人はなぜ依存するのか
願望の現実効果[予言の自己成就]
予言の自己成就とは、最初の誤った状況の規定が新しい行動を呼び起こし、その行動が当初の誤った考えを真実なものとすることである。また、個人が、意識的あるいは無意識的に、自己の予言や主観的期待に沿うような結果を生じさせる行動をとったために、自己の予言や期待通りの結果が出現する現象のこと
例えば、「血液型占いは正しい」という期待を持った時、A型で神経質な人とそうでない人の両方を見たにも関わらず、無意識的にA型で神経質な人のことだけを選択的に記憶していくことにより、「やはり、身近な人にもよく当てはまっているから、血液型占いは正しい」という期待通りの結果を自分で生み出してしまうという現象などがそれに当たる
また別の例では、どこの自転車屋で自転車を買おうか悩んでいる顧客に、店員が「今ならどの自転車も15%OFFキャンペーンをしていますので、うちで買われたほうがお得ですよ」と言った。顧客は他の自転車屋も見て回ったあとで、「買いたい自転車が決まったがこの店しか取り扱ってないからここで買おう」と思って先ほどの自転車屋で自転車を買った。店員はキャンペーンで自転車が安いから買ったんだと成功要因を振り返るが、実際は違うのだ。これも予言の自己成就のひとつである
もし人が状況を真実であると決めれば、その状況は結果において真実になる。つまり依存の底流に流れる原理とは、その人の願望である
(例) なぜ○○(企業)に入信したのか
周りの評判の良い口コミ。実際に効果が現れたかは自覚することができないが、それでも前に比べて良くなっている気がすると思い込むようになった。自分の「こうであってほしい」という願望が無意識のうちに普通の判断を狂わせていた。症状が治らなかった事実に対しては、「もはやこの○○(企業)の商品でだめだったらほかの商品でもだめだろう」とまで思うようになった。洗脳・依存に陥ったのである
この世は、あなたが見るとおりのものです。ただ、あなたはこの世界をそのままに見ているのではなくて、あなたの見たいように見ているのではありますが。今あなたがそれに気づくかどうかで、これから見る世界が変わってくるでしょう
幼少依存の二方向性
幼少のみぎりに何かの依存に関わっていた場合、後になって当時の環境に慣れているために同じ依存を受け継ぐか又はそれと正反対の依存が現われる場合の2タイプがある。これを幼少依存の二方向性という。その分岐ポイントは、その依存に順化していたか、恐怖・圧迫していたかにある。順化は“継続”に発展、恐怖・圧迫は“正反対”に発展
ただし個人差もある。恐怖・圧迫によって教えが植えつけられてしまった場合、大人になってもその教えに反する恐怖から依存に発展する場合もある
共依存
共依存とは、自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存する、その人間関係に囚われている状態を指す。共依存者は自己愛・自尊心が低いため、相手から依存されることに無意識のうちに自己の存在価値を見出し、共依存関係を形成し続けることが多いといわれる
(例) DV、介護、支配的な親と愛情を受けたい子供の関係、相手から愛されることが目的となっている恋愛関係
a 防衛法
共依存の原因となる被共依存者への対応としては、一定の距離を置きながら援助される。被共依存者は、援助が少ないことに見捨てられた気持ちを抱く可能性もあるが、「自分の人生は自分で切り開いていくしかない」と気づかせることが、結果として被共依存者の回復に繋がる。被共依存者は、支援を受けることに感謝し、関係者を操作することなく、自分自身の置かれている境遇を受け入れることが、回復の第一歩である
依存者の操作心理
依存的な人は、いつも心が不安定な状態にある。このような人々は、自分の無力さをカバーするために、自分のまわりの人たちをあやつるのがとても上手になる。こういう人は何回か、その限度を試してみようとする。相手の行動を、どこまで自分がコントロールできるかを探るのである。自分はどこまで許されるのか、それを知りたいのだ。それがわかると、実際、彼らの気持ちは安定する。少なくともどこまで依存できるかがわかるのだから。ここでコントロールの手法としてよく用いられるのが、罪の意識を負わせるというものである