連合の心理/自尊心/執着

●0/連合の心理

(例) 悪いニュースの内容は、その話し手にも伝染する。人間には、不快な情報をもたらす人を嫌う傾向がある。たとえ、その人が悪い知らせの原因ではないとしてもです

“ハロー効果”や上のニュースの話のように、直接的な関係がないにも関わらず、あるものがあるものに影響を与える心理を連合の心理という

»#h-k

評価の高浸透性

批判や栄光など、自身の評価に関することに人は敏感に反応し、すぐに自分と関連付けてしまう無意識の心理を評価の高浸透性という

(例) たとえ自分だけに対してでなくても、自分も含まれる遠まわしな批判を感じ取ると、無意識にむきになってしまう

飾りの錯覚

よい見返りにはその相手に好意を抱く。お礼の程度と同じように。好意の錯覚である

吊り橋効果

ある感情が起こる原因を別のものと勘違いしてしまうことを吊り橋効果という

(例) 吊り橋を渡っているときに女性から電話番号を渡されると吊り橋によるドキドキの感情をその女性に対しての感情だと勘違いしてしまう、など

/a 満足感の吊り橋効果(“満足感”)

相手が勝手に満足感に浸っている場合、周りにいる人が満足感の原因だと勘違いする。自分は相手に満足感は与えていないところがミソ

/b 応用[グッドフィーリング効果]

グッドフィーリング効果とは、気持ちのいい部屋やおいしい食事など、快の感情をもたらすような快適な状況では、心も快になり、相手に対しても受容的・好意的になる心理のことである。例えば、自分に対しての好意を獲得するには、恐怖や楽しいことなどを一緒に体験するとよい。出来事などが間接的に自分の好意につながるような関係性を構築することを心がける。「あなたといると良い事がたくさん起きる」=「あなたといると楽しい」と錯覚させるようにするのが効果的である。またその逆も同じ原理で考えるとおのずと分かるでしょう

b-例1 恐怖などの胸がドキドキする興奮状態のときに出会うようにすれば、吊り橋効果によって一目惚れが起きる可能性もある

b-例2 デートで、待ち合わせのあと、まずは一緒にスポーツで汗を流すか、ホラー映画に行く。または遊園地などでもいい。そのあとにゆっくり食事に出かければよい。怖い思いをしたときでも、運動でも、うれしいことでも、同じように胸はドキドキして、生理的に興奮する。この興奮状態のあとにあなたと一緒にいると、あなたへの興奮状態へと吊り橋効果がはたらき、好意性が高まるのである。ただし最初の興奮状態を醸成する段階で、相手の好きなものを見させて興奮状態に陥らせる“既知性の高い興奮状態”では効果は薄い。あくまで意外性を少しでも伴った興奮状態が効果的である

無知の理解効果

人は分からないと理解しようとする心理がある。これを無知の理解効果という。理解は必要だから分からないことも必要である。考える必要がないと、考えることをしないのが人だからだ

慣れと感動

慣れの中から感動は生まれにくい。慣れの反対は意外性である

自己評価

自己評価が高いと自分に自信がついて積極的になり、逆に低いと自信をなくし消極的になる。自己評価がもたらす効果は他にもいくつかある

/a 自己評価と外的期待値

人は、自分で自分のことを高く評価しているときには、周りに望む理想や期待も高くなる。逆に自分のことを過小評価している人は、周りへの期待も下がる。自己評価が周りへの期待値に影響をおよぼすことを自己評価と外的期待値という

a-例

失恋で傷ついた直後は、「私に魅力がなかったんだろうか」「私のどこがいけなかったのか」と、必要以上に自分を過小評価してしまうことがある。失恋によってプライドが崩れているとき、自分自身の評価がグンと下がっているため、異性のちょっとしたやさしさが身に染みやすい。これを意識的に使うのであれば、恋人がいる異性に対して普段から適切な人間関係を築いておくのが大事である。適切な人間関係とは、これは特にあなたが男性だった場合によく当てはまることであるが、異性の友達とは完全なる親友系友達関係ではない友達関係を築くということである。つまり相手から「友達としてしか見れない(異性として見れない)」とまで思わせるほど奥深んだ友達関係を築くべきではないということだ。なぜなら、男性は友人的好意と異性恋愛の間の境界線が曖昧であるのに対し、女性は友人的好意と異性恋愛の間にしっかりとした明確な境界線があるからである。相手が女性の場合は、友達関係において「友達としてしか見れない」とまで思わせてしまったら、いくら失恋直後になぐさめに行ったところで、恋愛に転換するのは難しい

/b 自己評価と対人好意

自己評価は自信の有無をもたらすが、その結果についてはこの対人好意では少し他と異なるといえる。自己評価が高まったときには、好意をもっている相手に積極的にアプローチするが(ただし魅力のない女性には関心を示さない)、自己評価が下がると、相対的に女性への評価が高くなり、誰もが素晴らしく見えて好意をもってしまう。つまり女性の魅力いかんにかかわらず好意をもつようになるということである。自己評価が下がったとき、敷居が低くなるために相手への好意が生まれ、自己評価が上がったとき、好意が行動に移される。この心理は、行動して自己評価が得られるような結果を手にすることは、それがよくても悪くても、人との好意的関係(対人好意)を促進すると教えている。普段消極的な人が好意をもつ相手に積極的なアプローチをしたい場合には、何かを達成した日や望ましい結果を得ることができたときなど、自己評価が上がった次の日がよいかもしれない

»#t-k

昼夜の感情高低

夜は昼に比べて気分が高揚しやすく、情熱的になりやすい。これを昼夜の感情高低という。一つには、夜は外の世界と遮断されて、自分自身を見つめるのにいい環境だからである。また、暗いという心理的不安と、人との接触が夜は少ないため、孤独も生みやすい。また、人は体内に日時計をもっていて、それに基づいて生活している。この体内時計は一日二十五時間だが、昼と夜を区別していて、体内では夜は眠っている時間である。その時間に起きていると、昼間とは違って生理的に高揚した状態となるのである。お互い情熱的になりたいときや、告白なども夜にしたほうが効果的だといえる

席位置と対人関係

お互いの席位置がどの位置かによって生み出す心理が異なる。席の位置関係が対人的証明に影響を与えることを席位置と対人関係という。誰かとテーブルにつく際には、目的や状態、二人の関係性によってそれぞれふさわしい座り方がある

a もっとも心理的負担が少ないのは、四人掛けの席に斜めに向かい合って座る方法である。これならば、威圧感や緊張感が少ないので、親しくなりやすいといえる

b もともと親しい間柄で、より親密さを深めるには、二人掛け、つまり並んで座る席がよい。身体的な接触の機会が多く、お互いのパーソナルスペースに入り込んでいるのでお互いを意識し合ってより親密になると考えられる。例えば、恋人と座るとき、協力して仕事をするとき、何か直談判したいとき、最後の詰めで結論を出したいときなどに最適である

c 競争的に仕事をする際には、真正面に向かい合って座るのが効果的である。恋人と座るときでも、お互いの目を見て話せるのでお互いをより知ることができ、親密性が高まる効果もある。二人掛けの席がない場合は対面の席でも問題ない。また、交渉ごとなどで自分を優勢にしたい場合には、窓を背にする位置でこの座り方をするとよい。後方から光が入るために顔色が読まれにくく、自分のペースにもち込みやすいからである

ボールドウィン効果

ボールドウィン効果とは、大まかに言えば、学習能力が高くなる方向に選択が進むことを示唆したものである。選択された子孫は新たなスキルを学習する能力が高くなる傾向があり、遺伝的に符号化された固定的な能力に制限されない傾向が強まる。種やグループの持続的な振る舞いが、その種の進化を形成するという点を重視する。例えば、ある種に新たな捕食者が現れ、その捕食者に個体が捕らえられにくくする振る舞い(行動)が存在するとする。各個体がその振る舞いを素早く学習すれば、種としての利益につながるのは明らかである。すると、時と共にその振る舞いを学習する能力が(遺伝的選択によって)向上していき、ある時点で本能のように見えるようになる。ミルクを産する家畜を長く飼ってきたことで、乳糖への耐性がある人間が増えたこともボールドウィン効果の一例とされる。つまり、酪農社会においてはそのような遺伝形質があることが有利であり、一種のフィードバックループの効果によって酪農の発展と共にそのような遺伝子型が増大したのだと言われている

»#i-g

a 遺伝子型レベルでの学習

ボールドウィン効果では、ある一方向変化の選択には、持続する反復学習が適応の条件とされる。ボールドウィン効果によって得られる適応というのは、「習慣」よりもさらに奥の無意識下に押し込まれる本能に近いものであると思うのだが、そういった種のアダプティブな(環境に適応する)状況では、進化において「経済性」という属性は重要になってくる。アダプティブな学習では、ある特徴を遺伝子型レベルでの決定によって得る方が、同様の特徴を体細胞的変化や表現型レベルでの(より意識的で柔軟性のある)学習によって得るより、ある特別な意味で「経済的」である。それはなぜか。グレゴリー・ベイトソンは次のように述べている

「すべての有機体で、体細胞的適応にあてられる柔軟性と学習の許容量とに一定のリミットがもうけられており、適切な方向への変化が遺伝子型レベルでの変化によって肩代わりされることで、これらの容量に余裕が生じる(経済的になる)」
<グレゴリー・ベイトソン>

これは習慣的行動が、その時々で臨機応変に行動する場合に比べて、思考するということを怠るために、柔軟性が低く、(学習する量が少ないために)学習の許容量も少ないことを考えれば分かりやすいだろう。柔軟性が低く、さらに学習の許容量も少ないということは、ほかのことにそれらを回せる(セーブできる)ということ。つまり、このような「あずけ入れ」は、適応や学習の貴重な能力を、他の事態のためにセーブすることに通じる点で、生存上の価値を持つと考えられる。この考えは「ボールドウィン効果」の理論的な支えになるだろう。また、この論をさらに展開していくなかで、現在遺伝子型レベルで決定されているシグナルの中に、もともとは学習によって得られたものが含まれているという可能性を示すこともできると思われる。といっても、ラマルクの主張したような、世代間の継承が起こりうるということではない。この点は非常に興味深い。これはつまり、獲得形質の遺伝は一切起こらない、ということである。ボールドウィン効果はあくまで反復学習による習慣化された学習であり、本能に近いものであって本能ではない。つまり遺伝しないのだ

»#z-t

●1/自尊心

私たちは「自分がどうあるか」ということよりも「自分がどう見られているか」を気にして生きている。順序が逆だ。だから、集合写真を撮ってもらい、写真が完成したら真っ先に誰を見るかというと自分なのだ。他の誰よりも、可愛いのが自分。そしてちょっとでも気に入らないと「この写真おかしい」などと言う。「自分が大切」というのは誰しもがもっている心。これを自己重要感(自尊心)という。自尊心とは、自己に対して一般化された肯定的な態度のこと。自分のことを大切に思う気持ちなどである

»#z-m

自尊心と末路

承諾をしなかった場合の末路に相手の自尊心を刺激する要素を取り入れることで拒否したくない心理を生み出す。これを自尊心と末路という。この効果を包摂するものには“コミットメントと一貫性”がある

a マネジメントにおいて、製品が売れなかった場合の末路に相手の自尊心を刺激する要素を取り入れる

a-例 写真店で「数あるお子様の写真の中でお買い求めいただかなかったものは、24時間以内に焼却させていただくことになっております」

自尊心話法

「~ですか?」より「~覚えておられますか?」のほうが自尊心を刺激して答えたくなりやすい。これを自尊心話法という。他者に対してよく思われたい、よく見せたいという人の心理を利用するものである

(例) 教えを乞うとき、相手の自己重要感(自尊心)を刺激する言い方を使う
「○○さんだからこそ、尋ねました」「○○さんなら絶対にわかると思って」

自尊心と要求

承諾させたい要請には、その要請そのものに「相手にとって+の要素」を付加させることで相手の自尊心を刺激し、断りにくい心理にさせるのが効果的である

(例) 「ですから、私が~だとまだ思っているのなら、それは本当に馬鹿げたことです。あなたのように知的な方なら、このことがきっとお分かりになりますよね」

»#zzk

自己肯定感

自分自身に対する自信、あるいはもっと広く、欠点を含めて自分を受け入れるといったトータルな肯定感のことを自己肯定感という。自己肯定感は自己成長欲求や自己実現欲求を高める効果がある。自己肯定感が高いということは、自分に対して自信が高く、往々にして人生を楽しんでいるような人である。また、他人に対しても寛容で、好意的な人間関係を築いている場合が多い。しかしこの自己肯定感を支えているのは、まさにその安定した好意的人間関係なのである。批判や命令ばかりでは自己肯定感は得られない。人から支持され、肯定され、称賛されて初めて自己肯定感が得られるのである。また得てして支持し、肯定し、称賛する人は相手からの好意を受けるので、自己肯定感を生み出す二人の人間関係は、一方が相手の話を聞き、同意し、支持することが相手を成長させると同時に、そのほうの好意から二人の人間関係を良くし、発展させる相乗効果になっている

»#s-t

●2/執着

執着がもたらす効果について。また、執着を生むにはどのような手段が考えられるか

»#s-n

執着の能力向上

執着は能力を向上させる効果がある。執着とは、守るもの、大切なもの、責任、好きなもの、など
最後のほうは痛くて、つらくて、生きるのが困難になる。それでも生きようとするのは、守らなければいけないものがあるからではないのか

»#sit

意識と注意

執着があるものや好きなもの、気になっているものには特に意識がいきやすい。これを意識と注意という。意識がいくということは、その物事が起こっていることを強く再認識させることになる。また、意図的に意識を引きつけることにも応用できる

(例) アルバムを聴いていながら何かをしているとき、好きな曲が流れるとそのときだけ音楽が流れていることを普段より強く意識するようになる

執着を生むには

a 努力の愛着効果(“コミットメントと一貫性”)
自分が建設し、今なお存続しているものには大抵の場合愛着があり、誇りを持っているものだ。これを努力の愛着効果という。逆に考えれば、愛着・執着を持たせるには努力をさせることが効果的であるといえる

自己否定感情

今まで正しいと信じてやってきたことが間違いだと分かると自己否定感情に苛まれる。この感情の正体は「自分はなんてバカなんだろう」という自己否定感情。今までそれをやってきていて満足感と幸福感を得ていたのに、急にひどい自己いじめになるというのはとても不思議なものだ


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