最初に見せられたものによって、次に見せられるものの感じ方が変わる人間心理のことをコントラストの原理[三軒茶屋理論]という。関連するものに“高低差”と“譲歩の返報性のルール”がある
(違い) コントラストの原理は受動。“ハロー効果”は能動。空想や思い込みによってこうだと決めつけるのがハロー効果。対し、コントラストの原理は、ほとんど無意識な先入観が影響を及ぼしている場合である
段階承諾
要求を段階的に分けて承諾を得る承諾誘導。段階的承諾がなぜ効果的であるのか。一つは、一回断ったことで相手への罪悪感が発生するからである。もう一つは、一回目の要求で雰囲気の相場(“社会的証明”)が形成され、それが相手の価値・基準に植えつけられるからである
別名、二段階要請法。しかし私はこの別名はあまり好ましく思っていない。なぜなら、段階承諾は必ずしも二段階である必要はないからだ。高度な承諾誘導になってくると、複雑に何段階にも分けて承諾を得る手法もある。以下に二つの段階承諾法がある
/a 程度の高低順序
ある物事を説得するにはまず、その物事より程度の高いものを提示して相手をその環境に慣れさせてから、じゃあこれならさすがにいいでしょ、と落とす。また、先に見せられた一方が難しかった場合、もう一方を「これよりは簡単なはずだ」と思い込む
/b 劣優の順序
優劣のある物事にコントラストの原理を応用する場合、劣から見せることが効果的である。これを劣優の順序という。関連するものに利得現象(“高低差”)がある
b-1 ビジネスで例を出せば、先に提示する商品の価格次第で、次の商品を高くも安くも感じさせる。また物件紹介においては、先にいくつかひどい家を見せておいて、本当に売りたい家を見せると、顧客の目が輝くのだそうだ
b-2 非好意的な評価を最初に与え、そのあとに好意的な評価をいくつも与えていく。これが成り立つのは、評価は間接的伝達である必要があるということ。もし非好意的な評価を間接的に与えるのが難しい場合、間接的な好意的評価のみでも非常に効果的であるといえる
また、間接的が効果的である理由は、偶然や意外性を発生させるからである
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また、相手にしっかり注意したいときにも段階承諾が使える。事実+意見・提案をするといい。事実のところでしっかり相手からイエスを引き出す
(例)
「今十時だよね?」
「そうだね」
「遅れて行くと先方に印象悪いと思うよ。あと10分早く来れないかな?」
価値の大小関係
寄付金を募るとき、「$25 $10 $15」のように、最も低い金額をより大きい金額の間に位置させると効果的である