第97回高等学校野球選手権大会(2015年・夏の甲子園)

いよいよ開幕! 第97回高等学校野球選手権大会

第97回、今年も夏の甲子園が始まります

地元 茨城からは霞ヶ浦高校が出ます。頑張ってほしいですね

私が優勝候補として注目しているのは3校!

①敦賀気比(福井)
②仙台育英(宮城)
③東海大相模(神奈川)

東海大相模はレベルの高い投手たちが揃っていてとっても魅力なのですが、夏は投手力より打撃力が高いチームが勝つと言われているので、やはり投打のバランスがいい敦賀気比と打撃力自慢の仙台育英、この二校が注目となりそうですね

一回戦ではやはりこの敦賀気比(福井) 対 明徳義塾(高知)のカードが一番の注目となっていますね。明徳義塾は甲子園の常連校、一回戦の勝率は10割という強豪です

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そのほかの注目校も合わせて書いておきます。◎は優勝候補です

・Aゾーン
霞ケ浦(茨城)

・Bゾーン
静岡(静岡)
早稲田実(東京)
◎敦賀気比(福井)
明徳義塾(高知)
大阪偕星(大阪)

・Cゾーン
智弁和歌山(和歌山)
天理(奈良)
◎仙台育英(宮城)
健大高崎(群馬)

・Dゾーン
興南(沖縄)
◎東海大相模(神奈川)
作新学院(栃木)

※ABCDゾーンに分けていますが、二回戦のカードはまた抽選によって決まるので、勝ち上がり後は関係ありません

各校初戦

毎度ながら健大高崎の礼儀が素晴らしい今年の夏の甲子園です。遊学館(石川)は今大会のダークホースとなれるか、今大会の注目校です。一回大会優勝校 京都ニ中の流れをくむ鳥羽高校(京都)も順調に初戦突破しました
テレビ朝日の熱闘甲子園のOP『On Your Side』/Superflyは涙がにじみます

この時点で、録画後追いで出場校全てが出揃いつくす作新学院(栃木)―鹿児島実業(鹿児島)のカードまで観終わりました

今日15日時点では私がまだ観てない試合がたくさんありますが、これらの試合の結果についてはまったく知りません。録画後追いでリアルタイムに追いつけるように頑張ります(笑)

さて、各出場校の初戦を観終わって、あらためて注目強豪校をリストアップしていきたいと思います。大会が始まる前に一度リストアップしたので、その比較という形にしたいと思います

注目強豪校リストアップ

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初戦の戦いぶりを見ての注目強豪校リストアップです

×<> …初戦敗退校
◎ …優勝候補
○ …準・優勝候補
↑ …大会前に行ったリストアップで注目強豪校にしていなかったチーム
↓<> …大会前に行ったリストアップで注目強豪校だったが今回外したチーム

×<霞ケ浦(茨城)>
東海大甲府(山梨)○↑
×<静岡(静岡)>
↓<早稲田実(東京)>
敦賀気比(福井)◎
×<明徳義塾(高知)>
↓<大阪偕星(大阪)>
×<智弁和歌山(和歌山)>
×<天理(奈良)>
仙台育英(宮城)◎
↓<健大高崎(群馬)>
↓<興南(沖縄)>
花咲徳栄(埼玉)○↑
東海大相模(神奈川)◎
遊学館(石川)○↑
↓<作新学院(栃木)>

優勝候補 …敦賀気比(福井)、仙台育英(宮城)、東海大相模(神奈川)
準・優勝候補 …東海大甲府(山梨)、花咲徳栄(埼玉)、遊学館(石川)

東海大相模(神奈川)◎

やはり今大会屈指の投手陣のレベルの高さに尽きる。右の吉田と左の小笠原。一回戦の聖光学院(福島)との試合をみるかぎり、吉田投手は非常に投球術に優れ、ストレート、変化球をうまく織り交ぜながら相手バッターのタイミングを外すのがうまい。一回戦で調子が悪くても変化球のキレはばつぐんだった。それを修正できたら、なかなか打ち崩せる投手ではない。小笠原投手は最後の9回にだけ登板したが、150kmをこえるスピードボールが持ち味。今大会№1左腕のよびごえ高い。二回戦は小笠原投手が先発となるのか。打撃力もなかなかある。スイングスピードも速いが、なんといってもボールの見極めが秀逸。門馬監督は投だけでなく打も活躍しなければ甲子園では勝てないとおっしゃっている。勝ってもなお課題を挙げ次に修正する。向上心が素晴らしいチーム、優勝候補である

花咲徳栄[はなさきとくはる](埼玉)○

投打のバランスが良い。どのバッターもスイングスピードが速いので打球が速くなる。速いゴロの短打も打てる、長打も打てる、塁に出たら足もからめられる。エースの鎌倉知也投手の持ち味はキレとコントロール。時々シュート回転して真ん中にいったり高めにいったりするが、全体的にコントロールが良い。そして球速以上に感じる球のキレ。リリーフの高橋もレベルが高い。スピードは140kmを超えるが、投球フォームによってそれ以上に感じるのでなかなかバッターは打てない。投打のバランスが良い花咲徳栄、準・優勝候補である

仙台育英(宮城)◎

打線のレベルの高さは今大会随一。打線では他に負けるものがない。夏の甲子園では打線が強いチームが勝ちあがる傾向にあるので、その意味でも注目である。優勝に向けて心配なのは投手力と劣勢を跳ね返す粘り強さのところ。エースの佐藤世那は故障明けで調子が万全ではない。スピード、キレなどは問題ないがコントロールにまだバラつきがある。もう一人の投手 出目木に頼るのでは優勝はできないと思うので、佐藤がそこを修正していけるかがポイントだ。優勝するチームにはいつもそこに好投手がいるものだ。仙台育英は敦賀気比のようにエース投手を安定させる必要がある

敦賀気比(福島)◎

春選抜に比べると打撃力は落ち着いている印象。だがチームに一体感がある。打では平沼、松本、そして主将の篠原。守りではエースの平沼投手を中心に洗練された固い守り。打が不振でも守りからリズムを作ることができる。失点を重ねても、調子の良い選手が打でそれをひっくり返す。王者の意地、最後まで諦めない気持ち、劣勢をひっくり返す粘り強さ。優勝候補だ

東海大甲府 ○

このチームはなんといっても爆発的な強力打線が特徴。エースの菊池投手はスピードもあってなかなかレベルが高い。だがもし菊池が捕まったときに助けてくれるリリーフが今のところいないというのが不安なところ

注目選手/注目カード

関東第一(東東京)のオコエ瑠偉

身体能力の高さ。走攻守そろった逸材。トップバッターの役目を十分はたしている。そして3番を打つ伊藤のバッティングも素晴らしい。東東京大会では打点15という勝負強さ。関東第一の1番~3番は強力打線の主軸である。しかし関東第一の最大の弱点は投手力の弱さにある。登録ピッチャーは多いが、どのピッチャーも絶対的エースと呼べるものがいない。エースを育て、投手力を底上げしないと甲子園での勝ち上がりは厳しい

津商(三重)対 鳥羽(京都)

初戦の試合をみると、両チームとも強か[したたか]なのがわかる。津商は初出場ながら素晴らしいメンタルをもっている。今大会の鳥羽も伝統の名に恥じぬ戦いぶりをこれまで見せている。特に鳥羽は他の天理や創成館のように接戦勝負でも気負いすることなくコツコツと点を取りにいく強かさをもっている。このカードは次戦で特に注目である。この試合に勝ったチームは今大会ベスト4もありえる

滝川第二(兵庫)の根来祥汰

滝川第二(兵庫)のトップバッターでセンターの根来祥汰の身体能力の高さ。走攻守揃った逸材。とくにバッティングセンスは秀逸。自分の打てるポイント、どの方向に打てばヒットになるかをよくわかっている。ピッチャーが三振を取りにいくきわどい球を振ってくれないので、ピッチャーには強烈に嫌な印象を与える。塁に出ればその俊足を生かしすかさず盗塁、守ってはその強肩で次の一点を阻止する。間違いなくドラフトの目玉となりうる

智弁和歌山(和歌山) 対 津商業(三重)

この試合は誰もが予想もしなかった結果になりとても印象的だった。私のふるさとである和歌山、もちろん智弁和歌山を応援していたが、試合中智弁は失策が多かった。相手がめちゃくちゃ強かったのではなく自分たちのミスの連発で負けを招いたというところが、私としてはとてもショックだった。伝統の智弁がこれだけエラーを連発するなんて、こんなにショックな試合はほかになかった。今年春の選抜で大阪桐蔭が敦賀気比の松本に二打席連続満塁ホームランを打たれた試合よりショックだった。智弁に勝った津商を称えたい。甲子園初出場の津商、最初は智弁に恐れおののいてプレーしていたが、自分たちの力で気力を奮い立たし、流れを引き寄せ、最後は智弁を飲みこんだ。技術面はさておき、選手・監督・観衆の気持ちの強さ、勇気、自信、諦めない気持ち、強かさ、元気さは今大会随一だ

明徳義塾(高知) 対 敦賀気比(福島)

一回戦 最注目の一戦、明徳義塾(高知) 対 敦賀気比(福島)。初戦勝率10割の明徳義塾と今年春の選抜優勝校 敦賀気比の対決。序盤は敦賀気比の平沼投手が調子悪く、インコースに投げれなかったので失点を重ねた。流れがずっと明徳義塾にあったなかで、平沼、松本、篠原が打線でリズムを作り、平沼も徐々に立ち直っていって流れは敦賀気比に。注目度にたがわず、手に汗握る素晴らしい試合だった。明徳義塾も敦賀の猛攻を必死に守ってよくがんばった。エース投手の調子が悪くても名門 明徳義塾に勝ってしまう、敦賀気比のポテンシャルはいかほどか。それにしても松本は、春選抜での二打席連続満塁ホームランを打ったことによる打撃不振から立ち直って、再び躍動している。早稲田の怪物 清宮並みの脅威を相手に与えている

広島新庄(広島) 対 早稲田実業(西東京)

二回戦の広島新庄(広島) 対 早稲田実業(西東京)の対決は楽しみ。一回戦で広島新庄は霞ヶ浦(茨城)と好ゲームをした。ここで勝ち進んだ広島新庄は勢いにのっていると思われる。この強敵 広島新庄に早稲田実業のピッチャーがいかに抑えていけるか、注目だ。強敵を相手にすることで早稲田実業の真価[総合力]が問われる一戦となるだろう

早稲田実業の清宮幸太郎

打球が速い。スイングスピードが速くてパワーがある。3番 清宮、4番 加藤、5番 金子、このクリーンナップは脅威だ

花巻東の小松悠哉

花巻東 小松悠哉のバッティングセンス。選球眼がいい。自分が打てるゾーンに入った球を積極的に打ちにいく。それ以外は捨てる。できそうで簡単にはできない小松のバッティングセンス。インサイドに強い。初戦では6番を担った

上田西のエースピッチャー草海光貴

168cmと小柄だが、その身体から放たれる球はすばらしいものがある。140kmを超えるスピード、キレ、そして安定したコントロール。左右逆ではあるが、大阪桐蔭の田中誠也投手を彷彿とさせる

伝統の鳥羽高校

1915年に開かれた第1回全国中等学校優勝野球大会(全国高等学校野球選手権大会)の優勝校、京都二中の流れをくむ鳥羽高校の甲子園出場。今回で高校野球はちょうど100年目。この記念すべき年に鳥羽高校が出場したという意義、これだけで素晴らしい。鳥羽高校は今大会、15年ぶり6回目の出場となる。解説の杉浦さんいわく、「伝統ある学校だが、(久しぶりなので)初出場みたいなもの」

名場面

・東海大甲府 対 静岡。7回表、東海大甲府の攻撃、2アウト満塁。現在7―5で甲府は2点リードしているとはいえこの試合はシーソーゲーム、この回で追加点を取れるか取れないかは大きい。2アウト一塁から満塁まで溜めた貴重なランナー、その意味でもここは試合の佳境であることは明らか。ここでバッターは先発ピッチャーの菊地大揮。高校野球では打てるピッチャーも多いが、この菊地はこれまで三振、三ゴロ、三振と打では不振。先発の菊地はここまで静岡打線をよく抑えてきたが、回も終盤七回、ここは菊地を下げて代打で勝負にいくべきだ。せっかくのチャンスを簡単に無駄にするわけにはいかない。信頼できるリリーフがいることはチームの総合力を高める。だがそうした思いきった継投ができなければこういう大事な場面に対応できない。ここで東海大甲府はピッチャーの菊地をそのまま打席に入らせた。ここが勝負の分かれめだったと私は思った
・開幕戦、鹿児島実業(鹿児島) 対 北海(南北海道)の試合、7回裏、鹿児島実業の守り、ショートのファインプレーでゲッツーをとった場面。ショートのファインプレーはプロ級、素晴らしかった。解説の鬼嶋一司さんが言ったように、まさに「惚れぼれするプレー」だった

ベスト16決定

今大会は四天王(大阪府勢、栃木県勢、群馬県勢、神奈川県勢)が調子よく勝ち上がりつづけていますね。大阪府勢の大阪偕成は惜しくも敗退したが、残り3県勢はベスト16に進出しました

録画後追いで二回戦全て 創成館(長崎)―健大高崎(群馬)までを観終わりました。これでベスト16がでそろって、これから三回戦がはじまります

【ベスト16】

東海大甲府(山梨)―早稲田実(西東京)
鶴岡東(山形)―花咲徳栄(埼玉)
遊学館(石川)―東海大相模(神奈川)
作新学院(栃木)―九州国際大付(福岡)

健大高崎(群馬)―秋田商(秋田)
関東第一(東東京)―中京大中京(愛知)
仙台育英(宮城)―花巻東(宮城)
興南(沖縄)―鳥羽(京都)

注目強豪校

前回リストアップ

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優勝候補 …仙台育英(宮城)、東海大相模(神奈川)
準・優勝候補 …東海大甲府(山梨)、花咲徳栄(埼玉)、鳥羽(京都)
ダークホース …遊学館(石川)

※優勝候補だった敦賀気比が二回戦で敗退、準・優勝候補に鳥羽高校を追加、ダークホースに遊学館(石川)を追加しました

・仙台育英(宮城)◎ 二回戦の滝川第一(兵庫)との試合を観た感想。結果は7-1でベスト16進出となった。バッティングはみなコンパクトで、初戦とは違った攻め方をしてきた。相手投手の特性によってバッティングのしかたを変えることができるレベルの高さ。そして序盤に苦戦する投手でもしっかりみんなで話し合って早い段階で攻略してくる対応力の高さ、これもすばらしい。しかし序盤中盤はチャンスを何度もつくったが1点ずつしか取ることができなかった。佐藤投手が0点に抑えてくれたものの、点差が小さければいつ相手にリズムを渡すかわからない。そこのたたみかけの部分をもっと高めてほしい。エースの佐藤投手は序盤から中盤にかけてストレートの制球があまり良くなかった。シュート回転するストレートとシュート回転しないストレートがあったが、シュート回転するストレートは自分でコントロールできない様子だったので、ここが佐藤投手の課題と思われる。終盤のストレートはシュート回転せず、低めの意図したところにしっかり決まっていた。おまけにキレがいい。佐藤投手の調子が良い状態というのは、ストレートがシュート回転せずコントロール良く決まること。今回、変化球はしっかり決まっていた。ベスト16が出揃った今、強敵との連戦が続くわけだから、佐藤投手の調子がそろそろ上がってこないと仙台育英は勝ち上がりが厳しくなるだろう

・優勝候補として挙げていた敦賀気比(福井)は二回戦で花巻東(岩手)に3-8で敗れ敗退した。エースの平沼投手は立ち上がりから調子が悪く、いつもは調子が悪くても修正する能力を持っているのだが、今回は最後まで修正できなかった。しかし称賛すべきは花巻東の選手たちがしっかり平沼を研究して臨み、そして18安打8得点と結果を出したこと。逆方向へ打つ意識、低めのスライダーの見極め、花巻東の選手たちにしっかり徹底されていた。敦賀気比が投打共に本来の調子が出なかったとはいえ、花巻東の、相手を引き離す勝負強さ、研究された的確な打撃、本当にすばらしい戦いぶりだった。個人的には敦賀気比の嘉門が地方大会から打撃の調子が上がらず9番に降格していたが、今回の試合で調子を取り戻してくれたのがうれしかった

注目選手/注目カード

津商(三重)対 鳥羽(京都)

二回戦注目の一戦、津商(三重)対 鳥羽(京都)が行われた。ロースコア展開となったが鳥羽のほうが打撃守備共に一枚上手[うわて]だった。初戦で名門 智弁和歌山をくだして勢いにのっている津商を黙らせ、短打連発で終始主導権を握りつづけた鳥羽高校。それにしても両チームノーエラーという本当にレベルの高い試合だった。試合前に、この試合で勝ったチームはベスト4まで行くと予想したが、勝った鳥羽がベスト4までいくにはあと二つ勝ち上がらなければならない。次戦は興南(沖縄)との試合となる

遊学館(石川)対 東海大相模(神奈川)

私が優勝候補として挙げている東海大相模と準・優勝候補としてあげている遊学館の対戦となる。強豪 遊学館に対して、投打守備全てレベルの高い相模がどのような戦いぶりをみせるのか。まったく予想ができない

仙台育英(宮城)対 花巻東(宮城)

花巻東は今年春選抜優勝校の敦賀気比(福井)を破ってここまできたチーム。おそらく研究されるであろう仙台育英のエース 佐藤投手が花巻東の打者をどう打ちとっていくのか、そして敦賀気比の強力打線を沈黙させた花巻東の投手陣にたいして仙台育英はどのような攻めかたで点をとりにいくのか。三回戦最注目の一戦

仙台育英(宮城)の1年 西巻賢二

仙台育英(宮城)の1年 西巻賢二の将来性。1年生で仙台育英のベンチ入り、2回戦の滝川第一(兵庫)との試合で西巻が代打で出てそのバッティングを見たが、スイングスピードが速い。守備はサードを守ったがさばきが軽快。1年で甲子園を体験したというのも大きい。仙台育英の西巻賢二、来年再来年が楽しみだ

名場面

・二回戦 敦賀気比(福井)対 花巻東(岩手)5回裏の敦賀気比の攻撃時点で、敦賀気比は0-4と劣勢。これまでノーヒットと打線沈黙。エース平沼は立ち上がり球が高くて4失点、花巻東にヒット9本を浴びまさかのノックアウト。完全に相手におされているなかで、この5回裏に初ヒットが生まれ、2アウト1・3塁と反撃のチャンス。ここでバッターは主将の篠原。私としてはタイムリーで1点でも返せば反撃ののろしが上がると思っていたが、篠原はセンターへ3ランホームラン。一気に3-4と詰め寄った。これまで平沼が不調で相手に点をとられ、初戦15安打と好調だった打線も沈黙。劣勢で下がっていたチームの士気を主将みずからの一振りでよみがえらせた。敦賀気比の財産、篠原主将。やっぱり一丸となったチームは強い。春選抜優勝校の王者が意地を見せた場面だった

準決勝カード決定

早稲田実業の清宮、関東第一のオコエ、東海大相模の磯網、興南の比屋根などは、名実ともに今大会で確かな活躍をした。称えたい。そのほかの選手も、全力勝負を見せてくれた
ベスト4・準決勝のカードが決まりました。準決勝は8/19 11:00~おこなわれます
私も録画後追いで、今日リアルタイムに追いつきました。19日の準決勝、20日の決勝と、高校球児の全力プレーを楽しみたいと思います

【準決勝】

仙台育英(宮城)―早稲田実(西東京)
東海大相模(神奈川)―関東第一(東東京)

・決勝カード予想 ※前回リストアップ
仙台育英(宮城)―東海大相模(神奈川)

注目カード/注目校

秋田商(秋田)―仙台育英(宮城)

秋田商(秋田)―仙台育英(宮城)のベスト4をかけた東北勢対決。スコアは6-3で仙台育英の勝利。仙台育英のエース 佐藤世那投手が完投した。両チームは定期的に練習試合をする間柄で、甲子園直前の練習試合2試合では10-1、11-1といずれも仙台育英が大差をつけた。今回、この甲子園という舞台で6-3、しかも最後9回に2点をとるという秋田商業の粘りが見えた。試合後に仙台育英の校歌が流れたときには、秋田商業の選手は全員泣いていた。秋田商業は本当によくがんばったと思う。仙台育英は調子が良かった秋田商業の成田翔投手を攻略したから勝てたものの、ところどころ詰めの甘い部分が露呈してしまった。佐藤投手は9回に2点を取られる、成田投手にたいしては大振りになって序盤は完全に抑えられていた。準決勝の相手が東海大相模ではなく早稲田実業で幸運だったと思う。早実戦でしっかり勝って、決勝で東海大相模に全力でぶつかっていこう

東海大相模(神奈川)◎

花咲徳栄(埼玉)―東海大相模(神奈川)の試合はここまでの全試合のなかで一番見ごたえのある試合だった。花咲徳栄は総合力が本当に高いチーム、まさに強豪校というにふさわしい戦いをした。鎌倉投手、高橋投手ともに粘り強く、最後まで東海大相模を追いつめた。東海大相模もこの試合で粘り強さ、全体としての一体感を見せてくれた。先発の吉田投手がノックアウトされてもそのあとの小笠原投手がよくふんばった。この小笠原の好投が攻撃にリズムを与えた。仲間が終盤になってようやく花咲徳栄に追いついたとき、先発の吉田が涙を流した場面はとても印象的だった。この甲子園で絶対に勝って優勝しなければならない、何かそう強く思う気持ちが東海大相模の選手たちから伝わってきた気がした

仙台育英(宮城)◎

ベスト8をかけた3回戦、花巻東(宮城)対 仙台育英(宮城)の試合。仙台育英は初回に二点を先制したものの、二回からリリーフした花巻東エースの高橋投手に抑えられ、点差は徐々に詰められてしまう。結果としては4-3で勝ったが、好投手を完全に攻略できなかったところはこれからの戦いに向けて課題が残る。好投手を攻略してこそ強力打線とよべるもの。先発した出目木は立ち上がりこそ球が高かったものの、徐々に低いところに決まるようになってきた。コントロールも安定し、回をおうごとに出目木はみるみる良くなっていった。一方、途中回からリリーフした佐藤世那投手は最初から球は低めに決まっていて、ストレートも変化球もコントロール良くキレがあった。ストレートはシュート回転せず、球速は最高145kmを計測した。これが調子のよい佐藤のピッチングか。花巻東の打者はまったく手が出ず、佐藤にたいしては9回まで一つのヒットもゆるさなかった。どうしても仙台育英は強力打線に注目があつまるが、勝敗は投手の出来が大きく左右する。次戦 秋田商(秋田)との試合も、両投手の出来に注目したい

 


 

【名場面】

ベスト8をかけた3回戦、花巻東(宮城)対 仙台育英(宮城)の試合。9回裏、花巻東の攻撃、この時点で4-3と仙台育英がわずかにリード。2アウト、一塁。仙台育英の投手はエース佐藤世那。この日の佐藤は非常に調子がよく、花巻東はヒットわずか一本に抑えられていた。ここで花巻東が勝負をかけた。天才バッター 小松悠哉をピンチヒッターとしておくった。覚醒した仙台育英の好投手 佐藤世那と、好打者 小松悠哉の見ごたえある対決が最後に実現した

決勝

【決勝カード】
仙台育英(宮城)―東海大相模(神奈川)

【決勝~展開予想~】

試合前に仙台育英(宮城)―東海大相模(神奈川)の展開予想。大会前にともに優勝候補として挙げられていた両チーム、順調に勝ち上がってきた。両チームとも投打ともに充実しているという印象がある。特に打線が活発。仙台育英は大会好投手とよばれる投手たちを打ち崩してきた。といっても序盤は好投手のまえになかなか打てず沈黙することも多かった。それでも一巡目にしっかり相手の球をみて、狙い球、タイミングを研究し、二巡目から打ち崩すのが仙台育英打線のレベルの高さだった。勝敗のポイントは、どちらの強力打線が相手に抑えられ、そしてどちらの強力打線が相手投手を打ち崩せるのかにある。東海大相模は今大会№1左腕の小笠原投手が先発、リリーフにもWエースの吉田投手が控えている。仙台育英は小笠原の速いストレートに差し込まれず、打ち崩せるか。打ち崩して序盤、あるいは中盤で仙台育英が大きく点差を広げてリードできれば、仙台育英の優勝となるだろう。仙台育英の佐藤投手がある程度相手打線に点を取られるのは覚悟した上で、いかに東海大相模の投手陣を攻略して打ち勝つことができるか、ここが仙台育英のポイントとなる。一方、東海大相模のほうは投手陣、とりわけ先発の小笠原投手が相手を抑え込みながら、いかに自分たちのペースで試合をすすめられるかがポイントとなる。相手に点差を広げられてしまったり、ハイスコア展開になるようだったら相手のペースなので、ロースコア展開にもちこみ、最小失点で逃げ切れるか、これができれば東海大相模のペースで試合を進められるだろう。いずれにしても両チームとも好投手、固い守備、そして強力打線と総合力が非常に高いすばらしいチーム。決勝まで勝ち上がるべくして勝ち上がった両チームだ。ハイスコア展開で仙台育英ペースとなるか、先制点を取ってそのままロースコア展開で逃げ切る東海大相模ペースとなるか、本当に楽しみである

 


 

【決勝~結果~】

仙台育英(宮城)―東海大相模(神奈川)の試合が終わった。結果は10-6で東海大相模の優勝。じつに45年ぶり2度目の優勝となった。私の試合前の展開予想とはまた違った結末になったが、優勝した東海大相模も準優勝の仙台育英も本当にすばらしい戦いぶりをみせてくれた。決勝戦にふさわしい、レベルの高い試合だった。勝敗の分かれめは、両チームにとって同じことがいえる。それは仙台育英の先発投手 佐藤世那の出来だった。この決勝という舞台で佐藤世那の調子は、はっきりいって良くなかった。調子はこの甲子園に来てから一番わるかったように思う。たしかにこれまでも万全とはいえなかったが、それでも準決勝までの成績が登板40回中、被安打27、失点6と粘り強く抑えてきた。それがこの決勝では、4回時点で6失点。ストレートにキレがない、連投の疲れからか球速も今ひとつ、コントロールもバラつく。高めに入ってきた甘い球[失投]が何十球とあったか。私が観たなかで一番調子が良かった試合は3回戦 花巻東戦でリリーフした試合だった。佐藤世那の調子が上がらない試合はたくさんあった。しかし調子がわるい中でも、最小失点でしっかり抑えてきた。相模にはある程度、5・6点ほどは打ちこまれるだろうとは思っていたが、まさかここまで打たれるとは思ってなかった。ハイスコア展開となったが、それでも相模が勝利したのには、相模打線が佐藤世那を攻略し、得点として10点を取れたところが大きい。佐藤世那はたしかに調子は悪かったが、それでも得意なフォークは低めによく決まっていた
一方の仙台育英の打線は期待どおりによく頑張った。一巡目打てなくてもしっかり小笠原の球をみて、そして二巡目から捉えた。集中打もみせ、最小得点でとどまることなくビッグイニングをつくれた。これが6回に同点に追いついて以降は、仙台育英ペースとなった要因である。打線はすばらしいはたらきをした。投打でいうと、仙台育英は打はよかったが、投の部分が力及ばずだったというべき。相模に打ち負けてしまった

東海大相模は序盤から持ち前の集中打を生かして効果的に得点を重ねた。最小得点にとどまらず、2点、2点、2点としっかり先制・中押しができた。この時点で、つまり序盤の得点の積み重ねで相模は序盤から自分たちのペースで試合を優位に進めていくことができた。相模は自分たちの野球、守備からリズムを作る、コンパクトな振り、ここぞの集中打、アグレッシブベースボールがしっかりできた。それもこの決勝の舞台、仙台育英という超強豪相手にできたというのが東海大相模の強さを物語っている
相模は初回からすでに佐藤世那の球を捉えていた。序盤はそれがヒット、得点という形になってあらわれていた。しかし特筆すべきは点がなかなか入らない中盤以降でも、相模の選手たちが焦らなかったところ。中盤以降から8回まで得点が取れなかったときでも、アウトになる打球は速く、当たりは良かった。相模は冷静だった。6回に仙台育英に一気に追いつかれ、球場は育英コール、完全に相手にリズムがいった劣勢の展開となったときでも、相模の選手たちは焦ることなく、基本に忠実な自分たちの野球を貫き通した。一つ一つのアウトを全力で取り、攻撃では高めに浮いてくる佐藤世那のフォークを打つという序盤の戦術を徹底した。相模の選手たちは、「今はなかなか得点がとれなくても、初回からこれだけ良い当たりをしてきているのだから、このあと必ず自分たちに得点のチャンスはくる。だから追いつかれても、焦らず冷静に自分たちの野球をしよう」と心中思っていたかもしれない。仙台育英に追いつかれても相模の選手たちはとても冷静だった。これが粘り強さ、勝負強さというところにつながってくる。技術力が高くても、それをいつでも100%出せるということはあり得ない。気持ちの持ちようで、自分が出せる力は決まるものだ。だから大事なのは、技術力とメンタル、どちらか一つではなく、二つともなのだ

★★
・熱闘甲子園(テレビ朝日)OP『On Your Side』/Superfly
・今大会で一番好きな選手は平沢大河(仙台育英)選手です。かっこいい! 体格ばっちり!


情想 目次

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