電子レンジや炊飯器などの落下防止対策をすることがいかに重要であるかが分かる
ガラス製の扉、窓、鏡などにガラス飛散防止フィルムを貼り、割れた際の破片飛散を防ぐ。飛散防止フィルムを貼るのが難しい場合は薄手のレースやカーテンを見直し、万が一ガラスが割れても部屋中に飛散しない工夫を考える
・過去に起きた阪神淡路大震災や新潟中越地震などの大規模災害のWikipediaを読み、災害時に何が起こるのか、何が危険になるのか、そしてどのような行動と対策を講じれば良いのかをシミュレーションすることが大切。加えて、ネットにある実際の被災者の体験談をとにかくたくさん読む。特に被災者の個人ブログがとてもためになる
・「厳しい命の現場に立ち会うことで、避難者からの問い合わせに対して、現時点で自分ができないことやわからないことは『できません』と答えるようになりました。非常時ではいたずらに期待を持たせることは混乱を招くだけだからです。震災が発生したら、自分でできることは自分でやらないと、命を守り生きのびることは難しいと実感しました。」<山田葉子さん(石巻市在住/被災当時45歳)>
・「地震は恐ろしいものだと教えるだけではなく、乗り越える力を学ばせることが大切だと思います」<藤田麻衣子さん(東京都在住/被災当時7歳)>
・ボランティアをするときに心がけること
┗不眠不休で頑張らない
┗被災地では信頼できる人と一緒に行動する
┗励ましの言葉を軽々しくかけずに、まずは相手の話を共感的に聞く
┗被災者が自分たちでやる仕事を取らない
┗涙が止まらなくなったら活動をやめる
┗できないことは「出来ません」とはっきり断る
┗相手の感情に巻き込まれ過度な哀れみや同情をしない
┗子どもと遊ぶときなどは過度に喜ばせようとしない
┗ボランティア活動の運営について批判はしない
――
参考元:災害支援ボランティアの心得10か条 – WAVOC
・家族会議を開き、災害時の安否確認の方法や集合場所をあらかじめ決めておく。さらに避難場所や避難経路、電気のブレーカーやガスと水道の元栓の位置、操作方法の確認も忘れずに
・発災後、帰宅のタイミングは原則72時間以降
・警戒宣言
近いうちに起きるとされている東海地震について、その発生のおそれがあると予知された場合に政府が「警戒宣言」を発令する場合がある。その手段はテレビ、ラジオ、防災無線、広報車など。つまり警戒宣言とは東海地震における特別警報のようなもの。特別警報は数十年に一度起こるか起こらないかぐらいの激甚災害を予報するものであるから、いずれにしても警戒宣言が発令されたときはいつでも避難できるように備える必要がある
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[警戒宣言発令後の行動ポイント]
ラジオなどで最新情報を確認する。火を使わないようにし、ガスの元栓を閉める。出口を確保し、棚の上にある物を下ろし、割れ物は保護する。浴槽に水を張る。動きやすい服装や靴に着替え、ヘルメットをかぶる。非常用持ち出し袋や貴重品の用意をする。家族や友人との情報共有
知識防災
災害別知識
台風
台風が接近してから屋外に出るのは危険。最新の気象情報を確認し、台風が接近する前に早めに避難することを心がける。避難するときは傘ではなく雨具を使い、非常用持ち出し袋を背負って両手が空いた状態で避難する。長靴は中に水が入ると歩きづらくなるので、浸水のおそれがあるときはスニーカーにする。出先で台風に遭ったときはただちに頑丈な建物の中に避難し、暴風雨が収まるまでは決して外に出ないこと。よくニュース映像で人々が傘をさしながら暴風雨の中を歩いているのを目にするが、飛来物が飛んでくる場合もあり非常に危険な行為。ただちに屋内に避難し暴風雨から身を守らなければならない
豪雨
日本では年々降水日数は減っている傾向にあるが、逆に大雨の日数は増えている。地球温暖化が進むと大雨が頻繁に発生し、勢力の強い台風の数が増え、海面上昇により海抜ゼロメートル地帯が拡大する。それによって大規模洪水や土砂災害、高波・高潮といった風水害の危険性が高まる
↑浸水した道路を進むときの注意点。とはいえ、浸水した道路を歩くのは極力避けること
積乱雲という大雨や雷、竜巻を引き起こす雲が近づいてくると、上空には黒い不気味な雲が現れたり、冷やっとした風が吹いたり、雷が鳴るなどの前兆がある。豪雨によって川はほんの数十分ですぐに増水・はん濫することがあるため、豪雨の可能性がある場合は河川に近づかないこと。橋の下の雨宿りも危険。また、道路が川のようになってしまった所では、たとえ浅くても強い水の流れによって歩行は困難を極める。どうしてもその道を通らなければならない場合は、道路脇の建物にしっかり捕まって、傘や手探り棒などを使って水面下を確かめながら側溝に落ちないように注意しながら進む。大雨が降りそうなときは、早めに屋内に入って避難する。地下に水が流れ込んだ場合、水圧がかかった中で内側からドアを開けて地上に脱出には相当な力が入り体力を消耗する。水深30cmまでならなんとか開けられるものの、それ以上は難しくなる。また、車のドアを内側から開ける場合は座りながらのため力が入りずらく、通常のドアを開けるときよりも困難で、水深10㎝でさえも開けるのはきついと感じるほど。先端が尖っている物でサイドウィンドウを割って脱出することも考えておく
一方で豪雨による土砂災害や河川の氾濫・決壊は雨が降った後にこそ注意が必要。大量の雨が降って地盤がゆるんだ所ではいつ土砂災害が起きてもおかしくないので雨が止んだからといって安易に近づかないこと。また、豪雨が河川の上流地域に降りしきると山に雨水が貯まり、それが下流に勢い良く流れこむことで、たとえ下流地域にそれほど雨が降っていなかったとしても河川水害に見舞われる場合がある。つまり、豪雨の後は、雨が降った後にこそ河川水害に注意が必要というだけでなく、上流地域では土砂災害や河川の氾濫・決壊に、下流地域では自分の地域のみならず、上流地域の降雨状況、またそれによる河川の水位情報にも注意をする必要がある。例えば秩父山地から東京湾に注ぐ「荒川」沿川地域で、足立区や荒川区などの荒川下流地域に住まわれているなら、豪雨が予想される場合には自分の地域だけでなくそれより上流の地域にどれぐらいの雨が降るのかも確認したほうがよい。もし上流地域でたくさんの雨が降った場合、上流から下流へ流水するため雨が止んでから二,三日は河川の水位に注意が必要である。荒川下流を管理する国土交通省 荒川下流河川事務所の職員は、豪雨が過ぎ去ってから一週間は土砂災害や水位の上昇の恐れがあるため万全の体制で臨むという。以下、荒川の主な沿川地域を示す
荒川上中流:秩父山地、秩父市、長瀞町、寄居町[よりいまち]、深谷市、熊谷市、鴻巣市[こうのすし]、吉見町、北本市、川島町、上尾市、川越市、さいたま市、志木市、朝霞市、戸田市、板橋区、川口市、北区
荒川下流:足立区、荒川区、墨田区、葛飾区
↑「河川と川の手地域」。東京の下町と呼ばれる東京の東部は川の水面よりも低い土地にある地域、いわゆる「川の手地域」が多い。こういった所はひとたび河川が氾濫したりするとなかなか水が抜けきらず(2~3週間程度)水害被害も大きくなる。一度自分の近くに流れている河川の水面と地面のどちらが高いかを調べておくとよい
↑「荒川氾濫による浸水想定」。足立区や葛飾区などの低地部は氾濫場所によっては浸水被害が大きい
他の災害よりも時間の猶予があるため、早めに対策を取るよう心構えておくとよいとされる。平時から、ハザードマップを参照して各家庭等で安全かつ素早く避難できる経路や避難先を相談しておくこと、自主防災組織では避難時の活動方法を事前に協議しておくことが、それぞれ望ましい。地震と同様、避難は原則として徒歩が望ましい。浸水で停車するリスクがある
葛飾区の場合
・葛飾区によると、中川・綾瀬川流域で2日間に総雨量355ミリメートル以上の大雨(100年に1回程度発生する規模)が降ると中川・綾瀬川で堤防が決壊する危険性が高まるとしている
・葛飾区によると、荒川流域で3日間に総雨量548ミリメートルの大雨(200年に1回程度発生する規模)が降ると荒川で堤防が決壊する危険性が高まるとしている
・葛飾区は周りを荒川・綾瀬川・中川・江戸川などのいくつかの河川に挟まれた低地の街で、海面よりも低いいわゆる海抜ゼロメートル地帯にある。こうした地帯はひとたび豪雨や荒川の氾濫に見舞われると水もなかなか抜けきらず壊滅的な水害を受けることが懸念される。各々が自分の街にかぎってそんなこと起こるはずない、と誰もが考えるだろう。だがその正常性バイアスこそが非常時の命取りになりかねないことだけは知っておかなければならない
・豪雨に見舞われたとき、総雨量の情報や近くの河川の氾濫情報にも注意し、いつ避難勧告がされてもすぐ避難できるように準備しておく。避難勧告が出されたときは、安全に避難できる場合なら電車やタクシーなどを利用して河川から垂直に離れる方向のできるだけ遠くへとすぐさま避難する。公共交通機関が使えない場合は近くの避難場所や避難所の3階以上の高いところに避難する
雷
金属を身につけていなくても雷は落ちる。雷に金属は関係ない。雷は約10Kmの広範囲の中で不規則に発生する性質があるため、雷がどれくらい遠くで起こっているのかを考えるのではなく、雷が鳴ったらもう危険なのだと判断するほうが賢明。雷は高いところに落ちる傾向がある。山などの高地、ビルの屋上などの高い所からはすぐに離れること。また木の下も、高い木から人へと通電するため非常に危険である。特にいまだに木の下が安全だと誤解している人が多い日本では毎年木の下で側撃雷を受け死亡する例が後を絶たない。一方で雷は高所、また背の高いものに落ちやすいものの、条件が揃えば平地、低いところにも落ちる。海、サッカースタジアムのフィールド、ゴルフコースに落ちた例もある。中には海に落雷したときに海水を伝って感電した例もあるため、雷の危険性があるときはすぐに水から上がる。雷はどこにでも落ちるので、屋外ではどこに居ても雷に打たれる可能性がある。また、避雷対策のされていない建物内では電化製品を介して感電することがある。電化製品などが吹き飛び、飛び散った破片によって死傷することもある。しっかりした建物の中、自動車、バス、列車、客船、飛行機の中などに避難するのが望ましい。屋内にいる場合でも窓ぎわと電灯やテレビなどすべての電化製品から1m以上離れ、部屋の真ん中で雷が過ぎ去るのを待つ。落雷によってパソコンやテレビなどの電化製品が壊れる場合もあるので、万一にそなえて電化製品のコンセントを抜く。雷からの人身防護として最も確実なのは、“雷注意報が出ているときは屋外に出ない”ことである
地震
屋内では、まずテーブルの下などに身を隠して安全を測るのが基本だが、ドアが歪んで開かなくなるのを防ぐため可能ならドアを開けて避難口を確保しておく。瓦や窓ガラスなどの落下物でけがをする危険があるので、慌てて外に飛び出さない。屋外では、まず落下物に注意してカバンやコートなどで頭を守るのが基本だが、近くに頑丈なビルや広場があればそこへ退避する。揺れが収まってから、遠くへ避難する場合でも原則として徒歩が望ましい。これは自動車避難が交通の混乱や緊急車両の妨げになる可能性があるため。避難時は、動きやすい服装で、持ち出し品は最小限とする。海辺では、津波は地震後すぐに到達する場合があることを考えて、揺れを感じたらすぐに避難する
津波
津波は地震などによって海底地形が急変したときに、その地形の隆起に伴って海洋が跳ね上がることで生じた波のことである。風によって引き起こされるような通常の波は一波一波の間隔が短く高さもないが、それに比べて津波は一波一波の間隔が非常に長く波高も巨大である。津波は水深が深いほど早く伝わり、水深5000mで約800㎞とジェット機並みの速さとなる。また沖合における発生直後の津波の高さはまだ低く、それは船に乗っていても津波が通過したことに気づかないほどであるが、陸に近づくにつれて水深が浅くなることで速度が遅くなった津波に次々と後続波が覆いかぶさり波の高さは巨大になる。陸における波高の高い津波の速度は約36㎞、つまり津波を見てから逃げたのではすでに間に合わないのである。「津波を見てしまったら死を覚悟しろ」と言われるのはこのため。津波は一度襲ってきたら終わりではなく、次の波が前回の波と合わさりながら何度も襲ってくる。最初にくる津波より後から来る津波のほうが高い場合があるのもこのためである。陸上に押し寄せる押し波と海水を沖へ引きずる引き波、この押し引きを繰り返しながら洪水のように長時間に渡って陸上に被害をもたらす。1993年の北海道南西沖地震では地震発生のわずか5分後に奥尻島に津波が襲ってきた例からも分かる通り、震源との近さによって津波の到達時間は異なってくるため、海岸部に居住する人は、大きな揺れを感じたら津波警報を待つことなく、直ちに高台や高い建物の上に退避するべきである。また、海底の変動の速さが遅いために地震の揺れとしては小さいにもかかわらず、海底面の変動が大きく予期せぬ大津波をもたらす「津波地震」と呼ばれるものがある。1896年の明治三陸地震では震度が2,3程度の小さい揺れのために危機感が高まりにくかった中で大津波が襲い、国内の津波災害史上最大の2万人を越す犠牲者を出した。この地震は数分に渡って岩盤がゆっくりずれ動く地震であり地震動の周期自体も比較的長かったが、巨大な力(マグニチュード8.2-8.5)をもって大きなエネルギーを海洋上に与えたことで大津波が発生したと考えられる。したがって揺れは小さいものの長く揺れるような地震の場合は津波地震を疑い、沿岸部の人は津波情報に留意したほうがよい。明治三陸地震で亡くなった人の中には、一旦避難したものの妻子を助けようと再び戻ったため命を失った人や家財道具を取りに戻って亡くなった人もいた。この地震によって人々に強く意識された「家財には目をくれず、とにかく身一つで素早く逃げる」「最悪の事態を想定して行動する」などの教訓は、津波災害から命を守るための先人からの真の教えである。家族が心配し合って逃げ遅れることがないように、あらかじめ津波から逃げるときの避難場所(待ち合わせ場所)を決めておいて、ばらばらであっても、それぞれが逃げることを家族で約束しておくことが大切だ
沖出し避難について
沖合における津波の高さは水深が浅い海岸付近に比べて低いという現象から、漁業者たちは津波から人命と船を守るために敢えて沖合に船を出し津波を乗り切ろうとするいわゆる「沖出し避難」をすることがある。陸上に避難すれば自分たちの命は守れるが、決して安くはない商売道具の船を津波から守ることはできないからだ。水産庁によると、沖出しのルールとして、(1)漁船が沖合にいる場合は、水深50mより深い海域に沖出し避難する、(2)陸上や海岸部、漁港内にいる場合は陸上の避難場所に逃げ沖出し避難をしない、と定めている。実際、沖出し避難が安全かどうかはケースバイケースで、津波の高さや到達時間、沖出し避難にかかる時間などを考慮した上で沖出し避難が十分に安全に可能であると判断された場合にのみ実行するべきである。これは確かに沖出し避難そのものを一律に否定するものではないが、かといって安易にどんな場合にでも「沖出し避難は安全である」と考えるべきではない
火災
関東大震災(1923年/大正12年)では木造家屋が密集していた下町が火災で大打撃を受けた。今でも江戸川区・葛飾区・江東区・足立区・荒川区・台東区・墨田区などの下町では木造住宅が多数あり、消防車が入れない狭い道が多くある。葛飾区の見解では、地震、津波、水害などあらゆる災害の中で最も葛飾区が弱い災害が「火災」だという
火災で恐いのは火そのものよりも煙。煙には一酸化炭素などの有毒ガスが含まれていて、それはあっという間に室内に充満し、階段をつたって上へと広がっていく。火災からの避難時は、できるだけ姿勢を低くし、タオルやハンカチで鼻と口を覆いながら素早く外に避難する。濡れたタオルやハンカチであるとなお良い。火は「酸素」「燃えるもの」「高い温度」の三つの条件がそろったときに発生する。水をかけるのは温度を下げることだが、そのほかにも燃えにくいものをかぶせて空気を遮断したり、火の周りから燃えやすいものを取り去って延焼を防ぐなどの消火活動も有効。江戸時代の消防は、隣接する家を次々と破壊していくことで周りへの燃え移りを防ぐ「破壊消防」という消火のやり方がとられていた
また、天井に火が回るとフラッシュオーバー(ある時点を超えると急速に火が燃え広がる現象)が起きやすくなる。いずれにしても、火災はいかに早く気づくか、そして延焼をどう防ぐかが重要となる。逃げるときは延焼や煙の広がりを遅らせるために扉を閉める。エレベーターは使わないこと
煙を吸い過ぎないために、できるだけ落ち着いて行動する。乳幼児、高齢者、障害者、病人などを優先して避難させる。いったん避難したら戻らない。煙の中では、濡れタオルなどで口と鼻を押さえて煙を吸わないように、姿勢を低くして避難する。空気を遮断し延焼を抑えるために、最後の避難者はドアを閉める。服装や持ち物などにこだわらず、早めに避難する。消火に気を取られて避難のタイミングを失わないようにする。なお、平時から2方向以上の避難口を確保しておくことがよいとされる。高齢者や病人などと同居している場合は、同居者が誘導することを考えて寝室は1階に設けることが理想だが、2階とする場合は2方向以上の避難口を用意し、枕元にホイッスルや呼び笛など音の出るものを常備しておく
火災発見時の初期行動
火災はまだ炎が小さいうちに初期消火を行うことが非常に重要。火災を発見したときは大声で「火事だー!」と周りに知らせつつ、まだ炎が小さければ自らが消火器を用いて初期消火を行う。炎がもう手に負えないほど大きくなっていたら無理に消火を行うことは避け、現場から離れて自分の身の安全を確保する
[消火器の使い方]
※一度消火体験をすれば、消火器の使い方がいかに簡単であるかが分かる。一度体験すればやり方も忘れない。各所にある防災館では消火体験もできる。都内では墨田区、池袋、立川に防災館がある
(1) 消火器の上部に付いている黄色の安全栓を引き抜く
(2) ノズルを外して火元に向ける
(3) 低姿勢を保って、レバーを握って噴射する。大きいもので使い切るまで30秒ほどだが、最後まで使い切って消火する
熱中症
日本の平均気温はここ100年間で約1.15℃の割合で上昇している。その温暖化にともなって熱帯夜や猛暑日の数が増えている。汗をかきすぎると、体中の水分や塩分が不足した状態になり、体温調節がうまくできずに体に熱がこもって熱中症になる。重度の場合は死にいたることもあり見過ごせない。特に大人より身長が低い子どもは地面からの熱の照り返しを強く受けるため体感温度が大人より高く、また大人より体温調節機能が発達していないため熱中症にかかりやすい。これはペットの犬も同様。一方で高齢者も暑さやのどの渇きを感じにくく本人が知らぬ間に脱水状態になっていたり、蒸し暑い夜でもエアコンを我慢したり、トイレが面倒だからと水分補給を控えてしまうことによって熱中症になりやすい。若者でも屋外での長時間の運動は熱中症のリスクが高まる。のどの渇きが来る前にこまめに水分と塩分をとり、帽子をかぶって直射日光を避けたり、長時間外にいないようにする。屋内外にかかわらず高温多湿の場所でめまいや立ちくらみ、手足がつる、痙攣、いくら拭いても汗が出る、逆に体温調節機能の低下によって汗が出なくなる、体温の異常な上昇、頭痛、吐き気、強い眠気、気分が悪くなるなどの症状が出たときは熱中症に注意。もし熱中症が疑われる場合は屋内の涼しい場所に横に寝かせ、足を少し高くし、衣服をゆるめ、靴下を脱がす。氷のうやぬれタオルで首すじ、脇の下、内もも、足の付根などの太い動脈が通っている箇所を冷やす。経口補水液や味噌汁、梅干しなどで水分と塩分を少しずつとらせる。ただし意識混濁の場合の水分補給は気管・肺に入るおそれがあるので中止する。意識が無い、あるいは症状が改善しないなど重度の熱中症と疑われる場合はすぐに救急車を呼ぶ
テロ
特に治安の悪化している地域では、メディアのテロ等に関する情報に注意しておくことが望ましい。テロに遭遇した場合、できるだけ早く遠くに離れ、遮蔽性の高いところに身を隠す。屋内では、できるだけ速やかに現場から離れて屋外に退避する。屋外では、風上に向かって逃げるのが望ましいが、難しい場合は近くのビル内に一時退避してもよい。パニックにならず冷静に自分の状況を掴むことが、迅速な避難につながる
防災 アグリゲーション
自助・共助・公助
災害時の対応は主体の違いにより、自ら対応する「自助」、ご近所などの共同体で助け合う「共助」、消防や自治体に助けてもらう「公助」の3つに区分することができる。市民と行政の役割分担が強化された現代では、日常生活で行政に依存する部分があり、災害時にもこの延長として市民は「公助」が機能することを期待する。しかし、ある調査で災害時には自助 : 共助 : 公助の割合が7 : 2 : 1になると報告されているように、災害時には「公助」は限定的にしか機能しないうえ、災害が深刻であるほど「公助」の機能は低下する。特に瞬時に大量の被災者が生じる地震の場合は顕著である。そのため、「自助」「共助」の重要性は高い。一人ひとりの命を守る責任は最終的には個人にある
参考元:Wikipedia
事前避難と緊急避難
避難行動は、そのタイミングにより2種類に分けられる。危険が及ぶ前にそれを避けて別の場所へ移っておく事前避難と、既に身近に危険が及んでいるときにとっさの回避行動として別の場所へ移る緊急避難である。津波の例を挙げると、揺れを感じた時点で避難したり、津波警報や避難勧告を見聞きして避難した場合は事前避難になる一方、津波の水や破壊される家などを目にしてから避難した場合は緊急避難になる。津波警報などを聞いていて危険を認識していても、準備などをしていて行動が遅れたため津波を目にしてから避難した場合は、これも緊急避難である。危険を認識してから逃げる火災の場合は全て緊急避難となる
事前避難と緊急避難が異なるのは、事前避難においては避難のプロセスに示したような避難方法や避難中の安全を考える時間が長いことに対し、緊急避難ではその時間が短い、つまり避難を決断するまでの猶予がほとんどないことである
避難勧告や避難指示が出ているのに避難しないなど論外。とにかく危険を早く察知して事前避難すること。ここまで来れば津波は来ないだろう、うちは大丈夫、避難する必要はないと楽観的に考えることが命取りになる。災害時は常に最悪のケースを想定し、それに沿った悲観的な行動すること。2011年の東日本大震災で多くの人命を奪った巨大津波への教訓として、被災者は「素早く的確に避難することの重要性」を一様に訴えた
参考元:Wikipedia
避難のプロセス
人間が危険を知って避難を行うに至るまでの行動や心理面のプロセスは、資料や研究者により異なるが、一例を示せば以下のようになる
(1) 災害の脅威が発生したあるいは接近していること、または災害の危険性があることを知る段階(危険の察知)
(2) 災害の危険性を示す情報が、本当かどうかを確かめる段階(確認)
(3) 自分が今いる場所の危険性がどの程度高いのかを判断する段階(危険性の評価)
(4) 避難することの有効性や損得を評価する段階(避難の有効性の評価)
(5) 避難中の安全性や避難の実現性を評価する段階(避難の実行可能性の評価)
(6) 避難することを決断する(避難の決断)
(7) 避難先、避難経路、タイミング、手段などを決める段階(避難行動の決定)
(8) 実際に避難する
(3)の危険性の評価は、住民各自が持っている過去の経験に基づいて主観的に予想するものであり、経験のない人は「自分なら大丈夫」「今回は大丈夫」などと考えて危険性を過小評価する傾向にあるといわれている。これを正常性バイアスという。また、間近に迫っている危険を実際に見聞きしているかどうか、警報や避難情報などが出されているかどうかといった点も、評価に影響を与える
(5)の避難の実行可能性の評価は、災害が進展すればするほど可能性を低く評価してしまう。例えば、大雨や暴風雨がすでに激しくなってしまっている状況では、避難時の危険を考えて自宅に留まるというように避難をしない判断に至る場合が多くなる
参考元:Wikipedia
避難を妨げる心理要因
東日本大震災の死者・行方不明者は1万8千人に上り、その9割は津波によるものである。多くの死者が出た原因として、従来の科学的想定を超える「想定外」の規模だっただけではなく、三陸が津波の常襲地帯であるにも関わらず多くの人が避難しなかったことが挙げられる。ただし、その理由は、必ずしも災害に対する意識が低かったのではなく、以下に挙げるような人間誰しもが持つ様々な心理的要因が作用したと考えられる
(1) 津波警報の空振り経験を重ねることによる「オオカミ少年効果」
速報性を重視する津波警報の仕組み上、予報区を細かく分けることができない。実際の津波の高さは地形の影響で地点によりまちまちだが、津波警報では数地点のうち最も高い値をその予報区の津波の高さとして扱うため、警報が発表されても多くの地域では警報より小さい津波が観測される「空振り」となる。住民は、空振りの経験を重ねるごとに「逃げなくても大丈夫だろう」「この前も大丈夫だった」という警報を軽視する心理が強まり、避難をしなくなっていく
(2) 正常性バイアス
災害に直面したとき、「(自分に限って)被災するはずないだろう」というように、避難しなければいけない状況にあることや被災するしれない可能性から目をそむけてしまうこと。無意識のうちに不都合な情報を無視してしまう、人間が持つ心理特性
(3) 認知的不協和
避難すべきだと認識はしていても、正常性バイアスにより実際には避難していない状況下で、「この前の津波警報の時も津波は来なかった」「隣の人もまだ避難していない」というように、避難していない自分を正当化しようとすること。不安を解消しようとする、人間が持つ心理特性
(4) 防災における住民の主体性の低下
法令等により国や自治体には災害から国民や財産を守る責務が規定されてはいるものの、避難すべき状況下では根本的に、自分の命は自分で守らなければいけない。「避難勧告が出なかったから避難しなかった」「津波警報が出たから避難したが、空振りだった。避難して損した」というような考え方はいわば受け身の姿勢であり、自らの命を守ることに関して行政に依存し主体性を欠いているといえる。空振りに対して「避難して損した」ではなく「避難したけど何事もなくてよかった」と捉え、警報時に毎回避難することを継続していくことが、本当に津波が来たときに功を奏することになる
(5) ハード対策の逆効果
ダム・堤防や防潮堤などの施設(ハード)対策を強化することは、一定レベル以下の災害では効果を発揮する一方、「防潮堤があるから大丈夫だ、津波は来ない」という過信をも生み、それを超過するレベルの災害では逆効果にもなる
また、避難については以下のような傾向が見られる
(1) 高齢者は避難を拒む傾向がある
(2) 深夜の災害は、状況把握、情報伝達、避難のいずれも困難で、他の時間帯に比べて被害が大きくなる
(3) 災害の際には、家族が一体になろうとする避難行動をとる傾向がある
(4) 隣人や近しい人の避難行動は影響力が大きく、避難を躊躇しているときには特に強く作用する
(5) 災害経験が良く伝承され、自然に根差しその土地の性質に通じており、自ら守る意識が強く、地域の結びつきが強い山あいの集落では避難が行われやすい。対する都市部では、これらがいずれも弱く、避難が行われにくい
(6) 責任と実行力・決断力のあるリーダーが存在すると、大量避難が成功しやすい
参考元:Wikipedia
避難を促す教育
片田敏孝らは、岩手県釜石市の小中学校で2003年から津波防災教育に助力した。そこでは、自然災害や避難に対する考え方として、以下の3原則を教えている。なお、子供への防災教育は、親や地域に波及する効果も期待される。一方で、親や地域住民の防災姿勢がその教育と整合していなければ実行性が低下するため、学校と家庭・地域の連携も求められる。また、ここでは「津波の恐ろしさ」を最初に伝えることは避け、海の恵みというメリットを享受している半面、数十年に一度津波というデメリットを受けざるを得ないということを前置きし、常日頃から災害に怯えたり恐れたりするのではなく、「その時」だけしっかりと避難することで地域の自然に誇りを持つことを教えているという
(1) 想定にとらわれるな
ハザードマップには一定の効果がある半面、災害イメージを固定化させる側面がある。ハザードマップは、あるシナリオに基づいて作成された無数の災害パターンの1つに過ぎず、それを超える可能性は十分にありうる。例えば東日本大震災において釜石市では、ハザードマップの想定を大きく超えて内陸まで津波が到達した。そのため、自ら状況判断することの重要性を説いている
(2) その状況下で最善を尽くせ
東日本大震災において釜石市の鵜住居小学校・釜石東中学校の児童・生徒は、校内放送を待たず率先して避難を始め、避難場所に指定されていた老人ホームまで避難した。しかし、施設近くの崖が崩れかけていたり津波が防潮堤を超える様子を見て更なる避難を呼びかけ、より高い介護福祉施設まで、更により高い石材店まで避難した。実際の津波は、小学校では校舎の3階まで到達、老人ホームでも3mを超え、介護福祉施設の手前まで到達した。「ここまで来れば大丈夫」ではなく、できる限り最善の行動をとるよう説いている
(3) 率先避難者たれ
正常性バイアスなどが働くため、人間の心理として、なかなか避難を決断することができない。一方、これも人間の心理として、誰かが率先して避難すれば、同調して周囲の人が避難しやすくなる。自分がその誰かになろう
参考元:Wikipedia
避難情報
レベル1:避難準備情報
対象地域の災害時要援護者に対して、避難を勧め促すもの。避難に時間がかかる災害時要援護者の早期避難を促し、要援護者以外の者も今後の危険性増加に対して準備をすることを求める
レベル2:避難勧告
対象地域のすべての住民・滞在者などに対して、避難を勧め促すもの
レベル3:避難指示
対象地域のすべての住民・滞在者などに対して、ただちに避難することを求めるもの
レベル4:警戒区域の設定(避難命令)
対象地域への、災害応急対策に従事する者以外の立ち入りを制限・禁止するとともに退去を命令するもの
参考元:Wikipedia
災害直接死の主な原因
・溺死
東日本大震災では津波による水死が全体死因の90%を占めた。津波の中には、大量の砂や海底のヘドロ、港湾施設の重油などの有害物質などが含まれていた。砂が肺に入れば気管を詰まらせ、有害物質が肺に入れば身体を侵す。水死に至る経緯は、これらで呼吸困難になったり、がれきが当たり意識を失ったり、3月の雪の舞う中で低体温を伴ってなど、さまざまな経緯もあったと考えられる
・圧死/損傷死
木造家屋倒壊の下敷き、室内家具の転倒による圧死、1階で就寝中に圧死など
・焼死
災害関連死と認められた事例
・処方薬が摂取できなかったことによる持病の悪化
・精神的あるいは身体的ストレスによる心筋梗塞・脳梗塞、その他身体の異常
・不衛生な環境による体調の悪化、風邪など
・栄養不足や食欲不振による衰弱死
・車中泊中の静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)
・将来を悲観した自殺
・仮設住宅で孤独感にさいなまれ、過度の飲酒をしたことによる肝硬変
・災害復旧作業中の過労死
・地震による疲労が原因の事故死
・排気ガス中の一酸化炭素吸入による一酸化炭素中毒
・肺炎の流行
┗歯磨きを怠ったことによる口内環境の悪化が肺炎の原因として指摘されている
・避難所生活、及びその後の仮設住宅における生活で仕事を失い、あるいは畑仕事などの作業ができなくなり、運動不足と孤立により高齢者の心身が急速に衰える廃用症候群
参考元:Wikipedia
2016年8月末 台風10号の教訓
・2016年8月末に岩手・北海道を襲った台風10号は、東北各地に甚大な被害をもたらし、岩手岩泉町では小本川[おもとがわ]が氾濫し、同町乙茂地区にある高齢者グループホームで入所者の高齢者9人が死亡した
・当時、グループホームの施設職員が近くの川を見に行ったところ、水位は川岸より20cm低く、また雨も弱まってきていたため、入所者を避難させる判断はしなかった。ところがこのあとどしゃ降りになって水位が急激に上がり、また暴風雨の中で避難することもできず、結果的に氾濫した川の濁流にのまれて入所者9人が死亡する結果となった。この大災害からの教訓を考える
・川の様子を見に行くという危険な行為は推奨されるべきではない。川の水位を確認しに行こうと思うくらいまで大雨が降ったならば、直ちに避難すべき。また、何日間に何ミリ以上の雨が降ったらどうなるかといった氾濫想定がそれぞれの河川に示されているはずなので、これを事前に知っておくこと。そして台風が来る前に自分の地域にどれほどの大雨が降るのかといった気象予報と照らし合わせて、避難すべきかを主体的に判断すること
・「雨も弱まってきていたため…」というのは現在の状態を指しているだけであって、この弱い雨の状態が今後も続くとは決して限らない。今後雨は収まるかもしれないし、逆にまた大雨が降り続くかもしれない。このことは素人が予報できるものではないので、最悪の事態を想定して雨の弱いうちに避難すべきであった。雨の弱まっているうちは避難のチャンスであり、いったん雨が弱まったからといってもう大雨は降らないと根拠の無い楽観視をすべきではない。一番大切なのは避難すべきだったか避難するべきではなかったかを正確に当てることではない。結果的に避難しなくてもよかった災害だったとしても、「避難したけど今回は最悪の事態にならなくて良かった」と考え、今後も積極的な避難を繰り返すことである。もちろん、何でもかんでも避難すればよいと言っているわけではなく、避難するべきと自分が判断した場合は積極的に避難をし、結果としてその避難が不必要に終わったとしてもそれは損ではないという考えを持つべきだということ
・最悪の事態を想定して早めに避難を。今は台風が来る数日前から台風の情報を得ることができるので、まだ台風が来る前の安全なうちに賢く行動しさえすれば、避難が手遅れになることを防げる
・行政の気象情報や避難情報などは参考にすべきではある。しかし最終的な判断まで行政に依存するべきではない。最終的に自分の命を守るのは自分である。行政や他人の言うことが正しいものであってその言いつけを守ってさえいれば、自分の命が保証されるわけでは決してない。過去の事例を見ても、避難情報が出ていなかったために避難しなかった人々が災害に巻き込まれ被害を被るケースが多い。避難するべきかしないかは自らが主体的に判断するべきである。今回の災害で、とある自治体は大雨が降り続いていたためにこの状況下で避難勧告を発令すればさらに混乱を招くことになると考え、危険が差し迫っている大災害の予見があるにもかかわらず避難勧告を出さなかった。結果的に、避難勧告が出ていないから避難しなくても大丈夫だろうと考えた多くの住民は大災害に巻き込まれてしまった。この事例の場合、行政にも住民にもそれぞれ改善点が見出される。避難勧告というのは外出避難も含めて災害から身を守るための行動を行うように促すもので、これには1階にいる人が2階に移るだとか避難準備をするとか防災グッズを備えるといった防災行動も含まれる。したがって大雨で外出避難が困難な場合でも避難勧告を発令することで災害の深刻さを住民に伝えられると考えて、自治体は避難勧告を発令するべきだった。一方で避難勧告が発令されていないから避難しなくても大丈夫という住民の判断は、避難という最終的な判断さえも行政に依存していることを表している。こうした判断の元では、避難情報が出されているから避難しようという良い面がある一方で、大災害が差し迫っているのに避難情報が出されなければ避難しないという短絡的な考えを招きかねない。避難情報はあくまで参考情報にすぎず、自分の目で見て、気象情報を確かめ、自分の判断で避難すべきかそうでないかを決定するべきである
・往々にして自治体の発令する避難情報は、川の水位が何メートル上がったら避難勧告を発令するとか、降雨量が何ミリ降ったら避難指示を発令するといったように、ある基準にまで災害が発生してから発令されることが多い。これでは、いざ避難しようとなっても大雨で避難が難しいといったように、すでに災害が発生してからの「緊急避難」になってしまう。私は、行政の避難情報の役割とは、避難勧告・避難指示の発令によって災害が発生する前に安全に確実に「事前避難」できるようにするのが理想であると考えている――事前避難と緊急避難の違い。これを達成するためには、ある基準にまで災害が発生してから避難情報を発令するといった基準にするのではなく、どれほどの大災害が予想される場合にどの避難情報を出すのかの基準を定め、災害が起きる前に避難情報を出せるかがカギになる
・避難情報の発令方法については、防災無線などを用いるのが従来の手法であった。しかし今回の台風で大雨が降っていると防災無線が聞こえづらいといった欠点も指摘された。そこで国土交通省は携帯事業者を通して個人のケータイに災害・避難情報を送る「緊急エリアメール」の導入を検討している。地方自治体を通さず直接個人のケータイに情報を発信できるメリットがある
・私がもし東北住みだったら 台風が来る前日に「東北地方では記録的大雨になるおそれがある」と気象予報されているのを見て、台風が来る前に避難所に避難する
平成最悪の豪雨災害「平成30年7月豪雨」
・200人を超える死者を出した平成最悪の豪雨災害となった「平成30年7月豪雨」では、特別警報が発表された地域のおよそ85%が特別警報が発表されたことを認識していた一方で、実際に避難した人は3%余りだった。
・避難しなかったと答えた人に理由をたずねたところ、「自宅は洪水や土砂災害の危険性が低いと思っていた」が最も多く、次いで「住宅の被害や、停電、断水などの影響が無かった」、「自宅やその周辺が浸水したり土砂が来たりしなかったから」となっていて、身近に危険を感じるまでは多くの人がふだんと変わらない生活を送っていた可能性があることが分かった。
・情報の持つ危機感が住民に十分に伝わっていないことが明らかになった。この課題を解決するには、情報の受け手が意味を理解して活用する必要がある。
本所防災館で災害体験
墨田区にある本所防災館では予約をすれば無料で災害体験ツアーに参加することができる。主なプログラムは地震体験、都市型水害体験、暴風雨体験、応急手当体験、消火体験、煙体験などで、その他にも119番通報体験や災害について学べる学習コーナーも用意されている
↑119番通報体験コーナー
模擬災害を体験しながら学び、もしもの時の防災行動力を身につける
┗本所防災館 – 東京消防庁
私は災害対策の一環として「本所防災館」に行き、防災シアターの鑑賞、都市型水害体験、地震体験、消火体験、暴風雨体験をしてきた
↑本所消防署(墨田区)。この横に本所防災館がある
↑本所防災館
↑本所防災館 正面玄関
防災シアターの鑑賞
防災シアターの鑑賞では、日本の災害史に残る震災の数々、東日本大震災、阪神淡路大震災、そして関東大震災から自然災害の恐ろしさを学んだ。「関東大震災」、大都市を襲ったまさに天変地異ともいうべき異常の大地震に、強風を伴った大火災が被害を20倍にも押し上げたと言われ、死者・行方不明 10万5千人余という我が国の自然災害史上最悪の大震災である。旧東京市の約43%を焼失させ、火災による犠牲者は全犠牲者の9割にのぼる9万人超となった。この火災の影響で、震災当日の21時頃から異常な高温となり、翌2日未明には最高気温46.4度を観測した。防災シアターの関東大震災を紹介した場面では、火災旋風から逃げまどう人々を描写したシーンに涙があふれた
地震体験
「地震体験」は非常に有意義なものだった。震度7の揺れと、東日本大震災の揺れを再現したものを体験させてもらった。震度7の揺れは想像以上のものだった。何より一番驚いたのはこれほどの大きな揺れが大地で起きることがあるのかということだった。大地はこんなに揺れるものなのか、恐かった。かつて東京帝国大学理科大学教授 寺田寅彦が関東大震災の地震について「自分の全く経験のない異常の大地震」と表現したが、私にとっても震度7の地震体験はまさにその表現と同じものだった。とっさに机の下に潜って机の足を両手で掴んで、ひたすら揺れが収まるのを祈って待つことしかできなかった。片手で机の足をもつだけでは揺れで身体が吹き飛ばされそうだったので本能的に両手で掴んだ。これほどの揺れがもし自分の家で、出先で、スーパーで起こったとしたら、おそらく私は死を覚悟しただろう。家具転倒防止対策をしていない家具は倒れ、あらゆる物が崩れ落ち、窓は割れ、電気ガス水道は止まる。東日本大震災の被災者が「テレビが首根っこのところから折れた」と語っていたのを今までの私は「地震でそんなことがあり得るのか」と半信半疑だったが、その被災者の話を私は信じざるを得なかった
とっさに机の下に潜ったり頭を何かで守らなければ自分の命さえも危ない。地震は突然大きな揺れで襲ってくるので、条件反射的にすぐ机の下に潜ることを意識しなければならないと痛感した。地震体験は私に想像以上の揺れをもって地震の怖さを教えてくれた。それが何よりの勉強だった。もしこれから先、突然の大地震に見舞われた時、私はこの地震体験のおかげでとっさに自分の命を守る行動をすることができると自信がついた。そして、自然の前に人は為す術などない。川の流れに身を任せるように、悲しみやストレスを負わないための“素直な諦め”は己を守ることを知った
かつて蛭子能収が言った言葉で、「勝てないと思った相手には素直に負けを認めることだ」というのがあった。私はこの言葉の意味を少し理解できたのかもしれない
都市型水害体験
都市型水害の体験では地下に水が浸水したときに、その水圧で内側からドアを開けるのがいかに大変かを体験するものだった。水深10cmの想定でもドアを開けるにけっこうな力が必要だった。水深20cmはぎりぎり開けられるくらいだったが、水深30cmともなるとドアはびくともしなかった。たとえ開けられたとしてもドアを開けるだけで相当な体力を消耗するだろう
もう一つの体験では、水圧がかかった状態で車のドアを開けるもので、この場合は横向きの態勢で座っているということもあって力が入りずらく、同じ水深10cmでも立ってドアを開ける時より大変だった。水深10cm、20cmでもあなどってはいけない。水深が浅くても、水の勢いの強さによっては歩くことさえ困難になる。水害は巻き込まれる前に早めに屋内の高いところへ避難することが重要だとの認識を改めて感じさせてくれた体験だった
消火体験
↑消火体験の様子
消火体験では消火器の扱い方と火の消し方を実践し、近くで火災が起こったときの行動方法も合わせて学んだ。これまで消火器を扱ったことがなく、自分は消火器を使えない、使えないままでいいと思っていたが、実際に扱ってみると思っていたより簡単に消火器を使うことができたので自信になった。消火器は重さが6.5kgくらいあり、低い姿勢を保ったまま噴射するにはどういう態勢が良いのかを知ることができた。今まで自分には無関係だと思っていた消火器だったが、消火器の扱い方が分かったことで、火災時に重要な役割を担う“初期消火”を消火器を使ってどう自分たちで奮闘できるかを積極的に考えることができるようになった。消火器について肯定的で積極的になれたことで、今までそれほど気づいていなかったが、実は日常生活の至るところに消火器があるんだなと気づいた
暴風雨体験
↑暴風雨体験。レインコートと長靴を装備して暴風雨を体験できる。眼鏡は外し、フェイスタオルは前もって持参しておいたほうがよい
暴風雨体験では風速30mの暴風と暴風雨を体験した。私は風だけならそんなに恐いものではないだろうとたかをくくっていたが、かけていた眼鏡が壊れそうになって顔面を手で守るのに精一杯、正直風速30mの暴風はシャレにならんと痛感した。風速30mは日常生活で体験したことがないほどの暴風だった
もう一つの暴風雨体験では風によって横殴りと化した雨を耐えしのいだが、このときは顔面が濡れないように顔面も覆ってくれるフード付きのレインコートを着用していたにもかかわらずこの状況下では前を向くことさえできず、ましてや傘をさしたり歩くことなどできそうにもなかった。それに実際は強風によってどこから何が飛んでくるかもわからないため、暴風豪雨のときに外を出歩くのは危険極まりないと身をもって学んだ
↑暴風雨体験コーナーの内部。想像以上の強風が正面から襲ってくるので手すりにつかまることが推奨される
災害体験 感想
↑「高まる気象災害のリスク」。本所防災館では学習コーナーもあり、災害史について、そして防災について考える場が設けられている
↑荒川の氾濫・決壊によって川の水面よりも低地にあるいわゆる「川の手地域」にどのような水害がもたらされるのかをシミュレーションしたもの
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災害についての本を読んだりしていくら知識を深めていても、実際に体験しなければ分からないことがある。私は自然災害がどれほど恐ろしく脅威なものであるかを十分理解しているつもりだった。しかしそれはただ頭で理解しているだけにすぎなかった。ここに来て実際に災害体験をしたことで、本当の意味で災害の恐ろしさを身体で知ることができた。それが一番の収穫であった
参考元:
避難 – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%BF%E9%9B%A3
東京防災 http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2015/08/20p8l300.htm
NHK そなえる防災 http://www.nhk.or.jp/sonae/
防災用品一覧 – WIKIBOOKS https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%98%B2%E7%81%BD_%E9%98%B2%E7%81%BD%E7%94%A8%E5%93%81%E4%B8%80%E8%A6%A7