36歳。年女です。
名前は沙織と言います。
ワケあって、今は母の知り合いが住んでいる田舎で養生しています。
皆良い人ばかりですよ。
二年くらい前まで、私はある男の人と同棲していました。(監禁されていました)
暴力に耐えながらの地獄のような日々でした。
そんな私を、高校生の頃気になっていた人が助けてくれたんです。
卒業以来まったく会っていなかったのにですよ?
信じられますか?こんなことって。
私はその時わかったんです。
『あぁ、私には、この人しかいないんだな・・』って。
その人は別れ際に言いました。
『・・・四年、待って下さい。四年待つことが出来たなら、その時はお互い一緒になろう。』
あれから二年が経ちました。
一人で寂しく、私は生きています。
でも、平気。あと二年したら、あの人と一緒になれるんだから。
その日の事を考えたら今の虚無感なんて全然平気。
「おーーい。沙織~~~!」
ぼーっと眺めてる窓の向こうから、女の子が走ってくる。
理子だ。理子は、この村で生まれ育った17歳の女の子だ。
中学を卒業して、家事手伝いをしている。
ニ,三度お見合いをしたそうなのだが、ブチ切れておじゃんになったらしい。
理子の特技はブチ切れる事。
つい先日も、この村の副村長を決めるときに17歳という若さで理子は立候補した。
【もう、ブチ切れません】
を前面に押し出して、一時は本当に理子が副村長になっちゃうんじゃないかと思うくらいの勢いだった。
・・ところがどっこい、終盤でとうとうブチ切れ、あげくには「忙しくなった」といって自分から辞退してしまうという始末。
そんなまったく先の読めないヤンチャガールだが、なぜか憎めない子だ。
「理子、今日も暇してるの?」
私はそう言うと、軽く微笑んだ。
「うんうん。暇暇!散歩でもしよう!沙織。」
「もう!ちゃんと【さん】ってつけなさい!アナタより20くらい上なのよ!」
「ケラケラケラ!ごめんごめん。にゃん吉ファンクラブ。(意味不明)」
私はとりあえず一枚羽織り外へ出た。
外の風は少し肌寒く、季節の変り行く寂しさを奏でているようだった。
私と理子は二人並んで外を散歩し、たわいもない話をする。二人で暇を潰すときは大体がこうだ。
いつもの会話。
いつもの道。
いつもの景色。
まるで、ここに来てから一年半、時間が経っていないかのような感覚にみまわれる。
そんないつもの道を折り返す時だった。
「・・ねえ、沙織。」
突然、理子が立ち止まった。
「ん?どした?」
私は何かと思い相槌を打つ。
理子は、
「・・この先さ、この草分けて真っ直ぐ行ったら実は道があるって知っでた?」
「・・え?そうなの?いや、ぜんぜん知らなかったよぉ。」
「・・見でみる?」
理子の様子が何か変だ。何か隠しているのだろうか?
でも私はずっと同じ毎日を繰り返しているから、正直たまには変わった道を見てみたいと思った。
「・・そうだね。面白そう。見てみたいわ。」
理子は草をかき分け、私を先導してくれた。
しばらく草を分け進むと、目の前に本当に道が現れた。
「わぁ。本当に道あるんだね!全然今まで気付かなかったぁ。」
私は、新しいものを発見した事でテンションが少し上がった。
ギッタン・・
バッタン・・・
その道を少し行ったところに建物があるのが目に入った。
そこから、何やら音が聞こえて来る。
「理子、あれ何だろ?」
理子は、
「あれね、なんか、肥料作っでるみたいだで。」と言った。
「ふ~ん。」
私と理子は、道を真っ直ぐに進んで行った。
途中その建物を横目で見た。
木造だが工場か何かだろうか?
なにやらミンチ肉のようなものが、その建物の脇からポタポタとこぼれ出ている。
「ねえ、理子?あれお肉が出てきてるけど、食品かなにか加工するところじゃないの?」
そう聞く私に、理子は
「いんや。あれは肥料だ。」
「でも・・肥料にしたら、まだ新しいお肉っぽいよ?あれ?」
「あれは食用じゃねえんだよ。まずくて食えない肉らじい。」
「ふーん。」
意外と理子詳しいなと思いながら、私たちはその建物を超え、真っ直ぐと道を進んで行った。
「・・ん?」
目の前にまた建物が現れた。白い建物のようだ。
その建物に向かいながら、理子が口を開く。
「・・ねぇ沙織、沙織は良いやづだ。だがら今がらおもじろいモノ見ぜでやる。」
「おもしろいもの?何なに?」
「見でがらのお楽じみだ。」
好奇心は元々旺盛だった私。
メリハリのない毎日をここずっと続けていた私は胸がドキドキするこの感覚を忘れていた。
そうこうしてるうちに、私と理子はその白い建物の前に着いた。
「ん、なんだこれ。」
その白い建物の上には表札のようなものがあり、【達磨小屋】と書かれていた。
「ごごに、今はダルマさんがおるんだ。」
理子はそう言って、私の手を引いて建物の中に入った。
ドアを開け中に入り、ドアを閉める。
薄暗い廊下のようなところに出た。
目の前にはもうひとつのドアがあった。
その廊下で理子は、
「・・・沙織、お前はもうこの村の仲間だ。仲間だがらここを教えた。ぜってぇここで見たものは誰にも言うんじゃねぇぞ?」
なにやら少し嫌な予感はしたのだが、私は意を決して奥のドアを開けた。
ギィィィィ・・・・
・・・奥の部屋は、更に薄暗い部屋だった。
数台のテーブルがあり、私たち以外にも数人の人がそれぞれテーブルにまばらに腰掛けて飲み物を飲んでいた。
(・・・一体、何がヒミツなんだろう・・・。)
とりあえず理子にリードされるがまま、私たちも空いているテーブルに座る。
そこで私はあることに気付く。
座ってるほかの人たちは、ある一点を見ていた。
そしてある者はニタニタと笑ながら飲み物を飲んでいる。
理子も、同じところを見ていた。私も、ソレを見た。
・・・・・
なにやらステージのように前に置かれたテーブルの上に、ダルマの置物が置いてあるようだった。
(これの・・・どこがそんなに珍しいの・・?)
「沙織、何か飲むが?」
理子に聞かれたので私はトマトジュースを頼んだ。
理子は店員さんを呼び、飲み物を頼んでくれた。
「いやぁ。また元気無ぐなってきたなぁ。」
「・・え?そう?私は元気だけど・・・。」
そう相槌すると、理子はさっきのダルマを指指した。
「違う違う。アレアレ。」
「・・え?」
私はもう一度よく、そのダルマを見てみた。
・・・どうやらダルマはうごめくように少し動いている。
薄暗い部屋の中、私は目をこらして更に良く見てみた。
そしてすぐに目を逸らした。
(・・・あれ・・・人だ・・・)
それはダルマの置物なんかじゃなかった。
手と足を切断された、人だった。
苦しそうに、その【ダルマ】はうごめいていた。
「おまたせしました。トマトジュースです。」
店員さんが持ってきたが、
あ ん な も の 見 な が ら 飲 め ねー っつー の
・・・【ダルマ】の声が・・うっすらと聞こえてくる・・
「く・・苦しい・・ 助けて・・ くだ・・ さい・・・」
昔聞いた事のあるような声・・・
私は耳を塞いだ。
(一体何なんだ・・ここは・・・。)
しばらくして、私と理子は外に出た。
理子が言うには、ここは悪い事をした人間が連れてこられ、見世物にされる小屋らしい。
この【ダルマ】の男も、殺人や暴行をした男らしく、ここに売られにきたらしい。
手足は、つれてこられたときから既に無かったらしい。
でもそれでも逃げようと元気だったから、昨日客の前で男性器を切り落とされたようで、今日はグッタリしていたとの事だった。
帰りの道で理子は、
「・・沙織、絶対に、誰にもココの事言っちゃぁダメだよ。わがってるな?」
「う、うん。っていうか言えない・・・。」
「そう言ってもな、たまに言おうとする人がおるんよ。」
困ったような顔で理子はそう言うと、例の【ミンチ肉】の建物を指差して、
「ま、沙織も肥料になりたくなかったら、ココの事は胸にしまっとけ。」と言った。
【感想】
なぜトマトジュースを頼む?
[・・・【ダルマ】の声が・・うっすらと聞こえてくる・・「く・・苦しい・・ 助けて・・ くだ・・ さい・・・」昔聞いた事のあるような声・・・]
から、あの時見ていたダルマは主人公が昔同棲してた男か、または、高校以来会ってなくてなぜか急に助けに来てくれた人か、のどちらかだと考えられる
さらに、達磨小屋は[悪い事をした人間が連れてこられ、見世物にされる小屋である]というところから、やはり同棲していた男の可能性が高いだろう
しかしなぜ、手足は連れてこられたときから既に無かったのか?
また、理子が言っていた肥料とは何の肥料なのか? ダルマにする者という意味での肥料なのか。または何か別のものに?
なぜ4年待たされるのか? 彼は今何をしている?
・・・
分かればいいけど、分からない。解説とかもなんにもないし。それにこの話は、空白などのおかしな部分が所々ある。ここでは編集した。だからもしかしたら意味怖カテなのかもしれない
この話と同じ投稿者でもう一つ「花子の部屋」という話があるんだが、この話はひどくおかしくて紹介するに堪えないものだったためここでは紹介してない
しかし文章がおかしいという現象は、意味怖カテ界ではこのように言われている
「本文と関係ないところに”意味”がある」
その裏付けとしての代表格が、縦読みである
今回もその原則に基づき、何かしらの”意味”がある可能性はすべからく疑っていいはずだ
もしそれを、つまり”意味”の解読をしたいのであれば、ここの文は適切ではない。原文を見たほうがいい