電力自由化

2016年4月から一般家庭が電力会社を選べる「電力自由化」がスタートした。とにかく電気料金が安いところが良い、自然に優しい再生エネルギーを使えるところが良いなど、一人一人が使いたい電力を選べる時代になった。今回は電気料金に注目して、各電力会社の電気料金を比較していく

【環境条件】

・関東 東京エリア
・全ての情報は2016年4月時点のもの。特に段階料金は各社変動する場合があり、最新の情報は各社HPで確認するほうが良い

電気料金の内訳

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↑上の東京電力から届く電気使用量のお知らせの紙を参考にしながら説明する

まず「ご契約種別」と「ご契約[契約アンペア数]」を確認する。契約アンペア数は、同時に使える電力量の上限を表していて、例えば20Aだと冷蔵庫、電子レンジ、パソコン、エアコンを同時に使うとブレーカーが落ちてしまうかもしれないけども、30Aだと一度に使える上限電力量が20Aよりも大きいのである程度の家電を同時に使ってもブレーカーが落ちることは少なくなる。多くは「ご契約種別:従量電灯B」「ご契約:30A~60A」かと思う

「基本料金」はこのご契約種別と契約アンペア数によって決まる。上の画像の場合、「基本料金 2246円40銭」は従量電灯Cで8kVA(=80A)であることから決定されている

「1段料金/2段料金/3段料金」は合計の電力使用量「ご使用量」によって算出される。「ご使用量」はkWhで表される。この値が高いほど、その月で電力を多く使っているということになる

電力料金図

↑多くの電力会社が採用している「三段階料金制度」

それぞれの「1段料金/2段料金/3段料金」には1kWhごとの基本料金があり、その基本料金×範囲内での使用電力量(kWh)でそれぞれの段階料金が算出される。つまり最初の120kWhまでは1段料金で計算し、120kWhをこえ300kWhまでの範囲は2段料金で計算し、300kWhを超えた以降は3段料金で計算されることになる

例えば、今回の例では「ご使用量:959kWh」、東京電力の1段基本料金は現在19円43銭なので0~120kWhの範囲は1段料金で計算される。したがって、1段料金<19円43銭×120kWh=2331円60銭>となる。同様に2段料金は<25円91銭×180kWh=4663円80銭>、3段料金は<29円93銭×659kWh=19723円87銭>と内訳どおりになることが分かる

電気料金がお得になる電力会社の選び方

上の電気料金の内訳の仕組みが理解できたならあとは話が早い

自分に合ったお得な電力会社を選ぶには、まずは自分が月平均でどれだけの電力を使っているのかを知っておく必要がある。自分が今契約している電力会社に問い合わせれば、遡って過去1年分の電力使用量(kWh)を知ることができるだろう

ちなみに私の過去1年の電力使用量は以下の通りだった

1月:212kWh
2月:186kWh
―春―
3月:197kWh
3月:148kWh(去年)
4月:165kWh
5月:149kWh
6月:138kWh
―夏/秋―
7月:151kWh
8月:221kWh
9月:205kWh
10月:197kWh
―冬―
11月:192kWh
12月:201kWh
――――――
月平均:185kWh

↑私は、エアコンを使う夏冬に電力使用量が高い傾向にある

自分が月平均でどのくらいの電力を使うのかが分かったなら、「1段料金/2段料金/3段料金」のどの料金の安さに重点を置くかを考えて、各社の段階基本料金を比較する。例えば月185kWhの私の場合は、1段料金と2段料金が割安な電力会社を選ぶほうがお得になる。月平均600kWh以上なら迷わず3段料金が割安な電力会社を選ぶほうがよいだろう

電力使用量が高い家庭向きの電力会社

【環境条件】
・関東 東京エリア/電力使用量が高い家庭向きのプラン比較
・月平均 600kWh~1000kWh/契約アンペア数 8kVA/クレジットカード払い
・全ての情報は2016年4月時点のもの。特に段階料金は各社変動する場合があり、最新の情報は各社HPでの確認推奨

3社 比較

(基)基本料金/(一)1段料金/(二)2段料金/(三)3段料金

東京電力

(基)2246円40銭[280.8×8]/(一)19円43銭/(二)25円91銭/(三)29円93銭

ENEOSでんき

(基)2246円40銭[280.8×8]/(一)20円76銭/(二)23円26銭/(三)25円75銭

特徴

・長期契約での割引プランがある。1~2年目は1kWhあたり0.2円割引、3年目以降は1kWhあたり0.3円割引。この割引プラン適用の場合、2年ごとの更新で途中解約金は1,080円
・Tポイントが貯まる(200円につき1ポイント)
・通常プランは解約金なし
・カスタマーセンター 0120-15-8704(9時~17時)

Looopでんき(ビジネスプラン)

(基)0円/(一律)27円

特徴

・契約アンペア数に限らず基本料金0円。電力量料金は一律27円
・平成28年5月31日までにお申し込みをされた方に限り基本料金が0円となるがそれ以降については不明
・支払い方法はクレジットカードのVisa、MasterCardのみ対応
・解約金なし
・カスタマーセンター 0120-707-454(9時~20時)

3社 試算

・従量電灯C 8kVA
・試算額は<基本料金+1段料金+2段料金+3段料金>。959kWhの比較以外は燃料費調整額および再エネ発電賦課金は含まない。小数点以下切り捨て

<600kWh使用時の電気料金の比較>
東京電力   :18,220円
ENEOSでんき:16,649円
Looopでんき :16,200円

<800kWh使用時の電気料金の比較>
東京電力   :24,206円
ENEOSでんき:21,799円
Looopでんき :21,600円

<959kWh使用時の電気料金の比較>
※この比較のみ、燃料費調整額 -2205円70銭、再エネ発電賦課金 1515円と仮定して計算
東京電力   :28,274円
ENEOSでんき:25,202円
Looopでんき :25,202円

まとめ

600kWh以下400kWhまでは「Looopでんき」が最安。959kWh以上は「ENEOSでんき」が最安となる。しかし「Looopでんき」は大手企業ではないため、個人的には「ENEOSでんき」がおすすめ

ENEOSでんきの3段料金の安さは他社を圧倒している。もしLooopでんきが選択肢の一つに無いのであれば、月平均400kWh以上の全ての家庭はおしなべて、ENEOSでんきがおすすめ

電力使用量が普通の家庭向きの電力会社

【環境条件】
・関東 東京エリア/電力使用量が普通の家庭向きのプラン比較。そのため3段料金は考慮に入れない
・月平均 100kWh~300kWh/契約アンペア数 30A
・全ての情報は2016年4月時点のもの。特に段階料金は各社変動する場合があり、最新の情報は各社HPでの確認推奨

5社 比較

(基)基本料金/(一)1段料金/(二)2段料金

東京電力

(基)842円40銭/(一)19円43銭/(二)25円91銭
[二段階の平均]:22円67銭

myでんき(東燃ゼネラル)

(基)817円13銭/(一)18円85銭/(二)25円13銭
[二段階の平均]:21円99銭

特徴

・一人暮らしで電気をあまり使わない人向け。平均200kWh以上使う家庭ならイーレックスのほうが安くなる
・解約金なし
・フリーダイヤル
・大手企業でサイトも充実で安心

イーレックス

(基)838円20銭/(一)19円35銭/(二)24円36銭
[二段階の平均]:21円86銭

特徴

・第1料金~第3料金にかけて安定的に割安。月平均200kWh前後のミドル級の使用者におすすめ
・解約金なし
・フリーダイヤル
・WEB請求書割引あり(50円)

ENEOSでんき(JXエネルギー)

(基)842円40銭/(一)20円76銭/(二)23円26銭
[二段階の平均]:22円01銭

特徴

・1段料金こそ高いが、第2・第3共に業界トップクラスの安さで安定的。電気を多く使うほど値段は上がるが他社とのお得度は開いていく。電力を月平均400kWh以上使う家庭におすすめ。私のように平均185kWhの場合はそれほど安くはならない。長期契約割引やTポイントが貯まるなど他に比べてサブ特典が豊富
・長期契約での割引プランがある。1~2年目は1kWhあたり0.2円割引、3年目以降は1kWhあたり0.3円割引。この割引プラン適用の場合、2年ごとの更新で途中解約金は1,080円
・Tポイントが貯まる(200円につき1ポイント)
・通常プランは解約金なし
・カスタマーセンター 0120-15-8704(9時~17時)
・大手企業でサイトも充実で安心

H.I.S.(HTBエナジー)

(基)800円28銭/(一)18円46銭/(二)24円62銭
[二段階の平均]:21円54銭

特徴

・第1料金~第3料金までとにかく安い。第1段階も第3段階もトップクラスの安さ。ただし、安い代わりに解約金が高い。供給開始日から一年未満は解約金 9000円(税別)。一年以降はいつ解約しても解約金は発生しない。電力発電の業界においては大手ではないので少し心配
・支払いが実質クレジットカードのみの対応
・サポートダイヤルは050番号
・サイト充実

5社 試算

(基)基本料金/(一)1段料金/(二)2段料金

東京電力   :(基)842円40銭/(一)19円43銭/(二)25円91銭
東燃ゼネラル :(基)817円13銭/(一)18円85銭/(二)25円13銭
イーレックス :(基)838円20銭/(一)19円35銭/(二)24円36銭
ENEOSでんき:(基)842円40銭/(一)20円76銭/(二)23円26銭
H.I.S.    :(基)800円28銭/(一)18円46銭/(二)24円62銭

 


 

・従量電灯B 30A
・試算額は<基本料金+1段料金+2段料金>。()内は(1段料金/2段料金)を表している。東京電力には口座振替割引 54円を、イーレックスにはWEB請求書割引 50円を適用。燃料費調整額および再エネ発電賦課金は含まない。小数点以下切り捨て

<150kWh使用時の電気料金の比較>
東京電力   :3897円({2331.6/777.3}-54)
東燃ゼネラル :3833円(2262/753.9)
イーレックス :3841円({2322/730.8}-50)
ENEOSでんき:4031円(2491.2/697.8)
H.I.S.    :3754円(2215.2/738.6)

<200kWh使用時の電気料金の比較>
東京電力   :5192円({2331.6/2072.8}-54)
東燃ゼネラル :5089円(2262/2010.4)
イーレックス :5060円({2322/1948.8}-50)
ENEOSでんき:5194円(2491.2/1860.8)
H.I.S.    :4985円(2215.2/1969.6)

<300kWh使用時の電気料金の比較>
東京電力   :7783円({2331.6/4663.8}-54)
東燃ゼネラル :7602円(2262/4523.4)
イーレックス :7495円({2322/4384.8}-50)
ENEOSでんき:7520円(2491.2/4186.8)
H.I.S.    :7447円(2215.2/4431.6)

まとめ

電力使用量別のおすすめ電力会社は以下のとおり

電力使用量が月平均100kWh~200kWhの家庭向き:myでんき(東燃ゼネラル)、H.I.S.
電力使用量が月平均200kWh~300kWhの家庭向き:イーレックス、H.I.S.
電力使用量が月平均300kWh~400kWhの家庭向き:H.I.S.
電力使用量が月平均400kWh以上の家庭向き:ENEOSでんき(JXエネルギー)
その他の電力会社:東京電力、Looopでんき、ソフトバンクでんき、auでんき、東京ガス、九電みらいエナジー(九州電力)

月平均185kWhの私は、電力自由化に伴い、東京電力から『イーレックス・スパーク・マーケティング』に乗り換えることにした

紙請求書は届かなくなったが、電気料金が確定すると毎月メールで知らせてくれるし、ポータルサイトでは過去の電気料金はもちろんのこと、年間使用量/月間使用量/一日の使用量なども分かりやすいグラフで知ることができる。昨日はどれくらい電気を使ったかなとか、時間帯別にいつでもリアルタイムに確認できるのは嬉しい

ただし、電気料金は各社変動する場合があるので、乗り換えた後でも、定期的に最新の情報を各社HPで確認して電力会社の見直しもやっていきたい

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