性質/非言語コミュニケーション

●0/性質

あるものが持つ性質や効果、関係について

ちなみに、あるものを付加することによって別のあるものに影響を与える効果については“価値付加”を参照されたい

冒頭の有意義

物事の始めのほうが影響や習得などの内容が濃く、価値と達成度が高い。価値が高いということは影響を受けやすいということであり、達成度が高いということは習得スピードが早いということである。最初は向こうに関する知識が少ないため、一つ二つのことだけでも影響を受けやすいし、学ぶものも多い。この心理によれば、たくさんのことを学びたいときは、一つの物事に執着するよりもたくさんの物事に接したほうが多くを学べるということを意味している。しかし、一つの物事にずっと接していることでしか学べないものもある。そしてそれはたいてい価値もあるものだ

希求の延長線上の希求

自分が願い求めていることは、少し度が過ぎていたり程度が違っていても、同じ線上ならばやはり願い求めるものである。ひそかにその欲求はあるものだ。表向きは羨望から反動形成が起こったりするが、本心はその逆である

(例) 街中、人前で平気でベタベタするカップルを見て「許せない」と思ったことがある人が、現実には自分に恋人がいなかったり、恋愛をしたい、恋人が欲しいという欲求があるなら、その本心は「やってみたい」と思っているものである

色彩の好意特徴

人が色から受ける印象、特に好意に関しての特徴。例えば、相手が着る服の色などから印象を形成している

・赤⇒活動的で、情熱的に見せる(相手と一歩進んだ仲になりたいときなどにいいかも)
・黄色、ピンク⇒イキイキとした健全さ、あどけなさを強調して見せる
・ブルー(青)⇒クールでさわやか、謙虚な感じに見せる
・白⇒清純な雰囲気や上品に見せる(初めて相手の両親に会うときなどにいいかも)
・黒⇒ちょっと大人の女性、神秘的な雰囲気、ミステリアスな雰囲気に見せる
・グレー⇒ちょっと大人の女性、知的な感じ、インテリな雰囲気に見せる
・紫⇒ちょっと大人の女性、高貴なイメージ、色っぽさを強調して見せる

黒、グレー、紫は夜のイメージもある

心理の弊害[知覚の弊害]

どのような心理があるかを知り、それを知覚すると、心理の大小や程度、また周りの環境を考慮せずに結果がそのようになってしまうと極端に思い込む。人は何かを知ると、それに影響され、結果もそれが指すことと同じになるだろうと思ってしまうのである。これを心理の弊害[知覚の弊害]という。知っておかなければならないことがある。心理は一般的なものであり、絶対そのようになるわけではない。何事にも例外というものがある

ゲシュタルト崩壊

ゲシュタルト崩壊とは全体性を持ったまとまりのある構造から全体性が失われ、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直されてしまう現象をいう。ゲシュタルト崩壊の発生要因については未解明な部分が多く、感覚器の疲労や順応によるのではなく、「比較的高次な認知情報処理過程によって発生する」ことがわかる程度である

/a 文字のゲシュタルト崩壊

例えば同じ漢字を長時間注視しているとその漢字の各部分がバラバラに見え、その漢字が何という文字であったかわからなくなる。これを文字のゲシュタルト崩壊という

/b 聴覚のゲシュタルト崩壊

同じ音楽を長時間聴いていると、その音楽の音階などが奇妙なものに思えてきて、変な曲だと思うことがある。これを聴覚のゲシュタルト崩壊という。これを引き起こすのは簡単である。一つの曲をずっと繰り返して聴くだけでよい。しばらくするとその曲の音階などを把握し、その曲が“分かる”状態になる。ここからさらに聴く。聴くことに意識を集中させる必要はなく、なにかをやっていながらでもよい。一番聴覚のゲシュタルト崩壊が起きやすいのは、寝るときにその曲をずっと聴くことである。朝起きると、その曲に聴覚のゲシュタルト崩壊が起きている場合が多い。それから数日は、他の音楽は聴いても普通なのにその崩壊した曲だけおかしく聴こえる状態が続き、しだいに収まっていく

改変と時系列の関係

なにかに手を加えることによってその何かが変化を被る、こうした改変には一種の性質があると思う。それは、個体発生のあまり早い時期をいじると、その分だけ進化が難しくなるという性質である。この性質は時系列との関係におけるものだといえる。ただしこの性質が適用されるには二つの条件がある。ひとつは被験者の成長のプロセスが積重的であること。もうひとつは、被験者に自己修正能力が備わっていること

取得と喪失の大小関係

取得から得た満足と、喪失から得た哀情では後者のほうが大きい。これを取得と喪失の大小関係という

大きな幸福は、これを失うときの悲しみよりも小さい

無思考

無思考はどのようにして生まれているのか

a 満足感の無思考効果(“満足感”)
満足感は現状維持を望み、無思考効果を生み出す。これを満足感の無思考効果という

b 解決思考(“用語解説”)
解決思考とは、解決するためにする思考のこと。ある問題提起について、何らかの答えを出す目的がある。例えば、みかんを二人で分けて食べるとき、「半分こする」と答えを出すことは解決思考である

主体の影響効果

程度は大事である。主体となりうるものの程度が他の付加属性に与える影響を主体の影響効果という。人がどう思うかでその影響の大きさは変わってくるため、実際にはものの影響はそのもの自体から発生するものではなく、人から発生するものであるといえる

/a 主体の遮蔽効果

影響効果のうち、付加属性をマスキングする効果を主体の遮蔽効果という

a-例 水族館に行かないかと友人に誘われたとき、私は行きたいと思った。そのすぐ後に入場料はいくらかと気にする[付加属性]ことはあまりない。程度が低くすぎれば気付くことさえない。それは高すぎる場合についても同じことである

無属性の高汎用性

何にも属さないということが、どちらにも転がれるし、新しいものを生み出しやすいものだ。これを無属性の高汎用性という

»#h-t

●1/非言語コミュニケーション

非言語コミュニケーションとは、言葉以外の手段を用いたコミュニケーションのこと。例えば、身振り、姿勢、表情、視線、服装や髪型、声のトーンや声質などがある。ここではそのなかでも表情や感情、視線などの表情系についての心理をあつかう

凝視の感情強弱

相手の目をじっと見つめる凝視には、感情を強く表現させ、思いを伝える力が強くなる効果がある。これを凝視の感情強弱という。顔の表情が感情の種類を伝達するのに対して、見つめるという行為は感情の強弱を伝えるものである

悲しみの表情は、視線が下に向くほど悲しく見える。怒りの表情はまっすぐに視線が向くほど、強さが感じられる。好意の表情もそうだ。そしてなんと、微笑みの表情では、凝視の度合いが強ければ強いほど、好意的に見えるという

例えば、恋愛感情の伝達においては視線を下に向けたままで「愛してる」というよりは、相手の目をじっと見つめながら「愛してる」というほうが思いが伝わりやすいといえる。そして敵対の場合も、凝視したほうがより敵意は伝わる

/a アイ・コンタクトの心理

a-1 アイ・コンタクトと好悪

アイ・コンタクトの多い人、つまり、よく目を見て話をする人のほうが好感をもたれる。と同時に、知的で能力があると判断される効果もある。一方、会話においてすぐに目をそらす人はナーバスな印象を与える

a-1-原理 人は、目を見て相手を判断しているところがある。なので目がよく合う人ほど相手と親密性が生まれ、好意を抱きやすくなる。仮にサングラスなどをかけていると、人は信用できないという印象を抱く

a-2 男女のアイ・コンタクト

男女で会話をしている場合、目が合ったときに先に目をそらすのはたいてい女性である
ところで、男性は、特定の女性から見られれば見られるほど相手の女性のことを好きになる。しかし、女性のほうは特定の男性から何回も見られたからといって好きになるとはかぎらない。女性なら、好きな男性を見つめることで好意を獲得できるでしょう

感情表出

/a 左右の感情表出

人には六つの基本表情がある(驚き、恐れ、嫌悪、怒り、喜び、悲しみ)。そのそれぞれに万国共通の特徴がある。例えば「驚き」の表情は顔全体に表れる。眉毛は曲がってつり上がり、額に横じわができる。目は大きく開き、あごが下に落ちるため、口も開いた状態になる

ところで、人間の顔は鼻すじから左側と右側はほぼ左右対称に見えるが、完全に対称というわけではない。これを左右の感情表出という。特に左側のほうがより感情が出やすい。相手の本音を顔の表情から探るには、顔の左半分側、対面から見れば右側から、基本表情の特徴を読み取るとよいかもしれない

/b 男女の感情表現

男性に比べれば、女性のほうが感情や表情が豊かである。その理由には、女性には男性のように感情を抑えなければならないような社会的圧力がないからといわれているが、それだけではないようだ

感情豊かな女性でも、一つだけごまかせない表情がある。それはマスキング・スマイル、つまり、つくり笑いである

/c ディスプレイ・ルール

人間関係を円滑に保つために、私たちは感情表現をコントロールしている。これをディスプレイ・ルールという。ディスプレイ・ルールには4つのパターンがある

(1) 減衰(表出の強度を弱める)
(2) 増幅(表出の強度を強める)
(3) 隠蔽(中性的な表情で感情を隠す)
(4) すり替え(経験した感情とは違うものを表出する)

フェイシャル・フィードバック

うれしいときは笑顔になり、腹が立ったときは怒り顔になる。しかし、逆に笑顔にするとうれしくなり、怒り顔をすると腹が立ってくる。気持ちが顔に感情を表現するのは自明だが、感情表現も気持ちに影響を与えるのである。これをフェイシャル・フィードバックという。元気のない人に「笑って!」と励ますのは効果的であるといえる

ちなみにこの心理は、姿勢も気持ちに影響を与える。例えば、胸を張って姿勢をよくしながら歩くと、気持ちにも自信やプライドがついてくる。逆にうつむき加減で歩けば、自然と自信もなくしてしまう。いつも胸を張ることで自信を生み出していきたいものですね!

マイナス感情の高影響

人には六つの基本表情――喜び、驚き、悲しみ、恐れ、嫌悪、怒り、がある。このうちマイナスのネガティブ感情は五つもある。それだけ人はネガティブ感情に敏感で、敵意に対して身を守る術を昔から習得しているのである。これをマイナス感情の高影響という

例えば、九つの幸せそうな顔のなかに、一つだけ怒った顔を入れてみる。それらをパッと一瞬見せられると、一つしかない怒った顔に目がいく。反対に、怒った顔のなかに一つだけ幸せそうな顔を交ぜても、なかなか気づかない。人間関係においてもこのことはいえる。相手の幸せそうな顔は思い出せなくても、怒った顔やイヤそうな表情は忘れることができない。怖そうな顔をした人は、好悪を別にして印象に残るものなのだ

無意識の印象形成

相手に伝わる印象というのは、その両者において無意識に伝達されるものである。つまりあなたの印象も知らず知らずに相手に伝わっていて、その相手も知らず知らずにその印象を受け取ってあなたを判断しているのである。これを無意識の印象形成という。そこには冷たい印象と温かい印象の二つがある

【冷たい印象】
眉をひそめる、あくびをする、やたらと天井を見る、すぐよそ見をする、爪や指を触る、など

【温かい印象】
近づく、見つめる、微笑む、うなずく、目を見開く、眉を上げる、相手の方向に体を向ける、など

温かい印象を自然にできるよう心がけると、感情表現において相手に良い印象をもたれやすい

スピーチ・アコモデーション・セオリー

お互いに好意をもっている場合、会話をするときのスピードや発音、言葉の強さ、休みの入れ方などが互いに合ってくる傾向がみられる。これをスピーチ・アコモデーション・セオリーという

/a スピーチ・アコモデーション・セオリーのフィードバック

好意や親しみをもっている人と一緒にいると、話し方が似てくることをスピーチ・アコモデーション・セオリーというが、似てくるのはそれだけではなく、身体の動かし方やクセも相手に似る

この心理のフィードバックでは、好意を獲得したい相手の話し方、身体の動かし方やクセを意図的に似ようとすることでお互いに好意性が高まる効果があることを示している。原理は類似性(“好意承諾”)

例えば好意を獲得したい相手と食事に行ったとき、相手に倣って相手と同じものを食べる。相手がコーヒーをそそれば自分もそそる。これには類似性の効果のほかに、同じ体験を共有することによってお互いのコミュニケーションの活性化も期待できる

手のひらと親密性

人は、相手が家族や親しい友人でなければ、自分の手のひらをめったに見せない。もし、相手がそれほど親密でないのに、あなたに手のひらを見せているようなら、あなたに好意を抱き、信頼を寄せている証拠である。手のひらを見せることは、「私はあなたを信頼しているから、あなたも私を信頼してほしい」というサインなのかもしれない

ボディー・ランゲージの好意承諾

異性に好かれるボディー・ランゲージの使い方には特徴がある
まず第一に、視線を合わせること。いつもより少し長めに視線を合わせる。そうすることで、相手はこちらを意識するようになる

次に、相手のパーソナル・スペースにさりげなく入ること。身体を直接触ったりするのではなく、隣りに座ったときに肩を寄せるようにして話す。ここでもさりげなさが大事で、警戒心を抱かれないようにするのがポイントである。人は自分の身体の周辺の空間を他人に侵入されたり、逆に侵入したりするのを嫌がる心理がある。この心理は相手との人間関係が希薄なほど強くはたらく。したがって相手のパーソナル・スペースに入るのが苦手な人は、相手とある程度の人間関係が構築されてからのほうが警戒心をもたれにくい

最後に、潔く引き下がること。相手がこちらに関心がないと判断したときの引き際にさりげなさを意識することで相手の心を惹きつける要素にもなる

恋愛にかぎらず、ボディー・ランゲージは人間関係において大切な役割をもっている

ジェスチャーの意味

ボディー・ランゲージの一つであるジェスチャーは実は世界各国で意味が違う

例えば、日本では小指を立てると女性や恋人を意味するが、タイでは友情や友だち、中国ではつまらないものやよくないこと、アメリカでは意気地のない男、インドに至ってはトイレに行きたいという合図になる

好意の接触欲求

相手に対しての好意が上がるほど、相手を触りたいという接触欲求も高まる。これを好意の接触欲求という。一般に外国人は日本人よりも日常生活において触れ合う文化がある。そのため、地域によって接触頻度は異なるといえる。例えば日本人の娘だと、父親に触るなんて気持ち悪いと言う人が多いといわれる

»#hsk

/a 接触の好意維持

好意の接触欲求を好意獲得には使えないが、すでに相思相愛の関係にある場合、親密性を高め、お互いの好意性を維持するために接触を頻繁に行うのは効果的である。もちろん自分からの一方的な接触ではなく、相手とのバランスも考えるべきではあるが

同一視

女性がブランド品のいい服を着ることによって、その服に合うような人間であることを示そうとしたり、男性が高級車に乗って「他人よりも上だぞ」というプライドを持とうとしたりといったような、ものによって自分自身を高めていこうとする行為を同一視という。モノ語りとも言われ、モノによって自己主張をする心理は無意識の心理であるといえる

»#h-i

印象マネジメント[印象管理]

ちょっとしたイメージ・チェンジ、いわゆるイメチェンは同姓よりも異性に対してのほうが印象を強く与える効果がある。人は相手が異性だと、異性のことはわからないと思っているのでどうしても判断を外見に頼りがちである。こうしたことから、外見を変えるイメチェンは異性のほうに印象を強く与えやすい。「もう少し美人だったら・・・」と嘆くまえに、メガネをやめてコンタクトレンズにしてみる。あるいは明るい色の洋服や胸元の開いた服装を着てみたり、髪型を変えるだけでも相手のあなたに対する印象は変わる。相手の好みが分かるなら、それに合わせるほうがなおよい

このように、相手からの印象を自分でコントロール(管理)しようとすることを印象マネジメント[印象管理]という。例えば、恋愛をしている男女はお互い、相手からよく思われたい、自分をよく見てほしい、という感情から印象管理に細心の注意を払う傾向がある

垂直動作と権威

身体を垂直方向に力強く動かす姿勢や動作は、心理的には相手に対して権威や力を示すことになる。これを垂直動作と権威という。上から下への手の動作(たとえば、机を叩く)は威厳や怒りを示し、下から上への動作(たとえば、机を叩き、勢いよく立ち上がる)は反抗を示す。これらの垂直動作をみせる人は自分の力を示したいという思いがある

 


 

相手の目を見ながら話すより、相手の鼻あたりを見るようにして話していると目の表情がグンとやわらかく見えることが多い


思考学 目次

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