目次
●0/返報性のルール
報恩の義務、ギブアンドテイクという文化が底流に根づいている。何かを貰えばお返しをしなくてはいけないという気持ちがおこり、何かを差し上げればそれに見返りを求めたい気持ちが生じる。これを返報性のルールという。これから発展したものには好意の返報性のルールなどがある
・報恩するときは、報恩の分+新規のgiveをセットで。また、giveは自分から積極的にするほうが効果的である
・返報性のルールは、相手が自分に対する好悪いかんをも無視できるほどの威力をもつ。肝に銘じておかなければいけないことがある
「敵対する相手には借りを作るな。貸しを作れ」
敵対する相手には何をされても恩義を感じないことだ
●1/譲歩の返報性のルール
相手から何かをしてもらって、そのお礼に敷居や価値を引き下げる。つまり譲歩の返報性である
「お礼」「譲歩」の組み合わせは、単に「譲歩」よりも高い承諾率を誇るといえる。つまりここで重要なのは、「譲歩」は自分のためではなく“相手のため”ということを示唆することが大事なのである
・売るときに5ドル⇒2ドルに引き下げるのも譲歩に当たる。しかし売り手の本来売価は2ドルであるかもしれない
・譲歩の返報性については、譲歩するものは程度を下げるというものだけではなく、物は異なるが価値の下がる物でもよい
●2/好意の返報性のルール
人は好意を受け取ると「お返しに好意を返さなくては・・・」と思う心理がある。つまり、相手から好意を受け取るには、まず自分が好意を与え続けることである。恋愛においても、好きな人には、先に「好き」という好意を示す、それが恋愛の鉄則である。別名、好意の互恵性
お世辞でも好意を伝えると相手はいい気分になる。それがお世辞だと分かっていても
これは承諾誘導の実践家が使う基本的なテクニックの一つである。まず相手に対して様々な形で好意を与え、承諾させたいことを拒否できない心理へと追い込んでいく。そこには返報性のルールや“トロイの木馬の心理”などの様々なテクニックが用いられている。特にトロイの木馬の心理は非常に強力な返報性のルールであるため、最も警戒すべき心理の一つである
(原理)
好き・嫌いの感情には、相手の人の感情との間に強いバランス志向があり、相手の人と同じ感情状態でいようとする傾向が強くはたらく。なので、まったく反対の感情である好意と嫌悪ではバランスはとれない。自分を好きな人に対しては、自分も好意を抱き、自分を嫌いな人に対しては、自分も同じように嫌うのが、バランス上もっとも適当な感情だといえる。相手の人と同じ感情状態でいようとする傾向が強くはたらくのには、相手との親密性が大きく関係している。人間関係が希薄な場合は相手に思い入れも少ないため、相手がどのような感情を表そうがあまり興味を示さない。しかし人間関係が親密になっていくほど類似性に敏感になり、相手と同じ感情状態でいたいと思う傾向が強くなるのである。しかしだからといって相手との共通点が多くないと仲良くなることができないわけではない。意識的に相手との人格相違や考え方の違いを認識した上で、それを肯定的に受けとめている人であればその例外となり得る。また、相手の人と同じ感情状態でいようとする傾向が強くはたらくのは、好意より嫌悪のほうである[嫌悪の報復性]
前褒後求[ぜんほうごきゅう]
要求は褒めた後にするのが効果的である
ちなみに「楽しかったよ」も褒め言葉である
ありがとうお礼に効果
「ありがとう。お礼に~」という言葉を使うことで次の効果をもたらす
・好意の返報性――好意には好意をもって返さなければならないという返報の原理
・称賛効果(“好意承諾”)――相手を褒めることにより好意をもたらす効果。特にここにおいては「お礼に」という言葉を多用すると効果的である
好意の互恵性
人には好意をもってくれる相手に好意をもつという返報性のルールがある。これを好意の互恵性という。恋愛にはお互いが必要とし必要とされる好意のバランスが大事である。この好意のバランスが悪いとき、相手への好意が大きいときは互恵性を確認しようとし、相手への好意が小さいときは無関心や自然破局に至る。ここでは互換性を確認しようとする人の心理について掘り下げる
/a 好意のバランス
好き嫌いというのは、バランス関係が大事であるため、例えば自分だけが一方的に好きでいる状態は、とても不安になるものである。好きになったら、相手にも好かれないと気持ちが落ち着かないし、満足できない。自分が好きになればなるほど、相手の気持ちを確かめずにはいられない。そこで、わかりやすい愛の証拠を得ようとして、相手の言葉や行動、プレゼントなどから判断することになり、そしてそれが確認されると相手のことをさらに好きになり、それがまたさらに相手の気持ちを確かめたいという欲求を高めるのである。女性がプレゼントを欲しがるのも、女性はそのプレゼントを彼からの愛の証だと考えるからである。女性は男性がどれだけ工夫をこらし、労力(お金など)をかけたかをアピールすることによって、愛の重さを感じたいのである。これは無意識に互恵性を確かめようとしている行為だといえる
/b 好意バランスと願望欲求
相手のことを好きであればあるほど好意バランスの確認(無意識)は行われるものである。しかし、証拠ばかりを相手に要求している人の心理には、その裏に自信のなさがあると考えられる。相手の態度を通してしか自分を確認できないため、常に言葉や態度で愛されている証拠が見えないと、不安が募るという状態をくり返してしまうのである。このような人は自己愛があまりにも強いため、またそれが壊れやすいために、保証としての愛の証を求めすぎるという状態に陥る。その結果、自分から愛する喜びを失ってしまい、本人も気づかないうちに「~されたい」ことばかりを望むようになってしまう
嫌悪の報復性
好意に返報性のルールがあることは分かったが、嫌悪にも返報性のルールがある。しかもこの嫌悪感情のほうが返報性のルールは強くはたらく。まず、嫌われるということは、自分のプライドを傷つけられるなどの他のマイナス感情も生じるので、嫌悪に対しては必ずといっていいほど嫌悪が返ってくるのである。この心理から学ぶことは、相手に嫌われないためには、まず相手を嫌わないことを心がけなければいけないということでしょう。こちらが嫌えば相手も嫌うのだから、イヤなヤツと思っても、その気持ちはひとまず心の内にしまってつき合うことが大切である。また、ちょっとした相手のしぐさや言葉で、自分を嫌っているのではないかと早合点しないこと。特に自尊心が傷つきやすい人や劣等感の強い人は、相手に嫌われることに対して非常に敏感だが、それは決してよい結果を生み出さない。とにかく、最初に嫌わない、嫌われていると早合点しないことが大切である