~話法や言い方など、言葉に関する心理。その中でも自分が発する話法について言う。それ以外は“論”に書く
目次
- 1 ので話法
- 2 努力話法(“努力”)
- 3 楽しかった話法(“好意承諾”)
- 4 希少話法(“希少性”)
- 5 選択肢とコントロール(“誘導[示唆/誘発]”)
- 6 沈黙話法(“誘導[示唆/誘発]”)
- 7 他には話法(“誘導[示唆/誘発]”)
- 8 “おもしろい”話法
- 9 ね話法
- 10 傾聴姿勢の形成
- 11 強みはしっかり活かす
- 12 相手話法
- 13 突発的発言話法
- 14 アイロニー[アイロニー話法]
- 15 ハイリスク・ハイリターン戦略
- 16 “ありがたい”誘導(“誘導[示唆/誘発]”)
- 17 期待誘導(“誘導[示唆/誘発]”)
- 18 願望形
- 19 疑問形の逼迫効果
- 20 伝えると伝わる
- 21 自分の意思をはっきり伝える
- 22 私、実は話法(“相和の形成”)
- 23 質問改善話法
- 24 私たち話法
- 25 立場話法
- 26 こわれたレコード
- 27 肯定話法
- 28 クッション言葉
- 29 一瞬話法
- 30 提案話法
ので話法
»#nod
何かを頼むとき、「理由+ので」は承諾率が高くなる。理由は何でもよく、重要なのは「ので」を付けること
(例) 「すみません、五枚だけなんですけど、コピーをとらなければならないので、先にコピーとらせてくれませんか?」
努力話法(“努力”)
努力したけどできなかったような言い方は非難されにくい。これを努力話法という
(例) 「上がってないです」⇒「上がらなかったです」
楽しかった話法(“好意承諾”)
「楽しかったので、つい過ぎたことをしてしまいまして・・・」と相手を間接的にほめる言い方を頭に置く話法
希少話法(“希少性”)
~だけ、~しか、など
選択肢とコントロール(“誘導[示唆/誘発]”)
選択肢を操作することによって相手に道を作り、そのように誘導する
(α) 相手の選択肢を広げる話法 ○
(β) 相手の選択肢を狭める話法 ○or×
(β-例) 候補限定話法
いくつか候補を提示しておくことでその中から選ばさせ、誘導する話法
(γ) 自分の選択肢を狭める話法 ×
沈黙話法(“誘導[示唆/誘発]”)
相手から話を聞き出したいとき、沈黙のワナを使う。自分が沈黙して相手にしゃべらせる話法である
他には話法(“誘導[示唆/誘発]”)
「他には?」という質問によってさらに相手から答えを聞きだす話法。この話法は相手との人間関係が希薄なほど有効である可能性がある
“おもしろい”話法
「おもしろい人だ」と言うともっとしゃべってくれるかもしれない。「おもしろい話だね」と間接的に言うのも効果的
ね話法
a ね話法
「~ね」という言い方は言い切る言い方よりも優しい印象を与え、親近感をもたらす
b ですかね話法
「~ですか?」より「~ですかね?」のほうが言い方がきつくない
c ですよね話法
「~ですよね?」という言い方は確認の意味合いが強く、同意を前提としていることから相手にとっては「違う」と言いにくい心理にさせる効果がある
傾聴姿勢の形成
日常会話において、自分なりに理解したうえで返すオウム返しのような言葉には、それだけで真摯な傾聴姿勢を相手に印象づける効果がある。オウム返しのような言葉とは、意味は一緒だが言い方が違う言葉のことをいう
強みはしっかり活かす
(例) 「今回は特別にお客さまだけにサービス付けさせていただきますので」
相手話法
人に何かを語りかけるときは、相手の経験に引き付けた中身にするとよい。たとえば大工に向けて話をするときには、大工に関係した比喩を用いるのが望ましい。相手、つまり受け手の言葉を使わないかぎり、コミュニケーションは成り立たない
突発的発言話法
突発的に発してしまったかのように相手にとってうれしい言葉を言い、改めて言い直す。たとえば、「やった!」のあとに「すいません・・行けます」
アイロニー[アイロニー話法]
「イロニー」とも
①皮肉。あてこすり
②よそおわれた無知。ソクラテスの問答法。無知を装いながら、知者を自認する相手と問答を重ね、かえって相手が無知であることをあらわにし、その知識が見せかけのものでしかなかったことを悟らせる。このアイロニーは相手の考えていることを知ることにも役立つ。「それはなぜ」という疑問を繰り返し、相手の思考構造をあらわにする
ハイリスク・ハイリターン戦略
難題の要求には、難題の不都合を対峙させる戦略。難題の不都合とは、相手にとって不都合で不幸になってしまうようなことを指す
(例) 「結婚しよう。無理なら今別れる」
“ありがたい”誘導(“誘導[示唆/誘発]”)
「~のほうがありがたい」と言って一方向に釘を打つ誘導法
期待誘導(“誘導[示唆/誘発]”)
期待する言動をすることによって相手をそのように誘導することを期待誘導という
(例-a) 「大丈夫。私は~だと信じてるから」
願望形
願望形の話法がもたらす効果について
»#g-a
a 願望形の相和効果
「~したい(利他心であること)」や「~されたい」などの願望形には相和効果がある
この効果は、自己開示と同じであり、可憐効果(“相和の形成”)に包摂されている
»#iid
b いいですね話法
疑問形で問いかけるのではなく、願望をほのめかす話法
例えば、「そうですか?」より「~たらいいですね」のほうがよい
疑問形の逼迫効果
「~だと思う」より、「~だと思わないか?」のほうが、相手により問題を逼迫[ひっぱく]させることができる
伝えると伝わる
正確に伝える=情報量を多く伝える=伝わる、わけではない
自分の意思をはっきり伝える
自分はああしたい、こうしたいと明確に伝える。誉めた上で、「もっとできる」と火を点け続ける。以心伝心でうまくいくなんてほとんどない
私、実は話法(“相和の形成”)
「私、実は・・・」と話し始めることで、自己開示をし、返報性のルールからお互いの相和が深まる効果的な話法であるといえる。この話法は、言い換えれば相手に本心を打ち明けさせる話法であるともいえる
質問改善話法
質問に対して「おまえはどう思う」と問う。分からないから質問するんだけど、それはしっかり考え抜いたうえで分からないと言っているのか。分からないと教えてくれる、という安易な考えを更生させ、自分で考え抜く大切さを教える
私たち話法
「私たち」や「僕ら」という一人称複数の言葉は一体感を出し、集団として働きかける効果がある。これにより親密性が増す
立場話法
相手を一方的に非難することはいい関係を育まない。そんなときには、「あなたにとっては~」「僕にとっては~」というように立場を変えた話し方をすることでお互い客観的な話し合いをすることができる。これを立場話法という。さらに「あなたにとっては~」のところを相手のためだったという理由にするとより効果的である(“相反緩和”)
こわれたレコード
きっぱりとした意思表示を相手に分からせるには、相手に何を言われても同じ言葉を何回も繰り返し伝えることが効果的である。例えば、不良品の品を買ってしまったとき、店員に何を言われても「金を返してください」と繰り返すのだ。何を言われても、その手には乗らないということをはっきり示すことが重要である
肯定話法
仮に相手を否定したくなっても、まずは「そういう意見もありますね」「ポイントをついています」くらいに肯定して下さい。それは自分のためになります。そのあとのあなたの主張・意見にも相手は耳を傾けてくれるのです。肯定は相手の傾聴姿勢を広げる
クッション言葉
何かものを頼むときや否定するときはいきなり言うのではなく、一クッション入れると円滑に進む。何かを頼むときは、「今大丈夫?」「忙しいとは思うんだけど」「忙しいところごめん」など。否定するときは、「行きたいけど今回は」「そういう考えもありますね」など
一瞬話法
“一瞬”を前に付けることによって断りにくい心理にさせる。たとえば、「一瞬お借りしてもいいですか?」
提案話法
相手に負担させまいと思って自分が負担を負う場合でも、相手にとっては「負担を負わせている」と思う負担になっている。ほんとうに相手のことを思いやるなら、「~ではどう?」という提案のほうが相手に選択肢を与える意味で望ましい。提案の“これ”においては断定的なものではなく抽象的なもののほうがよい
(例)
遠距離のA君とB君が会う約束をした。しかし会うためには遠距離で交通費もかかるためどこで会うかは重要だ。A君はB君に負担をかけさせまいという思いから、「B君の住んでいるところまで遊びに行くよ」と言った。しかしB君にとってはA君に負担を負わせているという気持ちから負い目を感じてしまう。相手の気持ちを慮るのも大切だが全体の関係性も考慮に入れて考えるほうが大切だ。この場合、A君は「どこで会おうか?」というように抽象的に広い選択肢で提案することが望ましい。これが提案話法。また、「茅ヶ崎で会おうか?」というような具体的な提案では意味がない。用途によって具体的な提案と抽象的な提案を使い分けることも重要である