洗脳

人はなぜ洗脳されるのか

まず考えておきたいことは、洗脳とは何かを知覚しそれを信じることと同じだということである。これについての思考は“オ)地下のまる穴”(怖い話)の解説下を参照されたい

自分が信じたいと思えば、無意識に本物に思えてくる。その意味では洗脳も含まれるため、善悪の境界線が難しい。またその防衛法においては、どこかでメタ認知ができないと自制するのも難しい強大な心理である

マインドコントロール

マインドコントロール、いわゆる洗脳は、洗脳する側(教祖など)が自らの目的や利益のために相手の心を思うように動かしている。そこには人の心を動かす巧みな技法が盛り込まれている

・批判を受けつけない――疑問が生じること自体をゆるさない
・質問をするということについての罪責感を植えつける
・環境遮断――友人、家族、学校、会社との連絡を絶つ
・身体のコントロールをする――共同生活により、食事制限や労働時間の長時間化
・アイデンティティ(自己観)の破壊――自分の欲望や主張などは悪ととらえてアイデンティティを抑制させる
・情報のコントロールをする――マスコミは誤報を流している、宗教弾圧しているなどとして批判的なものから目を遠ざける
・グループへの依存を高め、脱会の恐怖感を植えつける
・アメとムチ――グループに従えば、褒めたり優しくするが、グループに逆らうと罰を与え苦しめる
・使用言語を操作する――そのグループやメンバーにしかわからない言葉(隠語や使う意味をもたせる言葉)を話させる。グループの一員である自覚を高め、部外者との違いを認識させる[仲間意識]
・操作のテクニック――瞑想する、賛美歌を歌う、祈る、視覚に訴えるなどの操作により完全に感化させる[密度の操作]
・告白――自己の欠点や罪を告白させる[罪悪感]
・行動と自由時間のコントロール
・愛情と性のコントロール

このように最初のだますというステップから、グループに依存させ、抜け出す恐怖を植えつける

»#sut

/a ストックホルム症候群

ストックホルム症候群とは、被害者が犯人と一時的に時間や場所を共有することによって、過度の同情さらには好意等の特別な依存感情を抱くことをいう

犯人と人質が閉鎖空間で長時間非日常的体験を共有したことにより高いレベルで共感し、犯人達の心情や事件を起こさざるを得ない理由を聞くとそれに同情したりして、人質が犯人に信頼や愛情を感じるようになる。また「警察が突入すれば人質は全員殺害する」となれば、人質は警察が突入すると身の危険が生じるので突入を望まない。ゆえに人質を保護する側にある警察を敵視する心理に陥る

恐怖と生存本能

希望である道が絶たれると一方の道(加害者側)に生存の望みを託すようになる。そのときに加害者から優しい言葉をかけられたりすると心が加害者側に傾き始める。やがて加害者に対する恐怖心が同情や共感に変わるようになり、従順するようになる。通常は解放後、犯人に対する好意は憎悪へと変化する

別のケースでは、被害者にとって加害者が“利益のある存在”であることが分かると、加害者に入信し、そこを加害者が意図的に“恐怖心”などでつけ込むことで、洗脳の状態が出来上がる

極限状態と好意

人は極限状態に追い込まれると、生死を握る人に好意を抱くようになる。このような恐怖で支配された状況においては、犯人に対して反抗や嫌悪で対応するより、協力・信頼・好意で対応するほうが生存確率が高くなるために起こる心理的反応が原因である

極限状態がもたらすこと

・犯人を警察からかばう
・犯人に愛の告白
・教団で犯罪に手を染める
・子どもが虐待する母親にすり寄ったりかばったりする
・やっていない犯罪を自白してしまう
・正しいと思い込んでいることが間違いではないかと混乱するようになる

防衛法

行動基準をあらかじめ決め、紙に書いておく(筆記の高整理効果“筆記”)。事後、どんな理由があろうとも、その基準に従って判断を下す。判断要素を事前に決め、前の自分をメタ認知に使うのが望ましい。また、人の助けを借りてマインドコントロールを解く場合には、一般的には本人の話をとにかくいうがままに聞くということからはじめるのが望ましい

リマ症候群

リマ症候群は、ストックホルム症候群(“洗脳”)とは逆に、加害者が被害者に親近感を持って攻撃的態度が和らぐ現象のこと。被害者がストックホルム症候群になっている状況下で、加害者が被害者よりも人数が極端に少なく、かつ被害者に比して加害者の生活や学識・教養のレベルが極端に低い場合に起こるとされる

 


 

・洗脳の応用
プラシーボ効果・・・嘘を本当だと思い込ませることによって何らかの改善がみられること。病状改善などにおいてよく使われる


思考学 目次

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